さまざまな競技を通して、安全運転インストラクターに求められる総合的な技術を競う
セーフティジャパンインストラクター競技大会は、Hondaの安全運転普及活動の各分野で活躍する安全運転インストラクターの指導力ならびに運転技術の向上と均質化を図る場と機会の提供を通して、世界に通用するインストラクターを育成することを目的に、1997年より開催されています。16回目となる今年は、10月15日、16日の2日間にわたり、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキット交通教育センターにて開催されました(主催:本田技研工業株式会社 安全運転普及本部、(株)モビリティランド 鈴鹿サーキット交通教育センター/ツインリンクもてぎ アクティブセーフティトレーニングパーク、(株)レインボーモータースクール 交通教育センターレインボー)。
今大会の参加選手は67名。Hondaの交通教育センターから18名(グループA)、Honda製作所、研究所、ホンダエンジニアリングから21名(グループB)、海外からはインド、インドネシア、マレーシア、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム、トルコ、オーストラリアの9カ国のHondaの関連会社などから28名(グループC)が参加しました。
選手宣誓を行う倉田誠選手(交通教育センターレインボー埼玉)
実技競技では、走る、曲がる、止まる、すべてのシーンで求められる安全かつ正確な操作を、さまざまな種目で競います。二輪部門は、S字、クランクなどの複合的なコースで走行の正確さとタイムを競う「コーススラローム」と、幅30cm、長さ10mの板の上をできるだけ長時間かけて走行し低速のバランス保持技術を競う「一本橋」。四輪部門は、二輪同様「コーススラローム」と、狭いスペースでの車両の取り回しや誘導技術を競う「フィギア」。これらに加え、Cグループの海外選手は、ブレーキング競技にも参加しました。
安全運転インストラクターには、運転技能だけでなく、高い指導力も求められます。受講生への講習の場面を設定した指導方法の審査(グループA・Bのみ)に加え、今回からはグループB向けに「指導方法勉強会」も新たに開催。このような指導力審査や勉強会を通じ、Hondaのインストラクターとしてトータルな質の向上を図ることを狙いとしています。
普段、さまざまな現場で幅広いお客様を対象に活動しているインストラクターにとって、仲間や受講生とコミュニケーションを図り、信頼関係を築くことはとても大切です。今年は、新しい取り組みとして、開閉会式の席順や昼食時・懇親会のテーブル、競技の出走順などを、グループ別、国別に分けず混合にするなど、参加選手同士がより交流を深めやすい場づくりが進められました。身振り手振りを交えて情報交換し、時には通訳を介してアドバイスしあい、素晴らしいパフォーマンスには自然と拍手や声援を送りあう。競うだけでなく、積極的に学ぼうとする姿勢がどの選手からも感じられました。
この大会には、審判員としても多くのインストラクターが参加しています。ハイレベルな競技を的確に採点するためのスキルと知識を習得できることから、人材育成の機会として若手インストラクターが選定されるケースも増えてきました。大会初参加の青木麻美さんもその一人。「経験豊富な先輩方の中、私も新人なりにがんばろうと夢中で動き回った2日間でした。皆さんの高いテクニックを間近で見ることができ、とてもよい勉強になりました。選手、審判員ともに女性の参加がもっと増えるといいですね。職場に戻ってからもこの経験を活かし、期待に応えられる指導員を目指したいと思います」。
二輪部門の競技では、NC750Lのほか、海外選手用にCB400SFとGROMも用意
四輪部門の「縦列駐車」は、今回から「フィギア」へ変更。使用車両はシビック
活発な意見交換が行われた「指導方法勉強会」
お互いのゼッケンにニックネームを書き合うなど、交流を深める参加選手
審判員として参加した青木麻美さん(交通教育センターレインボー和光)
さわやかな秋晴れとなった2日間、無事にすべての競技が終わり、吉田大会運営委員長は次のように振り返りました。「選手はこの大会に参加することで、他者を知り、自分のスキルを知り、より高いレベルを目指すようになります。さらにここで経験したことを職場に持ち帰って仲間に広め、より質の高い普及活動に役立ててもらいたいと考えています。今年は新たな取り組みとして、3つの参加グループを混成のチーム編成とし、選手同士の交流もより積極的に図れるようにしました。また、インストラクターには技術力だけでなく、指導力も重要との観点から、指導力審査の内容をより実践的な実技に見直しました。今後もグローバルな視点で、よりよい大会となるよう活動を継続していきたいと思います」。
閉会式では、各競技や指導力審査の上位入賞者が発表され、参加選手はお互いの健闘を称えあいました。グループAの総合優勝は、交通教育センターレインボー浜名湖。グループBでは、二輪総合部門で本田技術研究所 二輪R&Dセンター、四輪総合部門で鈴鹿製作所が1位に。グループCでは二輪・四輪あわせて9名の海外選手が表彰されました。受賞スピーチでは職場の仲間や家族への感謝も語られ、特に海外選手からは、「他国の選手の技能だけでなく、団体行動における振る舞いや練習に取り組む姿勢なども勉強になった」という声が多く聞かれました。
お客様の安全を守るという使命のもと集い、Hondaのインストラクターとしての技術力と指導力を高めあった選手たち。その力は今後、各地域、各国の交通安全活動のさらなる発展へと繋がっていきます。
大会運委員長:安全運転普及本部 吉田宏樹 事務局長
閉会式では、表彰される選手にあたたかい拍手が送られた
「普段通りを心がけましたが、やはり緊張しますね。優勝は3人で力を合わせた結果です。海外選手とのコミュニケーションは最初は戸惑いましたが、伝えようとする気持ちの強さが大切なんだと感じました」
「初出場で緊張しましたが、日頃の練習の成果を精一杯発揮できたと思います。他の事業所や海外の選手からも学ぶことが多く、とても有意義な経験をさせてもらいました。指導者としてより成長するために、またチャレンジしたいです」
「競技の点数よりも、他の選手から吸収しようという気持ちで毎回参加していますが、このように評価していただけるのはうれしいですね。これを励みに、今後も技術の向上と伝承に務めていきたいと思います」
「僅差での1位と聞いて驚きました。毎年出場するたびに課題が見つかり、次こそはという気持ちで挑戦を続けてきました。今年は悔いの残らないよう、自分の実力をすべて出し切ったつもりです。優勝はとてもうれしいですが、この結果に満足せず、また明日から精進していこうと思います。今回は選手同士の交流も多く、明るい雰囲気で楽しめました。2日間ともに過ごした皆さん、お疲れ様でした!」
「得意な一本橋で最長タイムを出すことができ、とてもうれしいです。自分の身体とマシンを一体化させてバランスをとることは、安全運転のために大切な技術です。日頃から練習を重ねていましたが、来日してから大会当日までは、浜名湖や鈴鹿の交通教育センターの方々に熱心に指導していただきました。また、競技中に聞こえる他の選手からの応援も力になりました。125cc部門で優勝できたのは、多くの皆さんに支えていただいたおかげです。ベトナムに戻ってからも、この大会での経験を活かし、さらにレベルアップを目指していきたいです」