人工衛星による地球の観測とは?

そもそも人工衛星にはどんなものがあるのか

地球の周りを飛んでいる人工衛星は、その目的によって大きく3種類に分けることができます。

  1. “情報”を伝える…通信技術 通信衛星・放送衛星
  2. “位置”を測る…ナビゲーション技術 GPS衛星
  3. “物”を測る…リモートセンシンング技術 地球観測衛星

地球観測衛星の軌道

衛星の軌道は、形(円軌道、楕円軌道)、高度(低/中軌道、高軌道、静止軌道)、地球との位置(極軌道、モルニア軌道)、太陽との位置(太陽同期軌道)など様々な方法で分類することが出来ます。
ここでは、衛星リモートセンシングに利用される代表的な軌道をあげます。

  1. 静止軌道…赤道上空に有り、地球の自転と同じ早さで飛行する軌道
  2. 太陽同期準回帰軌道…太陽同期軌道と(準)回帰軌道を組み合わせた軌道
  3. その他の軌道

1.静止軌道

静止軌道は、通信、放送、気象などの衛星に利用されています。この軌道は、地表から約36,000Km離れた赤道上の軌道です。地球の自転と同じ早さ同じ向きで衛星が飛行するため、地球から衛星を見た場合、衛星が常に同じ場所に止まっているように見えます。通信・放送・気象観測など「常時使用」に適した軌道であるといえます。反面、地球の反対側からは直接利用することが出来ません。
リモートセンシング衛星としては、「ひまわり」などの気象衛星が採用する軌道です。

2.太陽同期準回帰軌道

太陽同期軌道と(準)回帰軌道を組み合わせた極軌道で、多くの地球観測衛星がこの軌道を利用しています。この軌道は、同一地域を通過する時間(太陽方位角)が同じになることから、太陽光の当たる向きが常に一定になり、画像の比較等の解析に容易に利用することが出来ます。また、この軌道は地表をくまなく回るため地球上の様々な地点を観測することが出来ます。また、(準)回帰とは、地球を周回している衛星が「定期的」に地球上の同じ場所に帰ってくることを意味します。つまり、ある一定期間毎に同じ場所を同じ位置から観測することが出来ます。
リモートセンシング衛星としては、「だいち(ALOS)」「LANDSATシリーズ」など多くの衛星が有ります。

3.その他の軌道

熱帯降雨観測衛星(TRMM)は、赤道を挟んだ熱帯地域のみをくまなく観測できる軌道を採用しています。これは、熱帯海洋域を含む地球規模での降雨観測を目指しているためです。
この様に観測の目的に合わせて軌道は選択されています。

地球観測衛星を使ったリモートセンシングとは

地球観測衛星は、リモートセンシング技術を使って地球を測ることを目的とした人工衛星です。目的に応じて色々なセンサ(測定器)を載せています。

代表的なセンサの紹介

地球観測衛星に載せられている代表的なセンサは大きく3種類あります。

1. 太陽の光の反射や放射を測る -光学センサ-

太陽の光(人間の目に見えない紫外線や近中間熱赤外までを含む)が物にあたり反射した光を測ります。また、対象物が放出(放射)している熱を測ります。

2. センサから発射するマイクロ波を使って、対象物が反射するマイクロ波を測る -能動型マイクロ波センサ-

自らマイクロ波を地球に向けて発射し、対象物から反射されて戻って来るマイクロ波を測ります。マイクロ波は雲の影響が少ないので、光学センサでは困難な「夜間」や「悪天候時」にも観測ができるという特徴があります。主に合成開口レーダ(SAR)と降雨レーダ(PR)の2種類があります。

3. 対象物が放射するマイクロ波を測る -受動型マイクロ波センサ-

物はその種類とその状態によって異なるマイクロ波を放射します。これを測るセンサで、能動型マイクロ波センサと同様、光学センサでは困難な「夜間」や「悪天候時」にも観測ができるという特徴があります。

センサで測れること

光学センサ

植物の有無、地表の温度、海面の温度、地表の高さ、雲の状態、水の有無

能動型マイクロ波センサ

植物の有無、地表の高さ、雲の状態、水の有無

受動型マイクロ波センサ

地表の温度、海面の温度、雲の状態