私は、4月に三作目のエッセイ集『優しいあなたが不幸になりやすいのは世界が悪いからではなく自業自得なのだよ』(大和出版)を上梓する。今は最終的なチェック段階だ。
その中で、カネのないことで生存の危機にさらされたら、「お金を下さい!」と言って「乞食」をしてもいい、生き延びるほうが大事だという文を書いた。20年前にカナダはバンクーバーの路上で白人の淑女に、丁寧な英語で「いま私は大変に困っている。なにがしかのお金をいただけないだろうか」と話しかけられたことを思い出しながら。
そうしたら編集者に「乞食は差別用語です。使えません」と指摘された。「物乞い」もダメという。調べてみると、AからCのランクで分類すると「こじき」はCランクの「文脈によっては使わないほうがいい」差別表現、不快語、注意語だそうだ。
たとえば「興信所」はAランクの差別語。「調査会社」「民間調査機関」と言うべき。「カエルの子はカエル」はCランク。「文盲」はAランク。「精神異常」はAランク。「愚鈍」はBランク。「醜男」(ぶおとこ)はCランクで、「器量の悪い男」と書くべきだそうだ。なんと「共稼ぎ」は「共働き」としなければならない。なぜ?!
これでは、私が書いた『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください』(KKベストセラーズ、2019)や『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください』