| PROFILE | ||
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| オロークブライアンさん Brian O'ROURKE | 分析計測標準研究部門 X 線・陽電子計測研究グループ | 入所年 2010 年 |
故郷に戻りたいと思ったことはない。大切な家族と、大好きな研究がそこにあるから。 研究内容 「低速陽電子ビームの発生と陽電子消滅分光計測方法の開発」アイルランド出身のブライアンさんは、もともとは日本 の別の研究機関で働いていた。その後一度日本を 離れ、ドイツの研究所や地元アイルランドの大学で研 究を行っていたのだが、日本に残して来た妻と1歳の 娘への思いもあり、日本で働く機会を探していた。そんな時、産総研の話が持ち上がる。これ までの博士課程の研究テーマは、原子物理 で面白い研究だったが、直接世の中の役に 立っているという実感を得ることができな かった。自分の専門を活かして、人の 役に立ちたいという思いがずっとあった。 直接人の役に立つ研究をしたくて産総 研で働きたいと強く思った。 産総研に入ってからの研究は、陽電 子を人工的に発生させること。これは、 全くやっていなかった研究だった。不安 もあったし、陽電子も素人だったので慣 れるまでは大変だった。でもグループが 少人数で、先輩がとても親身になって教 えてくれたので、そこで育ててもらったこと に本当に感謝している。ブライアンさんは自 分の経験から、「専門外の分野で研究を行 う時には、細かい経験や知識よりも熱意や 好奇心を持つことが大事」。そう教えてく れた。 6 年前に入所した時には、低速陽電子 ビームの強度を上げるため、超伝導加速 器空洞を別な研究機関から譲ってもらって、パーツ からひとつ一つコツコツと組み立てることから始まっ た。新品ではないので色んなところが故障して大変 だった。組み立てている最中に、東日本大震災が起 こった。キーパーツが壊れたり手に入らなかったりし て本当に大変だったが、何とかそれらを乗り越えて 動かすことに成功した時は嬉しかった。でもまだユー ザに貢献出来るまでの装置には至っていない。そこ までの道がとても長いがそれをやり遂げたいという。 『研究を社会に!』ブライアンさんは、産総研をそう 一言で表してくれた。それが他の研究所とは違う。 研究の先を常に頭においている。今の装置がきちん と動くとビームの強度が向上して、今よりも強い低速 陽電子を発生することができる。早く装置を完成させ て、新たな計測方法を開発したいと。しかし、今の 装置を完成するためには、装置の開発費用も必要。 その為に研究の必要性を周囲に伝えて行くことも大 切。良い研究をして結果を残し、次世代に研究の 重要性を示してあげないといけないと思っている。 またブライアンさんにとって、3 人の子どもたちと公 園で遊ぶことが何よりも楽しい時間。「仕事も家族も 両方大事。大切な家族と、大好きな研究ができて本 当に幸せ。アイルランドに戻りたいと思ったことは特に ない。治安もよくて、景色もきれい、人も優しい大好 きな日本で、これからも人の役に立つ研究をして行き たい」。ブライアンさんの中にある日本は、もう故郷そ のものなのかもしれない。 |
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