11
縁の下の力持ちのみならず研究者や技術者と対等な立場で事業を動かす
岸人 弘幸
2009年入社
法学部卒/政府契約修士・プロジェクトマネジメント準修士
研究開発部門 研究推進部
REASON入社の理由
国際宇宙法の模擬裁判がJAXAとの出会い
大学時代は国際法の模擬裁判を行うサークルに所属していました。架空の国家間で紛争が生じ国際裁判でお互いの主張を請求するというもので、全国の大学が参加する国内大会が夏と冬にありました。大学2年で出場した冬の大会では、翌年春にワシントンD.C.で行われる世界大会への出場権をかけた決勝で敗北。しかし、この敗北があったことから、翌年の春は国際宇宙法の模擬裁判に参加することになり、JAXAを知るきっかけとなったのです。国際宇宙法の模擬裁判ではJAXA職員が裁判官をしています。大会後のレセプションでは、国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)に参加した話を伺い、大学で学んでいることがJAXA職員の仕事に直接関わっていることに、純粋に憧れを抱きました。
就職活動では、民間企業だけでなく、公共性・公益性のある機関にも興味があり、大学で学んだことが少しでも活かせないかとJAXAのことを思い出し、エントリーしました。
WORKわたしの仕事
仕事を通しての成長 多様な経験で広がる世界
入社後、種子島宇宙センターに配属となり、目にした初めての打上げは、H-IIBロケットの試験機(初号機)でした。ロケットの整備も進み、ロケット組立棟で神社の神主さんに来て頂いて、作業の安全と打上げ成功を祈願したのですが、その際になぜか自然と涙が出てくる経験をしました。生き馬の目を抜くようなビジネスの世界とは違い、その場に集まったJAXA職員や各メーカーの社員が1つのミッションの成功を切に願うという、その思いを肌で感じて、JAXAに入社して良かったと思いました。この時の経験が私のキャリアでの支えになっています。
キャリアの当初、事務系職員の顧客はJAXA内の研究者や技術者で、彼らの業務を支える縁の下の力持ちになることだと考えていました。今でもその考えは重要だと思いますが、同時に研究者や技術者と対等な立場で議論しながらJAXAの事業の方向性を決めたり、リードしたりすることができることもわかり、自らの業務を通してJAXA内だけではなく、日本そして世界にも貢献していきたいと思うようになりました。
私は中高生の頃から英語が苦手だった半面、自分が住む世界の狭さに対する抵抗感からか、漠然とした海外への憧れがあり、それが大学で国際法の模擬裁判サークルに入った理由の1つでした。JAXA入社後は、ウィーンやニューヨークで開催される国連での会議や中国やイタリアで開催された学会等への参加といった国際経験を積むことができただけでなく、長期派遣研修の制度を利用して、米国の大学院に留学することもできました。ネイティブと対等に流暢なコミュニケーションを取るとまではいきませんが、おかげで英語の文章やコミュニケーションに対する抵抗感は薄らぎ、仕事を通して成長できた、自分の世界が広がったと感じています。
現在は、国内外の企業や機関との間で契約を締結し、省庁や民間が公募する資金(競争的資金)に関する手続きを行い、機構の研究開発を実施する手助けをしています。また、研究開発に関わる制度改善を行うことで、機構の研究開発を推進しています。これまでは管理部門での業務が多かったので、より研究者・技術者に近い部署で1つ1つ課題を解決できることにやりがいを感じています。
FUTURE将来の想い
広い視点で世界への貢献を実現
短期的・中期的な目標としては、これまでに学び経験したことを活かし、JAXAの業務に新たな手法や仕組みを取り入れながら、既存の仕組みを改善提案できるようになりたいです。また、中・長期的な目標としては、JAXAや国内だけでなく、世界にとって何か貢献ができるような仕事に携わりたいと考えています。
JAXAの職員は、みな前向きで変化を恐れず、JAXAという組織の一員になるだけでなく、JAXAという組織を使って自らの夢やあるべき姿を実現していこう、というモチベーションを感じます。多様で魅力的な人材と他では経験できない貴重な経験を積むことができます。皆さんとJAXAで一緒に働けることを楽しみにしています!
CAREER PATHキャリアパス
入社してからこれまでのキャリア
-
1st year
宇宙輸送ミッション本部(現宇宙輸送技術部門)鹿児島宇宙センター管理課に配属される
種子島宇宙センターの管理業務、打上げ時の地元対応等を担当。
-
3rd year
総務部法務課(現法務コンプライアンス課)に配属される
規程類の制定改廃、国内外の機関と協定類を締結する際の法務相談を担当。慶応義塾大学宇宙法研究センターの研究員として研究に参加し、学会・シンポジウムでの成果発表、論文発表等を経験。
-
5th year
外務省総合外交政策局宇宙室(現宇宙・海洋安全保障政策室)に配属される
二国間・多国間会合を通じた国際協力や対話の推進。JAXA堀川元理事が日本人初の国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)議長となり、事務方としてサポートした。外務省職員と共に日本のプレゼンス向上に尽力した。
国際的なルールの策定(宇宙活動行動規範)に向けた議論の醸成・貢献、国会対応等。国連での会合に随行し、言葉で勝負する外交官の姿を目の当たりにし、外交の在り方を学んだ。
-
7th year
契約部契約推進課(現調達部推進課)に配属される
調達に関するルールの制定改廃、国内外の機関と契約を締結する際の法務相談等
-
10th year
長期派遣研修(米・ワシントンD.C.)
JAXAの研修制度を利用して米国の大学院に留学。政府契約修士・プロジェクトマネジメント準修士を取得。米国とは元々のリソースが異なるのでそのまま適用はできないが、日本の制度との比較を通して、より改善できるところはないかと考える視野を持てるようになった。
-
11th year
研究開発部門研究推進部に配属される
共同研究・受託契約・外国契約等の締結、外部競争的資金への応募・経理処理等を担当。研究を実現するために事務系が果たす役割は大きい。
THE OTHER SIDE OF THE MOON私の一面
独身の頃は、休日も業務に関連する資料を読んで勉強したり、論文を書いたりと自分のためだけに時間を使っていましたが、長期派遣研修の開始前に第一子が生まれ、昨年11月には第二子も生まれましたので、家族のために休日を過ごすようになりました。