日本人の15%、与党支持者の3割が「民主主義は大事じゃない」と思っている…驚きの調査結果

秦 正樹 プロフィール

より具体的な検証方法は、三つの意見リストから該当項目を選ぶ統制群(N=454)の平均値(このグループで回答者が「該当する」と答えた数の平均値)と、それに一つ内容を加えた四つのリストを呈示する処置群1(N=443)および処置群2(N=433)の平均値の方が(統計的有意に)高いかどうかを確認する。

もし処置群1や処置群2の方が、統制群よりも有意に高いとすれば、その平均値の差分は、四つ目の意見リスト(「日本が民主主義であることはさほど重要ではない」/今の日本には中国のような強権的な政治の仕組みが必要だ)を選択した割合として解釈できる。

加えて本調査では、意見リストの内容を、従来型の直接に尋ねる方式(Direct Question:DQ)でも聞いているので、両者の結果を比較して、「建前(DQ)と本音(リスト実験)」の違いも把握できる。

 

日本は民主主義でなくてもいい?

早速、実験の結果を確認していこう。図1は、リスト実験(処置群1/処置群2の平均値から統制群の平均値を引いた差分)と、DQ方式での結果を併記している。

図1 リスト実験とDQ方式での結果

まず、一般的な調査の形で、「日本が民主主義であることはさほど重要ではないと思うか」と尋ねた場合(DQ方式)にそれを肯定する人は約3.5%であったのに対して、「ホンネ」を炙り出すリスト実験の結果は、それを肯定する人が約15.5%(5%水準で統計的に有意)だった。直接尋ねる場合よりも12%ポイント近く増加している。

もう一つの「今の日本には中国のような強権的な政治の仕組みが必要だ」では、DQ方式が約2.6%に対し、リスト実験は約8.0%(ただし統計的に有意な差ではない)であった。つまり「ホンネ」では、日本が民主主義であることは重要でないと考えている人は15%近くいる一方で、中国のような強権的な政治の仕組みが必要だと考える人が特段多いというわけではないことがわかる*5

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