【漫画】“生きてるだけで嫌われる”発達障害と診断されるまでの苦悩を描いた漫画に反響の声多数「勇気をもらった」

2022/11/19 10:00

発達障害の診断は見えない檻からの脱却。ふくふくさんの『生きづらい私は発達障害でした』が話題
発達障害の診断は見えない檻からの脱却。ふくふくさんの『生きづらい私は発達障害でした』が話題画像提供/ふくふく

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、作者であるふくふくさんが発達障害と診断されるまでの苦悩やこれからの未来を描いた作品『生きづらい私は発達障害でした』をピックアップ。10月17日に投稿されたツイートには、1万(11月07日現在)いいねを超える反響が集まっており、「勇気をもらった」「昔出会った人も発達障害だったのかも」「私だけじゃなかった」などといった声があがった。この記事では、作者のふくふくさんに話を伺い、創作の裏側などを語ってもらった。

“生きてるだけで嫌われる”から“1番の理解者”へ。先の見えない闇からの脱却に勇気づけられる

『生きづらい私は発達障害でした』 より
『生きづらい私は発達障害でした』 より画像提供/ふくふく

「発達障害」には、ASD(自閉症スペクトラム障害)、AD/HD(注意欠如・多動性障害)など多くの種類がある。近年は発達障害に関する理解が広がり、サポート体制も充実してきたが、数十年前までは発達障害を持っている人自身も、そうした子を持つ親も批判されることが少なくなかった。この作品では、いくつかの発達障害を持つふくふくさんの体験談が描かれている。

飲食店アルバイトや事務で仕事をするも、いつも怒られてばかりで仕事仲間からは嫌われる。時には包丁を突き付けられたり、集団無視をされたりすることもあった。全力で仕事を頑張っているつもりでもうまくいかず、最初は歓迎されても、徐々に空気よどみ嫌われ辞職を繰り返す日々。

思い返してみると、仕事に限らず学校や友達ともうまくいくことは少なく、「生きてるだけで嫌われる」と実感させられた。そんな中、結婚・出産を経て、子どもの発達が遅いところが昔の自分に似ていると気づき…というストーリーが描かれている。

「誰かが一歩進むきっかけになれたら」 作者・ふくふくさんが創作の裏側を語る

『生きづらい私は発達障害でした』 より
『生きづらい私は発達障害でした』 より画像提供/ふくふく

――ふくふくさんが今回、「発達障害の生きづらさ」をテーマに漫画を創作しようと思ったきっかけや理由があればお教えください。

今回の漫画は私自身のコミックエッセイなので創作ではないのですが、自身の生きづらさや想いを"可視化してみたい"と思ったのがきっかけです。冒頭の飲食店アルバイトが、今から20年以上前の16歳くらいの時。事務の仕事は19歳くらいの時のエピソードです。まだ、「発達障害」という言葉すら聞いた事がない人がほとんどだった時代です。

そして現在、私と同じ発達障害を持つ子どもを育てているのですが、自分の時代との周りの理解や支援の差に驚いています。昔なら「問題児」として、先生や同級生からもかなり風当たりが強かったのですが、早期診断・早期支援に繋がる事で、園や学校の理解と配慮があったり、同級生達の偏見もほとんど見られないように思います。自治体での差はあるかもしれませんが、幼児期の支援開始からの記録を細やかにしてくれ、その後の受験・就労などで不利にならないよう成人後までサポートする仕組みがあったり。

自分も子どもの頃から、そんな支援や療育を受けられていたら、人生が変わっていたかもしれないなと心から思ったんです。でも、私の子ども時代は既に過ぎ去っていて、やり直す事はできません。だからこそ、今のこの時代を生きられる子どもなら、私が経験した生きづらさをトレースせずに済むのではないか?と、より希望を持って子育てができています。

冒頭のエピソードのような思いを子どもがしなくても済むようにと、早期診断・療育・学校との連携や多くの支援を受けられるよう動いている現在の自分に繋いで描きました。

――『生きづらい私は発達障害でした』を描く上でこだわった点があればお教えください。

あくまで自分視点のコミックエッセイなので、ただ実際にあった事を淡々と描きました。

前半の職場のエピソードは、こんなにも仕事ができなかったら職場の人もストレスが溜まり、イライラするだろう事は理解できますし、無意識ではあるものの、空気の読めない言動で凍りつかせた事は幾度となくあったと思います。でも、当時の自分にはそれが全く分からず、どうする事もできませんでした。自分の仕事のできなさが相手のイライラの原因な事は分かっていたので、ただただ申し訳ないという気持ちでした。でも、今回描いた2つの職場の対応(包丁をつきつけたり、集団無視)は、"超えてはいけない一線"と私は思っているのですが、同じ経験をしたというお声も多く大変驚きました。

