■トヨタ以外も長野県内のディーラーからは相手にされず…
もちろん「出入り禁止」になった理由は不正な転売が発覚しただけではない。すでに、このころ(2018~2019年)から業販で新車の販売契約をしたものの、トヨタ以外でもディーラーへの支払いが遅れることが増えていた。
ディーラーの責任者が立ち会って誓約書を書かせたケースも複数ある。そんなこんなで長野県内の自動車ディーラーにはもう相手にされなくなっていたため、小谷被告は近隣の新潟、埼玉、そして東京などのディーラーに取引を持ち掛けるようになった。
ドイツ製SUVを購入するために代金のおよそ半額となる731万円をデュナミス・レーシングの口座に入れた関西在住のKさんの例も、実にひどい話である。Kさんはほかに国産ミニバン数台など合計3000万円を2021年10月に入金している。ドイツ製SUVは新潟県内の輸入車ディーラーに発注されていた。
「遠方ですし、納車までの期間も長いので正規ディーラーの営業マンXさんを付けますね。安心してください」
と、小谷被告から言われたKさん。営業X氏とも話をすることができ、安心して入金したのだが…。
小谷被告の口座に入金して間もなく、小谷→ディーラーにちゃんと入金されているか不安になったKさんは営業X氏に電話をする。
「731万円を入金したのですが、小谷社長から御社への入金は完了していますよね?」
と尋ねると、営業X氏は「はい。振り込まれています」と答えた。名のある正規ディーラーの営業マンがこのように答えれば当然、信用するだろう。ちなみにこの時、Kさんは録音もしている。
■あまりにも無責任な大手輸入車ディーラー営業の態度
ところが約3か月後の2022年1月6日に小谷被告の夜逃げが発覚。Kさん夫妻が改めて営業X氏に電話をして入金を確認したところ…、
「振り込まれていると思いますが…、確認します」と言って電話を切り、その後、X氏から驚く返答が来た
「お金は振り込まれていませんでした」
え? え?
昨年入金した10月の時点では「731万円は入金されている」と言ったはず。なぜなのか?
以下、筆者がX氏と直接電話で話した際の、X氏の言い分である。
「昨年9月に発注を受け、その後10月に小谷社長から『これから入金します』と電話がありました。『ありがとうございます』と言って電話を切った。その直後にKさんから入金確認の電話があったので、確認せずに『入金されています』と答えました。これは自分の落ち度です。小谷社長の言葉を信じて、入金されていると思い込んでいました。クルマは確かに注文を受けています。納車まで2~3年かかる特殊なクルマなので手付ナシでも注文を受けています」
輸入車ディーラーとしては老舗中の老舗。そこの営業が731万円という高額の入金に対して確認もせず「入金されています」などというものだろうか? しかも、その後も調べることなく今年1月に事件が発覚し、Kさんに聞かれてやっと「振り込まれていなかった」ことを確認している。
X氏によると、デュナミスレーシングとの取引はKさんのSUVが初だという。
納車まで時間が掛かるクルマの場合、県外からの注文も結構あるのでとくに不審に思わなかったとのこと。あまりにも無責任ではないか。
先日、小谷氏の逮捕を受けて久しぶりにKさんに連絡をしたが、その後も営業X氏からはお詫びも含めてまったくなんの連絡もないそうだ。
2022年11月16日付『信濃毎日新聞』の報道によると、警察は近く、別の被害者の件で小谷被告を再逮捕する方針を明らかにしたという。
「納車する気もない、発注すらしていないのにお金を振り込ませてだまし取った」という詐欺の意思について小谷被告は否認しているという。つまり、お金をだまし取るつもりはなかったといいたいのだろう。
30年以上の付き合いがある被害者たちに、各々数百万円を振り込ませて2年以上も納車しない。このせいで人生が大きく変わった被害者も少なくない。だますつもりはなかった? であれば、小谷社長を信じて納車を待ち続けてきた人たちに少しでも返金し、誠意を見せるべきではないだろうか。
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