私が10年にわたり駐在していたスーダンを、今年久しぶりに訪問しました。落ち着いていた町は様変わりしていました。クーデターにより軍部が実権を握って政治は混乱、人びとは物価高に苦しみ、市民のデモに対しては暴力的な弾圧が続いていました。混乱のため、またウクライナに資金が集中しているため、日本をはじめ国際社会からの援助は大きく落ち込み、状況はさらに切迫しています。
スーダンの紛争地域で活動するJVCは、避難民を対象にした職業訓練を実施して多くの若者を引き付けています。ファタハくん(18歳)は、紛争により父親が大怪我をして家族の収入が途絶え、学校を卒業することができず途方に暮れていました。そんな時にJVCの職業訓練を知り、さっそく参加を決めました。溶接を学びながら、今は「毎日が楽しくて仕方ない」と話すファタハくん。技術を磨いて12人の家族を養い、いつかは自分の工場を持ちたいと考えています。
(ファタハくんについては、ぜひ下記のブログ記事もご覧ください。
>>スーダン日記「職業訓練を経て、うまれた変化とは?第2回(全3回)」)
皆さん一人ひとりのご支援が、ファタハくんのような変化につながっています。そして、国際社会の支援の動きに関係なく、必要とされる場所で活動を続けていく力になっています。
これからも活動を続けていくため、あともう少し、皆さんのご協力が必要です。どうか、皆さまのお力をお貸しください。
トゥクトゥク修理の講師、ファトヒ先生
JVCの職業訓練の圧倒的な強みは課程修了後のフォローアップにあります。職業訓練を提供する団体は他にもありますが、大抵の場合、修了後は道具箱を配布して終了です(その道具箱が市場で売られることがしばしば)。
その点JVCは技術の習得はもちろんのこと、就職後も訓練生たちが市場に溶け込んで行けるよう、長い期間にわたってコミュニケーションを取ってくれるので、生徒の安心感が違います。
プログラムの構成についても、実地訓練に入る前に理論を学ぶ期間が十分確保されていたことが指導する立場として助かりました。今回の職業訓練のプログラムは訓練生たちが彼らの年齢故に学校への編入が叶わないという問題を解決するという趣旨の下、立案されたと理解しています。「年齢が高い」と言っても彼らはまだ10代後半、20代前半の若者で技術は問題無く体得出来ました。
カドグリの地はアラブ系・ヌバ系民族の武力衝突に苛まれてきました。訓練生にはアラブもヌバも混在していますが、JVCの職業訓練プログラムは互いのことを理解し合う最適なプログラムだったと感じています。
同じ避難民として様々な場所から集まった彼らが同じ課題に挑戦し、同じ釜の飯を食う。まるで一つの大きな家族のようにこの時代を生き抜く。こうした体験を通じて人間として成長出来ていることが日々の言動からも顕著に見て取れ、指導者冥利に尽きます。
JVCさん、日本の皆さん、ご支援本当にありがとうございました。
ーキックオフイベント開催しました!ー
2022年夏の募金キャンペーンのキックオフイベントとして、スーダン/南スーダン事業駐在スタッフたちが現地の今を直接お伝えするオンラインイベントを開催しました。詳しくはこちら>>https://ngo-jvc.info/sc2022-announceイベントでは、スーダン現地駐在スタッフ2名がオンラインで登壇し、今回の夏募金でお伝えしている「ご支援で生まれた変化」や「新規事業立案への挑戦」について、HPに載せきれなかったエピソードや現地の状況、現地調査で触れた人々の声などを、写真とともに直接お伝えしています。ぜひご覧ください!
また、イベントレポート記事もJVCのnoteで公開しています。こちらもぜひ!
https://note.com/ngo_jvc/n/n7a12954b1736