日本最北の動物園、旭川市旭山動物園。
年間300万人の入園者数を記録するなど、世界中からファンが訪れる大人気の動物園である。
その人気の秘密は、檻の中で動かないイメージがあった動物たちがより野生に近い姿を見せてくれる「行動展示」。
テナガザルは、目で追いつけないスピードで動き周り、身体能力の高さをみせ…カバは水中を飛ぶように移動し、親子でじゃれ合う。
今では数多くの動物園で行われている「行動展示」。
この常識を超えた展示方法を考え出した人物こそ、獣医師でもある、坂東さんである。
だが、実はここに意外と知られていない事実がある。
それは、旭山の飼育員のほとんどが…動物園に来る前は全く関係のない仕事をしていた。
実は旭山動物園は、旭川市の市営施設。
そのため飼育員は全員、市の職員であり、ほとんどが他の部署から異動してきた、動物に関しては全くの素人だったのだ。
そんな彼らがなぜ…革命ともいうべき動物園を築き上げることが出来たのか?
そこには、坂東さんが感じた悔しさと、素人飼育員たちの豊かな発想力があった。
今から55年前、北海道に開園した旭山動物園。 当時の旭川市の人口は約27万人、動物園は年間で45万人が訪れるほどの人気だった。 しかし、坂東さんが獣医として赴任した86年頃から、入園者数は落ち込み、赤字続きに。 今より動物の種類は遥かに多かったにも関わらず、檻の中でほとんど動かない動物たちの姿にリピーターはいなかったという。
坂東さんはこう話してくれた。
「寝てたらつまらないから(動物が)棒で突つかれみたいな、そんなような見られ方をしていて、自分たちは直接関わりを持つから、色々なシーンで(動物の)凄さだったりとか、感じてる訳じゃないですか。」
動物が持つ本来の凄さを来園者に伝えられていない不甲斐なさが募った。
そんな時、アザラシのプールで行動展示を生み出すきっかけとなった決定的な出来事が起こる。
学校の遠足で子供達が動物園に来た、当時はラッコブームだった。
アザラシに興味を持った子どもたちがその場から離れようとしないことに、しびれを切らした先生が言った言葉が…「これただのアザラシだよ」。
それを聞いた子どもたちも「なんだ、ただのアザラシだったんだ」と言う感じでその場から離れていったという。
坂東さんは、いつか絶対アザラシで見返してやりたいと思った。
そこで、自分が見て感動した、飼育下のアザラシの動きを見せたいと思った。
それは…垂直に泳ぐ動作を繰り返す、水の中での動き。
これまでの浅いプールでは、決して来園者が見ることのできないものだった。
こうして、今から18年前に完成したのが、あざらし館。
野生では流氷の隙間などを垂直に泳ぐというアザラシ!
そんな姿を360度どこからでも見られるようにこのマリンウェイを作った!
完成当初は、アザラシの動きに感動してもらえるのか、不安しかなかったという。
しかし、お客さんに大好評!
どんな動物も素晴らしい…まさに行動展示が生まれた瞬間だった。
そんな坂東さんが生み出した常識を覆す施設は他にもある。
野生では木から木へ移動し生活するオランウータン。
来園者は17mもの高さに張られたロープを渡る、彼らの空中散歩を楽しむ事ができる。
さらに動物たちの魅力を引き出しているのが、飼育員たちがエサを与えながら解説をする「もぐもぐタイム」と言われるガイド。
そこには…動物のプロではない飼育員たちが考え出した、様々な工夫があった。
施設の屋上にあがったチンパンジーの飼育員が、何やら投げ始めたのは…バナナ。
すると、スカイブリッジと呼ばれる通路の窓に張り付いたバナナを食べ始めた。
こうすることで普段なかなか見ることのできない、チンパンジーの体をじっくり観察してもらえる。
副園長の中田さんも、29年前に市の清掃局から旭山にやってきた一人。
実は、中田さんは最初は動物が苦手だったという。
そんな中田さんが飼育員としての仕事に目覚めたのは、最初に担当したダチョウのある事件がきっかけ。
ダチョウは自分で卵を抱かないので、孵卵器という卵を温める機械に入れ管理していた。
そして、朝昼晩と卵を3分の1ずつ転がさなくてはならなかった。
すると42日後、ひなが生まれていた。
実は旭山動物園でひなが生まれたのはこの時が初めてだったという。
しかし3日後、ひなは死んでしまった。
中田さんは、せっかく産まれた命をたった3日で終わらせてしまったのは、自分の責任だと感じた。
その出来事を胸に、動物たちの魅力を最大限伝える努力を惜しまなくなった。
かつて総務課にいたという大内さんも、悔しい思いをしたことがきっかけで、飼育員の仕事に目覚めたという。
大内さんを変えたのは、オランウータンを担当した時のある出来事だった。
それは今から14年前に遡る。
外が好きなオランウータンの母親、リアンは夏の閉園時間、17時になってもなかなか寝室に入ってくれなかった。
