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この作品「縁日」は「夢小説」「オリ主」のタグがつけられた作品です。
縁日/阿香車 夢路の小説

縁日

5,573文字11分

!特殊設定夢!

・夢主が人間ではありません(個性強め)
・夢主の性別は女ですが、彼のそばにいるために人間の少年に化けています
・原作の一年前(4年時)からスタート
・捏造設定注意

一応調べたんですがミサンガがいつごろ生まれたのかはよく分かりませんでした!無念!

2022年11月15日 07:21
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縁日


ある放課後のことである。


「おーい!八左ヱ門!#name#ー!」
「お待たせ、皆!」
「いやぁ、時間かかって悪かったなぁ。ペットたちの世話だけは済ませておきたくてさ」
「気にしないでよ、二人とも。僕たちもそんなに待ってないから」


集まっていた同級生たちに駆け寄り、わたしと八左ヱ門は一足遅れて合流を果たした。
──今日は麓の街にて、秋の収穫を祝うお祭りが開かれているらしい。
せっかくだからと皆で一緒に遊びに行くことにしたわたしたちは、各々委員会活動を終えて全員が揃うまで待ち合わせをしていたのだった。
放課後の解放感と祭りを前にしたわくわくが相まって、一同は学園を出る前から浮き足立っている。


「八左ヱ門に#name#、外出届けはしっかり持ったか?」
「もちろんだよ、三郎」
「よーしばっちりだっ!今日は祭りを満喫するぞ!」
「おーっ!」


にぎやかに駄弁りながら、ぞろぞろと街までの道を行く。
六人もいれば話題の種は尽きることがない。
話の方向があっちへいったりこっちへいったり、近くにいる者同士で各々喋っているかと思えば全員で笑い合ったりと、その道行は混沌としながらも楽しいものだった。


「お祭り楽しみだね、八左ヱ門」
「あぁ。今からわくわくするな!」


ふと隣を歩く八左ヱ門に話しかければ、いつものようにやんちゃな笑みが返される。
──不思議。
恋人同士になってからも、こうして過ごす日常は今までとそう変わらなかった。
親友から恋仲になって、わたしたちを取り巻くあれこれはもっと大きく激変するのではないかと思っていたのに。

恋の影響力とはその程度のものなのか。
あるいは、前々から惹かれ合っていたがために、今更変わるものなどなかったのか──滔々と考えごとをしながらまた隣を見れば、こちらを向いていた八左ヱ門とふと目が合う。
その眼差しは一瞬どきりとするほど、愛おしげに綻んでいて。

……前言撤回。今までと変わり映えしないなんて、そんなことはなかった。
わたしも八左ヱ門も人目がない時にだけ気持ちを伝え合っているのだから、“普段は”変化が少なくて当然だ。
二人で隣り合って周囲の関心がよそに向いている時は、その限りでない。
目が合っただけで照れてしまって、わたしはそっと八左ヱ門から顔を背ける。


「……ってことがあってさぁ、八左ヱ門はどう思う?」
「ん?悪い雷蔵、何も聞いてなかった」
「もう、ぼーっとしないでくれよ~」
「すまんすまん」


今も皆はおしゃべりに興じ、わたしと八左ヱ門の一瞬の目配せには気づかない。
八左ヱ門が雷蔵たちの話の輪に入っていったところで、折よく兵助がわたしに小声で話しかけてきた。


「#name#、#name#」
「兵助。どうしたの?」
「一応聞いておきたくて。……結局、#name#は八左ヱ門と仲直りできたんだな?」
「うん。おかげさまで」
「それは良かった」


わたしが笑って頷くと、兵助はほっと安堵の表情を浮かべる。


「二人の問題にあんまり首を突っ込むのも良くないと思って静観してたんだけど……そういうことならまた、二人を豆腐の試食会に呼んでもいいかい?」
「うん、もちろん!」


兵助と並んで歩きながら、和やかに談笑する。
──思えば、兵助や雷蔵に背中を押されていなかったら、わたしは怖くて八左ヱ門の気持ちを確かめる覚悟を決められなかった。
想いを伝え合う第一歩となったのは、紛れもなく二人の後押しなのである。
本当に、わたしは良い友人に恵まれた。


「おっ、やっぱり今日は人出が多いなぁ」


三郎が道行く人々を横目に呟く。
耳をすませばすぐそばに、祭囃子の弾むような音が聞こえてきた。

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