-文芸編集者の面白さはどこにありますか
新しい作品を、作家さんと一緒に作り出せることです。
原稿を一番に読む瞬間は、何度体験しても楽しいです。一方で「初めての読者」として、作品をどう評価するかの判断を迫られることに毎回緊張もします。
正解がない仕事なので、1冊の本を作る中で修正は必要か、本の装幀やあらすじ、帯をどう作ったらたくさんの読者に読んでもらえるのかなど、常に悩みながら仕事をしますが、作品に重版がかかった時は毎回祝杯をあげます。
-ONとOFFはどのように切り替えていますか
本日絶対やらなければならない事をリストに書き出し、それが終わったらきっぱり仕事を終えるようにしています。だらだらと仕事をし続けたくはないので、集中して作業を終わらせ、帰宅後は仕事のことは考えないようにしています。
ただ、この仕事をはじめて「読書」はすべて仕事と結びついてしまったので、それは諦めていますが......。
出社 / 出社直後はメールや郵便物のチェック。それをしながら、1日の仕事の優先順位を組み立てていく。
販売会議 / 販売や宣伝担当と作品増売に向けての話し合い。まだ作品が届いていない層、もっと届けたい層を割り出し、そこへ向けたパネルやPOPの文言、デザイン、新聞宣伝などを検討。
自席作業 / 席に戻り、会議での課題をまとめたり、新たに届いたメールの処理を行う。
昼食 / 最近では自席で昼食をとりながら、担当している作品の公式Twitter(現在は2つを管理)をチェック。感想をRTしたり、新作告知などをいかに効果的にするかを考える。
リモート取材の同席。 / コロナ禍により、作家さんへのメディア取材はほぼオンラインとなった。担当者としてオンライン取材には必ず同席し一緒に話を聞く。
ゲラチェック / 作家さんから届いたゲラ(校正刷り)の赤字をチェックし、修正する。
作家さんへ電話 / 預かっていた原稿の感想を伝え、修正を依頼。どうしたらもっと良い作品になるかの意見を出し合う。お互いが納得するまで続けると、数時間が経過していることもある。
帰宅 / 定期的に書店に立ち寄っている。新刊棚を見て、目立つ本はどれか、本のデザイン、帯の色、キャッチコピーなど、不審者かというぐらいじろじろ見ている。また、自分が担当した本がきちんと置かれているかもしっかりチェック。
私が取材や打ち合わせに、ペンを剥き出しで持っていったたため、プレゼントしてもらいました。
これを見ると2021年本屋大賞を受賞した喜びを思い出し、今後も良い作品を作らねばと気が引き締まります。
就職活動中のみなさんへ
就職活動中のみなさんへ
私は仕事を探している時、ずっと不安でした。面接に向かう時など、すべての社会人が輝いて見え、嫉妬したほどです。
自分に向いた仕事は? お金を稼ぐ仕事を何にしたらいいのか? 色々悩んだ結果、最後に「本が好きだから、本に携わりたい」という気持ちが残り、今の会社に辿りつきました。
仕事は、実際にやってみないと向き不向きはわからないですし、職場の環境によっても大きくモチベーションが左右されます。朝起きて「今日、頑張ろう」と前向きに思える仕事に辿りつけるよう、頑張ってください。