ADK側 課徴金減免へ自主申告
2022年11月22日 05時00分読売新聞
「ADKホールディングス」の本社が入るビル(東京都港区で)
東京五輪・パラリンピックのテスト大会事業を巡る入札談合疑惑で、大手広告会社のADK側が課徴金減免(リーニエンシー)制度に基づき、公正取引委員会に違反を自主申告していたことが関係者の話でわかった。東京地検特捜部は、大手広告会社「電通」やADK側などが落札した同事業で独占禁止法違反(不当な取引制限)にあたる受注調整が行われた疑いがあるとみて、公取委と連携して捜査している。
談合の疑いが浮上したのは、大会組織委員会が発注した各競技のテスト大会の計画立案などを委託する業務。2018年、1~2会場ごとに計26件の競争入札が行われ、電通や「アサツーディ・ケイ」(現ADKマーケティング・ソリューションズ)といった広告会社など9社と共同事業体の1団体が落札した。契約額は1件あたり約6000万~約400万円で、総額は5億円余りに上る。
ADK側は、体操などが行われた「有明体操競技場」や馬術の「馬事公苑」などでの計画立案業務3件を落札。1件当たりの契約額は約4500万~約2900万円で、総額は計約1億円だった。
関係者によると、計画立案業務の入札に関し、ADK側から公取委に「事前の受注調整があった」などと違反の自主申告があったという。違反した場合は課徴金納付命令や刑事罰を受ける可能性があるが、公取委の調査前後に談合やカルテルを自主申告すれば、課徴金が減免されたり、刑事告発が見送られたりすることもある。
ADKホールディングスの大山俊哉社長は20日、談合疑惑に関する取材に「言える状況ではない。(自主申告については)ノーコメント」と話した。
組織委(清算法人に移行)によると、計画立案業務を受注した9社と1団体は、テスト大会の実施業務、本大会の競技運営の業務について組織委と随意契約を結んだ。契約総額は数百億円に上ったとみられるが、組織委は取材に「金額は開示できない」としている。
特捜部は、電通をはじめ入札に参加した複数企業などの間で、本大会の競技運営などを担当することも視野に談合が行われた疑いがあるとみて、公取委とともに調べを進める。
ADKを巡っては、前社長・植野伸一被告(68)ら元幹部ら3人が今月9日、組織委元理事の高橋治之被告(78)(受託収賄罪で起訴)に賄賂を渡したとする贈賄罪で起訴されている。
◆課徴金減免(リーニエンシー)制度=2006年施行の改正独占禁止法で導入された。課徴金の減額率は、原則として申告の順番が早いほど大きくなる。公取委が19年に強制調査に着手した医薬品発注を巡る談合事件では、最初に違反を申告した業者が刑事告発と行政処分を免れた。