そんなある日、しびれを切らした大内さんは、オラウータンが嫌いな水をかけて入れようとした。
すると、その日以来…リアンは寝室に入ってくれなくなった。
だが、坂東さんが声をかけ、寝室への入り口を開けると…何事もなかったようにすんなり入っていくリアン。
その後、大内さんは、時間をかけて信頼関係を築く努力を重ねた。
数日後、閉園時間を2時間過ぎた夜7時、この日3回目のチャレンジ。
あせらず辛抱強く待っていると…リアンは寝室に入ってきてくれた。
この時の出来事が、今も胸に焼きついて離れないという。
自分が虜になった動物たちの魅力。
それを来園者に伝えるために大内さんは、現在担当するヒグマのもぐもぐタイムでも常に工夫を凝らしたガイドを行っている。
数キロ先の匂いも嗅ぎ分けるというヒグマ。
その凄さを感じてもらおうと、はちみつ入りの氷と普通の氷を用意。
穴を開けた漁業用のブイの小さい方には、はちみつ入りの氷、大きい方には普通の氷を入れる。
これを投げ入れると…ヒグマはすぐに蜂蜜入りの氷が入っているブイの方へ。
こうして最初は、全く興味がなかった仕事にも生きがいを感じ、旭山の飼育員たちはプロとして成長していった。
そんな中、今年4月、念願叶って旭山動物園の配属になった飼育員がいる、高橋ひなさん。
高橋さんの担当動物は、カバ。
現在、旭山ではオスの百吉と、メスの朝子、娘の凪子の3頭を飼育している。
9年前にオープンした かば館。
深さ3mのプールで水中のカバを見られる行動展示の施設。
高橋さんは、旭山動物園で働きたくて市役所に入ったのだが、配属されるまで3年かかったという。
プールへカバを出すと、2時間以上かけ、施設の掃除を1人でこなす。
カバ1頭が食べる草は、1日およそ40kg。
水を含んでさらに重くなった糞をひたすらかたづける。
お昼を食べたら、もう一つの担当、猛禽類の足の治療の手伝いへ。
その後はカバ館に戻り、もぐもぐタイムを担当。
そして、エサの準備をすると、カバを寝室に戻す時間。
カバを部屋に入れたら、すぐさまプールの清掃へ。
これも重要な仕事のひとつ。
糞の状態で健康をチェックしたり、施設に壊れている場所がないかなど、状況を確認したりするのだという。
しかし、この日、オスの百吉に異変が!
毎朝、欠かさない健康チェックでは、きっちり生えていた下の2本のキバ。
ところが寝室に戻ってきた百吉は、右下のキバが欠けているように見えたのだ。
カバのキバは自然と伸びていくため、伸びすぎると皮膚を突き破ることもあるという。
野生のカバは固いものを噛むことによって、自然とキバが削れるが、飼育下では難しいため飼育員が定期的に切っている。
しかし、まだ新人の高橋さんには、口を開けたままにしておく指示が出来ないという。
折れたキバは欠けただけで、問題はなかった。
もう片方のキバを切るため、現在、口を開けておくためのトレーニングを考えているという。
さらに、高橋さん 初めての経験となるのが…8月の1週間、閉園時間を夜9時まで延長して行う夜の動物園。
普段、旭山動物園では夕方、カバを寝室に入れ、エサを食べさせている。
しかし野生では主に夜、食べるという。
外の放し飼いスペースに草を置き、その様子をガイドしようと考えた高橋さん。
しかし、本当に食べてくれるのか不安を抱えていた。 すると…カバが餌を食べてくれた。 初めての夜のガイドは見事、成功。
さらに、カバの瞳孔の開き方が、昼と夜とでは全く違うことに気づいた高橋さん。 早速、展示するパネルを作り始めた。 後日、高橋さんが作ったパネルは、カバ館の前に設置された。
坂東さんは、現在の旭山動物園の人気についてこう語る。
「今年やったから来年やることないねにはならないじゃないですか。みんなそれぞれ新しい施設になったら、その中で何ができるかなって思うし、それがちゃんと来園された方にも届くような形で「もぐもぐタイム」のやり方だったりだとか、手書きの看板の書き方だったりだとか、いろんなことが常にやっぱりあぐらをかかずに前向きにしっかり、それが旭山のベースなので」
最後に坂東さんに、目指す動物園のあり方について聞いてみた。
「いわゆる保全活動っていうんですかね。見せ物的な芸やショーをさせるのではなくて、人の気持ちを惹きつけていった部分で、つまらないと思うものに誰も関心なんて持たない。でも今まで極端にいうと動物のことって、そういう世界だったような気がする。メジャーになってない。関わり持っていない人には知らないことになっている。だから(動物のことを)共有できる場として旭山は足を運んでくださる方が多くなったということは本当にチャンスなので、命を感じられる場所として、生き物は生活してるんだなと感じられる、それを知れる場所として、動物園はまだまだ可能性があると思う。」
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