レミングに「海はあっち」と教える罪
そして、それと同様の典型例を今回の「戦略」は余すところなく示しているわけです。
経団連「戦略」は何とまあ「NFT」の推進を、あろうことか2022年11月時点で謳い上げている。普通に考えれば正気の沙汰ではありません。
「我が国の豊富なコンテンツ資源」を最大限に駆使云々・・・。
場合によるとアニメやマンガが好きな政治家の顔色などが関係するのかもしれませんが、客観的に今現在のNFTの対円チャートを見てみると(https://coinmarketcap.com/ja/currencies/nft/)、先ほどのビットコインと同様、NFT相場は2021年春、3月時点で約88.5円の瞬間沸騰的価格を付けた後、4月には40円台の推移へと急落、当初に利ざやを抜いた人だけが得した可能性があります。
その後2021年5月以降は15円台程度の推移が1年ほど続き、今年5月「テラプロジェクト」破綻後、一挙に2円台の推移に急落。この時点ですらピーク時の40分の1以下だったわけです。
さらに8月には0.000094円何某という、すでに紙屑ほどの価値もないデータ残骸に落ち果てます。投機商品としては完全に終わっている。
後はネットゲーム民などが、平和にアイテム交換する「こども銀行券」「ゲームセンター・メダル」同様の存在として残るか・・・と思いきや、突如として11月3日、思惑含みの資金投入があったようで突然3円台に値を戻している。
それがまた、じりじりと値を下げている最中のいま、どうして経団連が「こども銀行券」を推す必要があるのか。
2021年春から今現在までのNFT推移は今記した通りですが、経団連の戦略ということで、万が一にも真に受ける人がいた場合、かなり罪深いとしか言いようがありません。
ことによると出資詐欺まがいと後ろ指を指されうる事態かもしれない。
私は批判のための批判がしたいわけではありません。国立大学の対応部署教官として「正気」を保つ重要性のみを強調しています。
現状は、経済団体として、正気の戦略とは言い難い。
まともな分別を持った検討と、対策立案を行う社会的責任があるはずという原則に尽きます。
行進するレミングの群れに「海に行くならあっちが近道だよ」と教えるような業界団体提言は避けねばなりません。
万が一にも、あらかじめ進行予定が決まっている「破滅への行進」施策のようなものがあるなら、それにストップを掛けるのが、正常なガバナンスというものです。
「正気をもって目の前をきちんとまず見よ」というのに尽きます。