仕事内容
豪雪地帯の安全・安定運行を支える機械設備を設計。
北陸新幹線(金沢・敦賀間)の雪害対策設備、駅設備、車両基地機械設備の設計を担当しています。雪害対策設備は降雪時における冬期間の安全・安定運行を維持するための設備。代表的な設備には、高圧の温水を噴射する温水ジェット設備、スプリンクラー式の散水消雪設備などがあります。
駅設備は、可動式ホーム柵、エレベーター、エスカレーター、自動改札機など、乗客の皆さんが普段利用される設備。車両基地機械設備は、車両のメンテナンスを行うための設備です。いずれも、すでに開業している北海道新幹線、北陸新幹線をはじめとした各新幹線の実績とデータを参考にして恒久的な雪害・寒冷地対策を設計に取り入れています。雪害での設備トラブルは列車の運行に多大な影響をもたらすので、各地域の設備利用環境の想定、特殊設備の選定と性能・配置の確認をはじめとするあらゆる業務に緊張感をもって取り組んでいます。
仕事のやりがい
雪と寒さに強い鉄道設備を設置する。
北陸新幹線は、雪との戦いが宿命づけられている路線。私のキャリアのすべてでもありますので、厳しい自然環境と向き合いながら、雪と寒さに強い鉄道設備をつくり上げていくことにやりがいを感じています。
それを強く意識するようになったのは入社5年目。その時は、機械設備の保守・メンテナンス技術を学ぶために、新幹線を管理・運用する鉄道事業者へ出向しておりました。この年の冬期は日本各地で記録的な大雪となり、北陸地方も各種交通機関が長期間ストップしましたが、そのなかで唯一、平常運行を維持したのが北陸新幹線でした。北陸の雪は北海道のような粉雪ではなく、水分を多く含んだシャーベット状。そのため凍結の危険性が高く、このようなトラブルがいくつも発生していました。人の身体で言えば、動脈硬化があちこちで起きているような状態でした。作業員の皆さんと一緒に現場へ入った私は、限られた時間のなか、設備と知恵と経験で『ありえない状況』を改善する仕事の一端を担い、大きな達成感を得ることができました。しかしその一方で、設備計画をしっかりと見直して次につなげていく必要があると感じたのです。
2021年の冬には想像を超える積雪で北陸新幹線の4本の列車が運休しました。状況の分析がまだ終わっていませんが、私はさらに多くの知見を得られたと前向きにとらえています。
仕事の進め方
相手の真意を知り、同じ方向を向いて仕事をする。
設計業務は常時4~5名の少数精鋭体制で行っています。一人で完結できる仕事ではありませんので担当は固定せず、全員で情報を共有し優先順位をつけながら臨機応変に対応しています。
同じ方向を向いて仕事を進めるために大切にしているのは、直接的なコミュニケーションです。メールやリモートでも進捗状況の確認や意見の交換は可能ですが、表情や声のわずかな変化を察知できる対面での会話が最も確実だと思っています。私はもともと誰とでも打ち解けて話せる性格ではありませんが、最初に配属された部署で上司から「機構の技術者に最も必要なのはコミュニケーション力だぞ」と教わったので、克服しようと取り組んできました。
関係各所とのコミュニケーションも会話が基本です。立場が違うので最初はなかなか距離感がつかめませんが、私は出向先で保守・メンテナンスなどの実務も経験していますので、設備を利用する側の立場で物事を考えることが得意です。その強みを活かして関係各所の言葉の真意や細かな要望を機構の技術者にフィードバックするのも私の役目だと思っています。
ある1日のスケジュール
| 9:00 | メールチェック |
|---|---|
| 10:00 | 設計業務(雪害対策設備の設計確認) |
| 11:00 | 午後の打合せ資料の確認 |
| 13:30 | 鉄道事業者との打合せ(北陸新幹線(金沢・敦賀間)の設備計画) |
| 16:30 | 打合せ議事録作成 |
| 17:30 | 終業 |
キャリア
- 2013年4月
- 東京支社 設備部 機械第三課
北陸新幹線(長野・金沢間)機械設備の設計 - 2013年10月
- 東京支社 富山鉄道機械建設所
北陸新幹線(長野・金沢間)機械設備の施工監理 - 2015年2月
- 東京支社 設備部 機械第二課
軌道敷設工事・架線延線工事など特殊な用途で機構が保有する機械装置の管理・運用 - 2016年6月
- 西日本旅客鉄道㈱へ出向
北陸新幹線(長野・金沢間)機械設備の保守監理 - 2019年6月
- 東京支社 設備第二部 機械第三課
現在の仕事