沖縄市の路上でバイクに乗った高校生が警察官に暴行され失明した事件で、県警は2日に那覇市の県警本部の一室に記者を集めた「説明会」(レク)を開いた。その質疑応答を沖縄タイムスプラスで全文公開する。
2022年11月2日午後2時
場所:県警本部4階
出席者:警務部首席監察官山内敏雄氏、監察課長川邊茂氏、捜査1課次席石川栄一郎氏、広報相談課広報室長安里真全氏(進行役)
進行役:本日の記者レクについては、山内主席監察官から事件概要の説明を行った後、記者の皆様から質問を受ける形で進行しますのでご了承ください。
■事件の説明
山内首席監察官:
本年1月27日深夜、沖縄市内の路上において発生した、沖縄警察署勤務の警察官とバイクを運転する少年が接触した事案について、本日当該警察官を特別公務員暴行陵虐致傷罪で那覇地方検察庁へ書類送検した。それではお配りした広報文に沿って、本件の事件概要について説明する。まず送致日等は先ほど申し上げた通り。
発生日時は令和4年1月27日午前1時16分ごろ。発生場所は沖縄市宮里1丁目在の路上。被疑者は警察官巡査A30歳男性。被害者は高校生B10代男性です。事案の概要だが、Aは前期発生日時場所において、暴走族取り締まりのため徒歩で警ら中、A自身の方向に進行してくるBが運転するバイクを認めたことから職務質問するため同バイクを停止させようと有形力を加えBに右眼球破裂等の障害を負わせたもの。なお県警察からのコメントについては、お配りした警務部長のコメントの通り。
■壱岐恭秀警務部長のコメント
本県警察職員が、職務執行中、市民の方に極めて重い傷害を負わせたことは、誠に申し訳なく、被害者やご家族をはじめ県民の皆様に、深くお詫び申し上げます。
本警察といたしましては、今回の事件を大変重く受け止め、このような事案が二度と起こらないよう、職員への指導監督等を徹底し、再発防止と県民の皆様の信頼回復に努めてまいります。
■報道各社による質疑応答
Q:報道各社
A:山内首席監察官
Q. 事件発生から9カ月経って今日送致したということだが、9カ月経った理由は何か。
A. 捜査が長期間となった理由だが、本件は被害者と当該職員以外に目撃者や防犯カメラ等がなかったため、事実関係の特定に相応の時間がかかってしまった。
Q. 事実関係の特定で防犯カメラや目撃者がいない中でどういう形で対応したのか。
A. 事実の認定だが、関係者の供述や各種実験の結果等を踏まえて認定している。
Q. 各種実験というのは具体的に言うとどういうものになるか。
A. 各種実験の詳細については、今後の捜査等に影響が生じる可能性があるためお答えは差し控えたい。
Q. 有形力の説明をいただきたい。
A. 県警が認定した具体的な事実は、当該職員が職務質問をする目的で被害者が運転するバイクを停車させようとした際、停車せずにさらに走行を続け向かってきたことから停車させようと右手に把持した警棒を被害者の右目付近に衝突させるとともに左手でつかみかかる暴行を加えたことにより右眼球破裂等の傷害を負わせたものとしている。
Q. 一般的に右の眼球が破裂したら目が見えなくなると思うが、そこの部分は。
A. 医療関係者の方からは回復は難しいというようなことを説明を受けた。失明したという認識。
Q. 男性巡査に関しては何と供述しているのか。
A. 被疑者の供述に関しては、今後の捜査に支障が生じるために、この場での回答は控えさせていただきたい。
Q. もう一度理由を教えて欲しい。
A. 今後の捜査等に支障を及ぼす可能性があるので回答を控えさせていただきたい。
Q. (容疑者が容疑を)認めているかいないかも言えないということか。
A. はい。先ほど言った県警が認定した認定事実は先程申し上げた通り。
Q. バイクを止めようとした際にバイクが止まらなかったとおっしゃっているが、これは警察官の言い分なのか。被害者側の高校生も一致している点なのか。
A. 両者からの供述です。
Q. 停車を求められたが停車しなかったという認識でいいか。
A. その辺は若干齟齬(そご)があるので具体的には申し上げられないが、車両が止まらなかったのは事実。