後に、ASD(自閉症スペクトラム障害)、AD/HD(注意欠如・多動性障害)と診断がつき、後は吃音(きつおん)もあります。知能検査をして自分の得意不得意を知るのですが、私は作業記憶と処理速度が低いタイプだそうです。処理速度は作業をこなすスピードの事で、作業記憶は作業をする上で一時的に頭に置いたり動かす記憶の事です。これらは、マルチタスクを行う上で重要になってくる能力だそうです。飲食店で言うと、料理を運んでいる最中に他の卓から呼ばれ、配膳が終わったら行こうと思っていたのに配膳し始めたら呼ばれていた事が頭から消えます。学校の板書も苦手で、黒板の文字を見て把握するも、ノートに視線を落とした瞬間に黒板の内容が頭から消えます。目の荒いザルに記憶の砂を落とすように、抗う事もできず綺麗に落ちて消え去ります。

私の場合、作業記憶は低くても記憶力自体は悪くはなくて、飲食店のメニューなどはペラペラ見たら全部の名前を覚えられ、仕事内容もすぐに覚えられるのですが、頻繁にあちらこちらお客様やキッチンから呼ばれまくりながらだと、ボロボロと色んな記憶が頭から消え去り、ミスを連発してしまいました。単発でやらせたらできるからこそ、やる気がない、わざとサボってると思われる事が多かったように思います。

事務の仕事は、内容がかなり特殊で、社員をリーダーに連携を取りながら細かい作業をどう進めるか、ストップするかなどを判断していく仕事で、間違わないように慎重になりすぎてかなり仕事のスピードが遅かったと思います。客観的に見たら、バカにしてるの?と思われるくらい遅かったのかもしれません。その態度を改めさせる為と、社員と他のアルバイト達全員から急に連携を切られてしまい、本来作業ストップの指示が入ったはずのものを続けてしまい、業務終了後に指摘され、全部を元に戻さなければならなくなりました。この件に関しては、退職を上司に申し出た時、理由を聞かれたので話すと自分の事のように怒ってくださり、社員達に注意が入ったと聞きました。

そんな、自身の特性を知らぬが故の生きづらさを、そもそも職の選択肢から既にミスっている、何もかもが裏目に出る姿もそのまま描きました。「生きてるだけで嫌われる」は、強烈な言葉ではありますが、決して努力を怠っている訳でも、悪意を持って人と接している訳でもないのに、常に評価が低い、いつの間にか相手を怒らせている。客観的に見たら、私の言動に問題があったのかもしれませんが、自分が思いつく限りの試行錯誤をしても改善しない、目には見えない"抜けられない檻"に閉じ込められているような状態でした。

そして結婚し子どもが産まれ、発達に関して調べていくうちに、ああ、今はこんな風に本やネットで特性や対策を知る事ができるようになったのかと。早期診断と早期の自己理解ができていたら、自分はもちろん、学校や職場で周りの方々もストレスを溜める機会がなく済んだのかもしれないなと、色んな思いが巡りました。

発達障害は、置かれた環境によって生きやすさに天と地程の差が生まれると感じていて、環境によっては特性も魅力にすらなり得ます。子どもが笑顔で人生を歩んでいけるように支えていきたいなと、ポジティブな現在で締めました。

――『生きづらい私は発達障害でした』のなかで「ここを見てほしい」というポイントや読者に伝えたかったことをお教えください。

子どもに体験してほしくない内容として、前半の仕事の合わなさを描きましたが、環境と自己理解が噛み合えば、発達障害だからといって必ずしも生きづらい事はないんじゃないかなと思っています。発達障害は、何もかもできない訳ではなく、能力差が激しいという障害です。過去の私のように、自分の苦手な部分をメインに扱わなければいけない職場をそもそも選ばないというのも大切になってくると実感しています。よく聞く、"得意を仕事にする"という考え方も素晴らしいと思いますが、個人的には「苦手な事をしない」も重要なのではないかと思っています。

私はマルチタスクとスピードを求められる仕事は壊滅的にできませんが、例えば、結婚式の司会や試食販売員やインフォメーションカウンターなどの、役割が1本でソロプレイな仕事は得意でした。最初から最後まで自分のペースで進められ、結婚式の司会なら、司会進行以外の仕事をするのは式場のスタッフさんなので、別の事を考えずに済み仕事に集中できました。自分の特性と噛み合った職種を選び、職場と得意不得意を共有し、お互いがストレス無く仕事をする事ができたらベストですし、実際それができている当事者の方も沢山いらっしゃるかと思います。

