「見当違いの同情もある」 大阪・西成の労働者から神父が学んだこと
岡田真実
大阪市西成区にある日雇い労働者の街・釜ケ崎で30年以上にわたり支援活動をするフランシスコ会神父の本田哲郎さん(79)が6日、長崎市で社会的に弱い立場にいる人との関わり方について講演した。自身の経験をまじえながら、傾聴の大切さを訴えた。
悩みを抱えた人たちの相談を受け付ける「長崎いのちの電話」の開局28年を記念した催しで、約150人が参加した。
講演会では、野宿をしている労働者に「自分は野宿したことないから何もわかっていないかもしれない」と話すと、「あんたが野宿してくれたって何の足しにもならない」と返された自身の経験を紹介。「同じことをするのが歩み寄りであるかのような、見当違いの同情をやってしまう可能性がある」と教訓を述べた。
いのちの問題にぶつかっている人たちに対しては、「『アドバイスをしてあげよう』という上からの目線ではなく、『相手が解決方法を知っているに違いない』と相手よりも下に立って聞く、傾聴の姿勢が大切だ」と呼びかけた。
長崎いのちの電話(095・842・4343)は年中無休で午前9時~午後10時。毎月第1・第3土曜日は相談を24時間受け付けている。日本いのちの電話(0120・783・556)は、午後4時~午後9時。毎月10日は自殺予防デーとして、24時間受け付けている。(岡田真実)