歯周病について、先週は放っておくとどんなリスクがあるのか、どんな病気になりやすいのかをご紹介した。今回は予防法や治療法について見ていこう。
【悪化してから歯科に行くのがネック】
歯周病の予防は、ズバリ定期的な検診で口腔を歯科医にチェックしてもらうのが効果的だ。歯石や歯垢を取って口内の状態をチェックするなど、歯周病にならないよう定期的に歯科医で診てもらう。定期的な検診が効果的であることの証拠もある。
「虫歯などで歯科に通っている人は歯周病になりにくいのです。歯周病の兆候を早い段階でチェックできるからです。その一方で、歯が健康で若いうちなど歯の問題であまり困らない人たちは歯科医に行くことがあまりありません。こうした、ふだん歯科医にかかっていない人ほど高齢になったりして歯周病が進んでしまい、困るようになってから歯科に来るのです」
こう話すのは海老沢歯科医院(東京・杉並区高円寺南)の海老沢聡院長だ。
最近は、歯科検診を制度として義務化する動きもあるようだが、困ったときになってからしか歯科医に行かない人が多いのが、歯周病増加の一番の問題だという。歯周病の専門医院なども増えているものの、こういうクリニックにしても基本的には症状が悪化してからかかるのがネックとなる。
「歯茎の腫れ、出血、痩せた感じやブヨブヨしている感じなど違和感を感じたらすぐに歯科に行くことです。それから歯周病のシグナルは口臭ですね」と、海老沢院長はアドバイスする。
もっとも、口臭は自分では気づかないことが多い。これは、身近に口臭を教えてくれる人がいるといい。
【唾液を増やすエクササイズ】
予防法はないのだろうか。海老沢院長が勧めるのは唾液を増やす方法だ。
唾液には、口中の洗浄作用、中和作用、抗菌作用、歯の再石灰化作用などがあり、歯周病も防げる。唾液をより分泌させるために、よくかんで食べ、ガムをかみ、口内乾燥を防ぐといい。
効果的なのは唾液腺(だえきせん)マッサージで、次の3か所のいずれかをマッサージで刺激するといい。1つ目は耳下腺で、奥歯あたりにある。頬に手を当て10回ぐらい後ろから前に刺激する。
2つ目は顎下腺。顎の骨の内側の柔らかい部分にあるので、親指で耳の下から顎まで5か所くらい刺激する。3つ目の舌下腺は顎の真下。親指で突き上げるように10回ぐらい押す。唾液分泌につながり、一気に唾液が増えるそうだ。
「歯周病の治療法は、基本的には悪化しないように現状をできるだけ維持するという方向なのです」(海老沢)
だからこそ定期的なチェックが有効なわけだが、歯周組織を再生するような治療法も行われるようになっているという。エムトゲインやリグロスという薬品を使って歯周の組織再生を行う。こうした組織再生は保険外治療だったが、リグロスについては2016年から保険適用になっている。
「歯周病は誰もがなる病気です。歯に悩みはないから大丈夫とか、歯周病対策の歯磨きを使えば大丈夫などと思わずに、違和感があったら警告と受け止め、早めに歯科医に相談すべきです」と海老沢院長が改めてアドバイスしてくれた。