職場に理解を求める事は、決して我慢してほしいとか、負担を増やそうとかではなく、例えば以前ネットで拝見しましたが、とあるスーパーにて「私は会話が苦手です、申し訳ございませんが御用の方は他のスタッフにお声がけください」という腕章をつけて品出しをしていらっしゃる店員さんがいたそうです。この方の障害の内容は分かりませんが、仮に人とのやり取りは苦手だけれど、集中して一つの仕事ができるなら超スピードが出せるという方なら、本人が理解しやすいように仕事内容を覚えられる仕組みさえできたら、周りに引けを取らない仕事をする店員になれるかもしれません。

その為にも、職場の理解と同時に、当事者側が得意不得意、どのような教えられ方なら理解できる等を具体的に説明できる必要がありますし、それが苦手な方の為にも、早期診断早期支援によって自治体が幼少期からのサポートと記録を就労に向けて行ってくださるのは本当に素晴らしい事だと思います。また、時代と共にどんどん新しい職種も登場していますから、そのアンテナを張り続ける事も大切だなと、よく夫婦で話したりもします。

人間関係にしても、幼少期から療育にて自己理解、自己統制の方法を教えてもらえたり、人とのコミュニケーション方法を専門的に教えてもらいながら育つ子ども達は、きっと私とは違う人生を歩めると信じていて、それは自分自身が診断され、一つの未来と比較できるからもあると思っています。「あの時自分がこうだったら、こんな環境だったらこうはならなかったかもしれない」と思う状況を回避するように努められるし、正に療育で教わる事は、正しい接し方や環境設定です。

私と子どもは全く別の人間で、その人生に干渉しようとは思いません。本人らしく生きてほしいです。ハリーポッターという作品で、主人公のハリーは亡き母から"愛の魔法"をかけられ、それに守られているという設定なのですが、幼少期に与えた愛情や、理解ある環境や適切な支援を受けながら育った自己肯定感は、いつか親が横にいなくなっても前を向いて進み続けられる為のバフになると思っています。その為の一助になれるなら本望だなと、そんな想いを込めました。

――『生きづらい私は発達障害でした』以外にも発達障害が関わる実体験作品を多く描かれているとお見受けします。ご自身やご家族の実体験を作品にする理由がありましたらお教えください。

発達障害の漫画も最近は描くようになりましたが、元々は育児や自分の病気体験などのコミックエッセイを発信する事から始まりました。

私自身が前々から、他の方のコミックエッセイを読み、共感したり、気づきを貰えたり、共に歩ませてもらっているような救いをいただけていて大好きだったんです。育児も発達障害も、専門家の話ももちろん勉強にはなるのですが、やはり人間は当事者側の声も求めたくなるものなのか、似たような子育てをしている方の体験談やコミックエッセイを読んで、共感や学びを得る事でポジティブな気持ちになる事が多いです。

それを知っている夫が「自分でも描いてみたら?」と勧めてくれ、試しに描き始めて今に至ります。それまでは育児と家事だけしかしない日々でしたが、アウトプットするのはとても楽しく、また自分と同じように、自身が描いた漫画で色々な方に共感していただけるのはとても嬉しいですし、SNSならではの交流や新たな学びが得られるのも魅力だと感じています。

――今後の展望や目標をお教えください。

特別大きな目標がある訳ではないのですが、今回の漫画を読んでくださった方々の中で、「自分も同じように仕事や人間関係が上手くいかず、発達障害なのではないかと疑っているのですが、どこに行けば、何をすれば発達障害の診断が貰えるのか分かりません、教えてください」とDMで送ってくださる方々が結構な人数いらっしゃいました。

「病院に行くのか?」「行くなら何科なのか?」「それとも専門施設に行かないといけないのか?」「それはどこにあるのか?」「なんという名前の施設なのか?」

それらが分からず立ち止まっていた方が多くいるのだと実感したと同時に、私が発信したもので誰かが一歩進むきっかけになるのであれば、それはとても嬉しい事だなと思いました。そんな意味でも、地味に発信を続けられたら、という感じです。

――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。

今回の漫画をお読みいただき、ありがとうございました。漫画として稚拙で分かりにくい内容だったかと思いますが、丁寧に読み取ってくださる方も多く、心から感謝いたします。育児の合間に描いている事もあり少ない投稿頻度ではありますが、また何か描いた際には読んでいただけましたら嬉しいです。

本当にありがとうございました!

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