FILE 185 ・京芸入試直前「ラスト1週間の課題」
2.入試前日まで 実技の最終調整
ラスト1週間。まず肝に銘じておいて欲しいのは、「油断と焦りは禁物」、そして「無理はもっと禁物」ということです。
油断していると本番が近づくにつれて焦りが出てきがちです。焦ると浮き足立ってしまい、集中力を失います。その結果、最終盤に無理をするようなことになれば、入試当日に体調を崩してしまう可能性も。それだけは絶対に避けなければなりません。
「ここまで、できるだけのことはしてきた」という強い信念を持ち、「油断せず」「焦らず」「無理をせず」、最終調整を淡々とこなしていきましょう。
■現状の確認
直前講習で制作した作品(直前模試を受験した生徒は、模試作品とその得点)を振り返り、「必ず修正しなければならない問題点」と、「さらに強化するべき自分のアピールポイント」をピックアップします。
■最後にできること、するべきことの確認
入試当日までの対策課題数を明確にし(描写、色彩、立体を、それぞれあと何回制作できるかも含め)、その中で「今からでも修正できること」「優先的にするべきこと」を整理しましょう。限られた時間の中では、できることにも限界があります。欲張り過ぎず、ポイントをしぼって修正や強化を行うべきです。
■合評時に確認
入試本番で確実に最終調整の成果を発揮できるよう、一つひとつの対策を整理・確認しておく必要があります。
では、描写を例にとって、自分の今の状況を各実技の評価項目に当てはめて考えてみましょう。
描写
→ラスト1週間の最終調整→ | ||
現状の確認
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できること、するべきことの確認
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合評時に確認
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■実技の最終調整(描写)
直前模試以降の対策で得点アップした例を紹介します。
◆18年度 デザイン科合格 Aさん(高卒生)の場合
88/250 |
ラスト1週間の最終調整→ 148点アップ |
236/250 |
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目標
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(解説)
特に実技力が低い印象もなく、夏期・冬期の模試では6割程度の点数を取ることができていたAさん。しかし、直前模試では大きく点数を落としてしまいました。直前講習では「制作スピード」と「描き込みによる完成度の高さ」にかなり注意を払い、高いレベルまで到達しようと奮闘していたのですが、直前模試の構図と構成で失敗し、大きく減点されてしまったのです。
しかし、直前模試で失敗したことによって、描写の基本である「構図と構成の重要性」を再確認することができました。それを踏まえ、その後の対策でもう一度基本から確認し直した結果、入試本番では描写で8割を超える高得点を獲得。その描写の高得点が決め手となり、見事に合格を果たすことができました。。
◆18年度 デザイン科合格 Bさん(現役)の場合
110/250 |
ラスト1週間の最終調整→ 64点アップ |
174/250 |
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目標
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(解説)
描写に苦手意識があったBさん。特に制作スピードが思うように上がらず、描き込みが不足する傾向がありました。
そこで、制作スピードを上げるためにタイムテーブルを見直し、「とにかく手を早く動かすこと」を意識して最後の対策に取り組みました。入試本番では「長いマニラロープ」と「ブリキの容器」という、表情が多くて描き込みに時間のかかるモチーフが出題されましたが、最終調整によって制作スピードが強化され、描き込みの密度が上がっていたため、6割を超える点数を獲得することができました。
◆18年度 デザイン科合格 Cさん(現役生 NET生)の場合
74/250 |
ラスト1週間の最終調整→ 92点アップ |
166/250 |
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目標
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(解説)
直前模試の段階では、描写にかなりの苦手意識を持っていたCさん。基本となる構図と構成は理解できているものの、自分自身で最善の判断をすることは難しい状況でした。
しかし、そこからの対策で構図と構成についての理解をさらに深め、入試本番では良い構図と構成を選択することができました。構図と構成によって描写の印象は大きく変わり、点数にも響いてきます。基礎的なことだと思ってしまいがちですが、かなり奥の深い要素だといえます。
まさに今、「構図と構成でつまずいている」という人は、ラスト一週間の最終調整で、Cさんの様に再確認をしましょう。一緒に対策をしている他の受験生から学ぶこともたいへん効果的です。それができるのが、講習会の持つ大きな意義でもあります。。
- 1.2019年度京芸入試情報 出願状況
- 2.入試前日まで 実技の最終調整
- 3.入試前日まで 用具の準備と確認
- 4.入試当日 心構えと注意点