Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

建設中の露太本線➑

レイアウト端で発生する道の風景端末処理当社事例を紹介しました、今回は水系の端末処理です。 暗渠化が進んだ都会では気付き難いですが、田舎には高密度の水系が存在し、それをレイアウトに取り入れ様とすると背景板側の端末処理問題が発生します。 背景に描くのは視点の高さにより違和感が出るので非常に難しい方法です。


当社従来線には南基台小川、東基台小さな流れ、峡谷の3本の川、生野駅融雪溝、中山平駅排水溝、張り巡らされた水田用水路の水系があり、全ての出入口は製作してません。 例えば川以外の水源は沢から引いた水を暗渠で供給されてる想定とし、実際に作ってません。


3-7.峡谷の川
川も道路と同じくレイアウト手前端の途切れは気になりません、ただ川は道と異なり上下流があります。 レイアウトは奥が高く手前が低い地形がほとんどで、必然的に手前が下流になり、従来線もそうなってます。

【『建設中の露太本線➋』より転載】
紹介した様に峡谷には大きな砂防ダムを建設しましたが、当初の風景製作設計には砂防ダムがなく違う形の地形製作を考えてました。

【峡谷風景設計図】
当初の風景設計は最終形より奥まで両岸岩稜の峡谷が続き、ループ線側から張り出した岩稜で峡谷がカーブして視界から消える端末処理を考えてました。 しかし、屋根が低く背景板設置位置を前にするしかなく、線路敷設を先行し設計通りの製作が不可能になりました。


峡谷ユニットを完成してから両基台測板下に取り付け、その後線路敷設しない限り製作不能な設計でした。 線路敷設し背景板設置時に気付き砂防ダムで逃げたのが実態です。

【峡谷の奥】
西基台北側ループ線メンテ用穴に潜り込み天井板近くにカメラを掲げ、ファインダーを見る事もできない山勘撮影で10枚ほど撮影した1枚です。 峡谷背景板が前へ出て砂防ダムで逃げましたが、鉄橋奥の風景製作は目視確認できない難工事でした。 砂防ダム上は小さなプール状になっており、上流を森影から流れてくる様にして風景の端末処理をしました。


3-8.南基台の小川
設計時に一番悩んだのが南基台の小川です、平地を流れる川幅の広い川が背景板から突然飛び出す違和感避けたいですし、絵心がなく水面表現などとてもできない相談です。 そこでガーダー鉄橋角度を45度に大きくし、鉄橋奥スペースで誤魔化すトリックを考えました。

【小川は何処から?-1】
小川の左側はお寺がある山です、小川はその山裾に流れてるので、背景画に伸びた尾根の林画像を使い、鉄橋先で川筋が右カーブして消える風景端末処理をしました。 これは想像以上の効果があり、川と右岸土手道の端末処理が同時に行え違和感がありません。

【小川は何処から?-2】
小川の奥方向が見えるアングルからでも舞台裏は見えず違和感ありません。 なお、右岸石垣パイプから流入してるのは段々水田用水路の出口端末処理ですが、実はコレ矛盾してます、水門がなければ川の増水時逆流し、水田が水びたしになるからです。 完成後に気付きましたが、風景として大きな違和感なく気付く人は非常に少ないのでヨシとしました。

【延伸線風景設計図より】
詳しい部分にこだわるのがマニアの性、延伸線では増水時逆流防止の水門を設けてます。 またハンドル作るのに苦労しそうですが。 と同時にカーブ鉄橋で渡る川は奥が川下で通常とは逆の難しい端末処理です、周辺風景との整合性からこうするしかありませんでした。

【過去記事より転載】
空が基台奥で90度曲がっており、そこまで河岸段丘ユニット、その先は実景写真を画像加工した写真ですが風景繋がってる様に見えませんか? 右側からも山がせり出し、手前にカメラ台になる小型砂防ダム設置で目隠しにもなり、自然に見える端末処理と考えてます。

【小川の端末処理舞台裏】
話を戻して従来線南基台小川の端末処理、天井にカメラ押し付けて撮影すると、実際の風景製作はこうなってます。 天井高25cmなので見えずに製作してます。 プラスタークロス未塗装部分や路盤木材露出部分もあります。 実景と背景画の関係も良く解ります。


3-9.東基台の小さな流れ
当初設計に東基台の小さな流れはありませんでした。 田畑が広がる田園風景優先、広いと思い詰め込み過ぎはNGの意識が強く働いてたからです。 ところが製作すると意外に広く間延びし、この小さな流れと風景のポイントになってる鎮守様は後から追加した物です。

【小さな流れ】
軽量化不要の固定式レイアウトなので、敷地内の砂利を粗目細目のフルイにかけ5-12mm程度の自然石をふんだんに使ってます。 流れはジェルメディウムとブレンディッドファイバーで製作してます。 小さな流れを渡る簡素な橋で流れの始点が隠れてしまってます。

【小さな流れに架かる橋】
ちなみにこの橋は工作材・爪楊枝・板紙による自作品で、約5%の勾配になってます。

【ほとんど見えない!】
視点を下げて橋の下を覗き込んでもほとんど見えません。

【小さな流れの始点】
鉄道敷設前は信号所奥が上流の想定で、暗渠の出口を石垣材から製作して設置してます。 見えないなら製作不要ですが。自分を納得させるには作るしかありません。 実感的(当り前!)な自然石の使用例が少ないのは軽量化が必要だからでしょうか。

【小さな流れ下流】
風景製作過程で追加した小さな流れは線路と2度交叉しますが、小さな鉄橋を2ヶ所作るとゴチャゴチャするし製作も面倒、暗渠で線路の下を潜り、畑の間から姿を現してます。

【小さな流れ 全景】
信号所下から東基台端まで600mmで110mm流れ下る急流です。 この水を引ければ両側は水田になったハズですが、用水路が作れず両岸は4枚の畑になってます。 レイアウトでは田畑を一緒に考える傾向がありますが、実際は水を引けるか否かで決まってます。


3-10.その他の水系の行方
3本の川を除く水系の上流側は作ってません、融雪溝も水田用水路も近くの山の沢から暗渠で引かれてる想定でマスで突然姿を現します。 出口側の製作は部分的です。

【用水路の端末】
南基台小川にそそぐ風景的に矛盾した水田用水路端末を紹介しましたが、もう1ヶ所製作した場所があります。 お寺方向から水田脇を流れた用水路が右側水門で分流し、農道下を潜って左手水田に給排水した後、基台端で途切れてます。 他の用水路は行方知れずです。

【生野駅融雪溝の端末】
北国の駅に設置された融雪溝は幅1.2-1.5m深さ1mはあり、かなりの水量でした。 一晩で40-50cmの降雪は珍しくなく、駅員総出で構内に積もった雪を放り込んでも詰まる事なく、融雪溝と言うより流雪溝でした。 工業団地建設時に融雪溝水路の下流を作りました。


両工場間の暗渠出口と融雪溝終端は150mmほどで辻褄が合います。 当時の事なので工場排水が流入し水質汚染があったかもしれません。


ではまた。