すぐに決めきれないし、決めようとすると不安が襲ってくることもあります。「念のため、全部確認したい」と思うのが、保全性の特徴です。
そのうえで、「一番難しいから」という理由で、ムッタはトランペットを選びます。
簡単に弾けそうな楽器ではなく、一番難しそうな楽器を選んだのです。
なぜでしょうか。保全性は、知識やスキルを積み上げていくことを好む因子です。経験値の蓄積はその人の自信になり、さらに高みを目指す原動力になります。目標に到達するまで時間や努力を要しても、まったく平気なのです。
ただし、難しそうなものを選ぶといっても、未知の領域に挑戦したいわけではありません。時間をかけて努力さえすれば手が届く範囲で、自分の経験値を最も高められそうなものを選びます。それがムッタの場合、トランペットだったのです。
一歩を踏み出す場面では慎重で、なのに、一歩を踏み出すと決めたなら、どこまでも粘り強く、やりたいことを成し遂げようとします。
一歩が踏み出せない人は、どう戦えばいいのか
保全性の高さ=慎重さは、生まれ持った個性です。
くどいですが、拡散性と比較して、どちらが優れているとか、劣っているということではありません。
行動力がある、というのは、経験や知識の積み重ねがまったくない未知の領域へ足を踏み入れることを「喜びとする」タイプともいえるでしょう。拡散性が高い人の行動力はそこから来ます。それを慎重派の人が形だけ真似しようとしても、自分を苦しめるだけです。
では、保全性の高い人が未知の世界に飛び込み、夢をかなえるにはどうすればいいのでしょうか。
保全性が高い人には、保全性ならではの戦い方があります。自力で道を切り開くのが苦手なら、周りの人の助けを借りればいいのです。
ムッタの場合、再び宇宙飛行士を目指すきっかけをつくったのは、弟のヒビトでした。
ヒビトは、幼い頃からムッタと夢を共有してきた、ムッタの一番の理解者です。ヒビトがムッタに内緒でJAXAに履歴書を送ったところ、書類選考を通過したのです。これでムッタが最初の一歩を踏み出すハードルはかなり低くなりました。自信を失ったムッタを動かすには、これくらい強引なお膳立てが必要だったのです。
もう一人、第二の母といえるシャロンの存在も大きなものでした。シャロンは、兄弟の個性の違いをよく理解し、挑戦に慎重になりがちなムッタの人生の節目ごとに彼を勇気づけ、背中を押してきました。
ムッタは選択に悩むと、必ずシャロンのもとを訪れています。彼女に会うことで、勇気を得て、未知の世界に進むことができる。これが悩んだときのムッタのルーティンです。ちなみに、ルーティンを持つのは保全性の特徴です。不安なときに確認することで、また慣れていることを続けられるからです。
JAXAの宇宙飛行士選抜試験を控え、ムッタは再びシャロンに会いに行きます。不安に襲われてまた逃げようとするムッタに、シャロンは音楽に例えてこんな言葉をかけるのです。
「上手くなくてもいいし、間違ってもいいのよ。まずは音を出して。音を出さなきゃ、音楽は始まらないのよ」
37件のコメント
テキサスひらめ
60年代にアメリカで作られ、どのような仕事に向いているのか等分析に使われてきたMyers-Briggsテストに似ていますね。私はENTPで
意識ー外向型、エネルギー 直感型、気質ー論理型、アイデンティティー自己主張型
既存のシステムを変えた
りするのは得意だが、その変えたものを日々管理するのは苦手。面倒な作業は逃げる。全人口の3%とテストで出ました。当たっているような気がしますが(面倒な作業は逃げる点)、研修でこのテストを受けた人はエンタメのように楽しみましたがそれ以上に何かがこのテストによって変わったとは聞きません。...続きを読む退会済み会員
このコメントは投稿者本人によって削除されました
tsukuyomi
FFS理論とは、ギャラップ社のストレングスファインダーの簡易版のようなものでしょうか。
こういったツールは、上司が仕事の割り振りやチームビルディングを考える際には目安となるかもしれませんが、個人がどのように活用すればいいのかは、記事からは
あまりよくわかりませんでした。...続きを読む古野俊幸
株式会社ヒューマンロジック研究所 代表取締役
皆さん、いろいろとご意見ご感想ありがとうございます。投稿と返信を間違えていましたので、個別は返信させていただきます
Take.Haya
いくつかの個人の特性を計って、行動の傾向を分析し、チームビルディングに活かすという手法は、昔からいくつも提唱されているように思います(私も現役時代にはいくつかの講習を受けました)。これらは、時代が下るにつれて、精度の向上が見られたりしている
のか、は興味を引くところです。...続きを読む自由度高くチームビルディングができる組織ならばともかく、実際の組織では、リーダーは、与えられたメンバの特質や過去の行動をみて、タスクを与えていく事になる。そのような状況では、理論的な見方もさることながら、個人の実際の動きをみてフィードバックを行って適正化を図っていく事の方が多いと思います。
今回の連載は、「宇宙兄弟」の読者層が主なターゲットと思われますから、これからリーダーになる層の方々の、個人の行動を変えていくための考え方が示されるのでしょう。このような変化をみたリーダーはどのように見方を是正していくのか、のヒントになるものにもなるのかのしれませんね。
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