マインドコントロール(洗脳)とはいったい何なのか、その歴史や仕組みなど洗脳に関する全てが詰まった一冊 本書では過去に実際に洗脳が使用された具体例を出しながら洗脳者や被洗脳者がどのような心理状態にあったかや洗脳に至るまでの経緯を解説している その内容はカルト教団、テロリスト、全体主義やファシズム、催眠の軍事利用、マスメディア、インターネット、職場や子育てにまで及び私達の思う常識や教育も厳密には洗脳の一種であり絶対的な線引きをすることは難しいことが解る...
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マインドコントロール(洗脳)とはいったい何なのか、その歴史や仕組みなど洗脳に関する全てが詰まった一冊
本書では過去に実際に洗脳が使用された具体例を出しながら洗脳者や被洗脳者がどのような心理状態にあったかや洗脳に至るまでの経緯を解説している
その内容はカルト教団、テロリスト、全体主義やファシズム、催眠の軍事利用、マスメディア、インターネット、職場や子育てにまで及び私達の思う常識や教育も厳密には洗脳の一種であり絶対的な線引きをすることは難しいことが解る
私達は洗脳と言えば操られてほとんど催眠にかかったような状態と思いがちだが、洗脳された者の視点で見ればそれこそが "真実への目覚め" でありそれに反対する者こそ悪に洗脳されているということだ
本書中にもある通り洗脳とは本質的には "環境への適応" であり洗脳された者は行動範囲、人間関係、外部情報を遮断されて狭いコミュニティの中で生存するための最善の選択を行ったに過ぎないことがわかる
私達の思う常識や善悪の判断も私達が生きる社会での基準でしかなく、その基準から外れれば間違いにも悪にもなり得る
そういう意味では全ての社会通念や固定観念も洗脳と呼ぶことができる
そして人間の根源にある "繋がりの欲求" と "自己価値への欲求" がある限り、現代に居場所がないと感じる人は誰しも洗脳にかかる可能性があるだろう
本書ではカルト教団やテロリストなど洗脳の悪用例の基準として善悪の二分論的区別を挙げている
つまり極端な意見で絶対善と絶対悪を作り上げ集団間に分断を生むような思想は少なからずカルト教団と似たような危険性を孕んでいるということだ
過度なナショナリズムや人種差別も構造的にはカルト教団に近い心理状態と言えるだろう
更に本書では洗脳者や被洗脳者に自己愛性や依存性の強い人格が多いことも述べている
共感性や自立心の欠如はそれこそ幼少期から洗脳的教育を受けて育った結果、更に言うなら社会全体が 洗脳的=極端な二分論 だからだとも言える
他にもダブルバインド、イエスセット、条件づけ、スタッカートクエスチョンなどの具体的な洗脳技術の説明もあり洗脳に関する理解が深まる一冊だった