Q. 車両が止まらなかったのは事実で、止めようとしたのは止まらなかったというのは警察官の言い分のように聞こえるが、高校生も一致しているということになるのか。
A. 一致している。
Q. 齟齬(そご)があるとおっしゃったのはどういう部分で齟齬(そご)があるのか。
A. 停車を求めたという部分に若干齟齬(そご)がある。
Q.その部分をもう少し詳しく教えて欲しい。
A. 事実に関することなので、お答えは差し控えさせていただきたい。
Q. 警察官は何と言って停車を求めたのか。
A. それも控えさせていただきたい。
Q. 高校生が暗闇で見えなかった可能性があるのか。
A. 今後の捜査に影響が出るので(言えない)。
Q. 停車を求められたことに関して高校生は感知していたことは認めているのか。停車を求められたという認識は高校生側にはあるのか。
A. ないです。
Q. ないとするなら、事実認定した部分は警察官が言っていることなのか。
A. 何度も申し上げるが、今回の事実認定については、先ほど申し上げたように、関係者の供述や各種実験等で実際に負った被害の程度等を加味しながら認定しているので、それ以上の詳細な部分については今後の捜査に支障がある。
Q. けがについてはそれで理解できるが、(高校生が)停車を求められて無視した形で止まらなかったのか、停車を求められたことに関して全く気づいていなかったのかは大きな違いなのでそこはクリアにしたい。
A. 何度も言っているように、運転するバイクを停車させようとした場合、停車せずにさらに走行を続けて向かってきたことから停車させようとして掴んだという認定。
Q. 高校生側は停車を求められたと認識しているかどうかについては今のご回答の認識の中には、入っていないという認識でいいか。
A. 何度も言うが、停車させようとした際、停車せずにさらに走行を続けて向かってきた。
Q. 向かってきたではなくて、それは向かったと言い換えられるか。
A. 今申し上げているのが我々の認定した事実。
※その後、捜査1課に確認したところ、「『認定した事実』には高校生側の認識は入っておらず、高校生側には警察官が見えていなかった可能性がある」との回答だった。
Q. 送致に際して処分意見は付けたのか。
A. 意見は付けているが、詳細はお答えを控える。
Q. 起訴を求めるという厳重処分を求めたかどうかは。
A. それも(お答えを控える)。基本的に、意見の内容については先ほど申し上げられないが、我々は捜査を尽くしているので起訴を前提としての送致ということになる。
Q, 巡査は休職や退職の意思を示しているか。
A. そういった事実はない。
Q. 昨日(11月1日)、高校生とご家族に県警の幹部の方が謝罪されたと思うが、どなたがどういう謝罪したのか教えて欲しい。
A. 昨日、被害者への謝罪は、沖縄署長が被害者及びご家族と面談し、今回の捜査の結果を説明するとともに謝罪した。
Q. 先方から謝罪を受けての回答は何かあったのか。
A. その時は特にコメントはなかったと伺っている。
Q. 謝罪した際のコメントがあれば教えて欲しい。
A. 全ては言えないが、「本来であればもっと早くに結論を出して謝罪したかったが、捜査が難航して長期化してしまい昨日のタイミングになったことを深くお詫び申し上げる」。
Q. 警察官の処分はどのようになっているか。
A. 当該警察官の処分については、今後の捜査の進捗等を踏まえて厳正に対処して参りたいと考えている。
Q. 警察官は県外が派遣されてきたという話もある。県警に所属している警察官ではないということか。
A. 本人の身分は沖縄県警の警察官。
Q. 処分は県警がするということになるのか。
A. そうです。
Q. 故意に暴行を加えたことを認定していると思うが、一方で本人はこれまで故意性はないと話していたが、県警が故意と認定した根拠を教えて欲しい。
A. 関係者の供述や各種実験等の結果を踏まえて認定した。
Q. 状況的に見ると、未必の故意など、警棒を伸ばした状態でバイクが発進してくればある程度けがを負わせると認識する蓋然性も認識できると思うが、その点はどうか。
A. 基本的に、当該職員が職務質問するために走行するバイクにつかみかかる暴行は不適正な職務執行と考えている。つかみかかる行為が故意になる。
