カスタマーレビュー

2006年7月17日に日本でレビュー済み
 クールファイブが好きだ。時々カラオケで無性にクールファイブが歌いたくなって、眉間に皴を寄せて目を細めて前川清に成りきってみたりする。
 今日のイチオシは「さようならの彼方へ」だね。デビュー10周年記念盤にして初の筒美京平作品。クールファイブはこのあたりまでコンスタントにスマッシュヒットを放ってるんだけど、この曲は筒美京平によるクールファイブ解釈っていうか、まさに集大成。壺を見事に押さえ切ってるんだよね。
 焦燥感を煽るようなイントロ、飛行機が離陸する効果音に被せて前川清の唸るような“クールでソウルフル”なボーカル。もうノッケからエンジン全開。曲の随所にコーラスパートもちゃんと設けられていて、クールファイブならではの楽曲になっている。恋人と別れ、ひとり国際線で飛び立つ女ってシチュエーションなんだけど、全国各地のご当地ソングを歌いつくしたクールファイブが、ついに海外に飛び立つっていうスケール感が、この楽曲にはあるね。成田開港が1978年5月20日、ってことはレコード発売の5日前、つまりこの曲は成田開港便乗盤でもあるワケ。なので同じ空港モノでもフランク永井の「羽田発7時50分」や青江三奈の「国際線待合室」よりは、明菜の「北ウイング」に近い。
この曲は筒美京平なので、垢抜けてて都会的で、クールファイブのウラハラの魅力である泥臭さはまったく感じられない。まあ、そこが惜しくもあり魅力でもあり。筒美京平が演歌歌手に提供する楽曲は五木ひろし「愛しつづけるボレロ」しかり、森進一「モロッコ」しかり、だーいすきだけど、ヒットはしないっていう。ほんとの意味で演歌になってないんだよね。
 この「さようならの彼方へ」のあと位から、前川清のソロ活動が活発になっていく。1982年には一連の前川ブームから「雪列車」(作詞:糸井重里、作曲:坂本龍一)なんて曲もリリースされ、クールファイブは解散に向かうんだよなぁ。
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