Q. 警棒の使い方は適正ではなかったという認識なのか。
A. 先ほども何度か申し上げているが、当該職員が職務質問するために、走行するバイクの運転手につかみかかる行為は不適切な職務執行だが、その中で被害者が運転するバイクを停車させようとして右手に持っていた警棒を被害者の右目付近に衝突させている行為は不適切だと考える。
Q. (バイクを)停止させるために、警棒をその場で持っていたことは不適切ではないのか。
A. そうですね。基本的には夜間の単独警らの場合に警棒を把持して警らすることは特段問題はない。
Q. 右手で警棒を持って左手で(被害者の)体をつかんだというのは、左手は体のどこの部分を掴んだのか。
A. 具体的な場所は今後の捜査に支障が出るのでお答え控えさせていただきたい。
Q. 掴みかかったとおっしゃったが、掴んでいるのか、掴もうとしたのか。
A. 言葉の通り。触っているということ。
Q. 掴みかかったと同時に警棒が当たったという認識なのか。
A. その辺りの具体的な衝突の詳細については今後の捜査に支障があるのでお答え控えさせていただきたい。
Q. 衝突させたことは故意だと思うが、(警察官の)自分の力で(高校生の)右目付近に警棒を当てたということなのか。たまたま当たったのではなくて、警察官の力で警棒を当てているという認識でいいのか。
A. 何度か申し上げたが、警棒が具体的にどのように衝突したかは今後の捜査に支障があるのでお答えを差し控える。
Q. 当たったことは事実だが、故意に警棒を振って当たったということでいいのか。
A. 何度も言いますが、警棒の具体的な衝突状況については今後の捜査等に支障が生じる可能性があるためお答え差し控えたい。
Q. 故意の根拠がその部分になるとおっしゃっていたので、そこははっきりさせたい。
A. 我々が事実認定したのが、向かってきた車両を停車させようと右手に把持した警棒を被害者の右目付近に衝突させるとともに、左につかみかかる一連の暴行と考えているので、何回も言うが、当該職員が職務質問するために走行するバイクの運転手につかみかかる行為は不適正な職務執行になる。
Q. つかみかかって衝突させるという一連の行動が故意だったという認識でいいか。
A. そうです。
Q. 警棒は伸ばしている状態だったという理解でいいのか。
A. そうです。
Q. 警棒を伸ばして、警棒でバイクを止めようとしたか。
A. 何度も同じ事で申し訳ないが、走行するバイクの運転手につかみかかる行為は不適正な職務執行。警棒の具体的な衝突状況は今後の捜査等に支障が生じる可能性があることからお答えを差し控えさせていただきたい。
Q. 右目をねらって衝突させたかどうかも今も捜査中のため答えられないということか。
A. 大変申し訳ないが、よろしくお願いします。
Q. 警棒が右目に当たった部分は故意性を認めたのかどうか。
A. 同じ話の繰り返しになるが、県警が認定した事実についてだが、当該職員が職務質問しようと被害者が運転するバイクを停止させようとした際に、右手に把持した警棒を、右目付近に衝突させて、さらに左手で掴もうとしたという一連の行為全体を暴行という形で認定している。
Q. 故意の暴行と認定しているのか。
A. つかみかかろうとした行為、一連の行為が故意の暴行。
Q. バイクは停車したのか。
A. そのまま逃走している。すみません、逃走ではなく止まらなかった。
Q. 警棒を伸ばしたことが目を失明させようと思って警棒を当てにいったのか、それとも警棒を伸ばすことで目に当たるだろうと思って伸ばしたのかどうか。
A. 基本的な考え方になるが、暴走族警戒の警ら中だが、警棒をその時点で伸ばしている。それで結局、(警察官の)自分自身に向かってくるバイクがあったので、職務質問のために停車させようとして掴みかかった。
Q. 今まで少年が暴走行為をしていたことは事実ではないと県警はおっしゃっていたが、その時少年は何をしていたのか、どこに行こうとしていたのか。
A. それについては、プライバシーになるのでお答え差し控えさせていただく。




















