思いっきり日本政府を無視してましたね
一連の背景は、マスクさんによる強引なリストラで、言論の安全性や透明性に大きな疑問を投げかけるアクションが多くあり、Twitterから去ろうとするユーザーが騒ぐ反面、冒頭にも書きました通りGAFAを中心としたビッグテックの終わりの始まり的な文脈で理解されることもまた増えてきました。
年初来、アメリカ経済を牽引してきたAmazon、Apple、GoogleにFacebook(現Meta)と、Microsoftなどを加えた各社の収益見通しが悲観的となり、これらビッグテック株式が売り込まれる局面も昨今は見られるようになってきました。
また、ここ数日ではメタバースへの大きなシフトを狙ったMetaが、全世界社員の15%ほどにあたる1万1000人あまりを解雇する方針であると発表され、 ビッグテック各社が売り上げ見通しを引き下げると同時に思い切ったリストラ案を出すようになってきました。
一本調子で業容拡大をしてきたこれらの企業の再編が急ピッチで進む可能性が高くなっています。ビッグテック各社の自前でやりたがらない業務を支えてきたアクセンチュアをはじめとするコンサルテーション会社や、アテンションエコノミー全盛時代で 業務のコアプロセスから見直すことを本業とするDX専門サービスなどは、市場の拡大が一服して破産・倒産もあったうえで再編も進む時期に突入します。
日本では、これらのビッグテックが司るプラットフォーム事業者の業務に対して、日本人の財産や情報をどう守るのか議論を重ねて、具体的な対策を打たなければならない待ったなしの状況になっています。
先に述べた、Tiwtter社の会社法上の登記を日本で行わせる決定も、遅かりしとはいえ日本でこれだけの事業をやりながら、日本人や日本企業が受ける何らかの影響をビッグテック側が法的に無視したり、税制適格ストックオプションを駆使することで、日本で働き日本で給料をもらっている日本人なのに日本で納税しなかったり、カリフォルニア州に本社があるのにサーバーはアイルランドにある建前で不正な取引や著作権侵害などへの対応を怠ったり、これらの国際的大企業と、日本国民・日本企業と、日本政府との間での適切な関係性や距離感がうまく擦り合わせできない状態が背景にあることもまた事実です。
とりわけTwitter社はマスクさんによる買収前に、総務省の有識者会議である「プラットフォームサービスに関する研究会」(座長・宍戸常寿さん)の場において、誹謗中傷対策に関する情報開示をしたがらないという塩対応をしていました(「読売新聞」7月16日)。日本国内で割とマスクさんのTwitter社買収が好意的に受け止められている理由のひとつは、仮にもSNS事業を日本でやるTwitter社の、一連の運営や政府対応の微妙さ加減が背景にあったのではないかとも思います。
これらの問題も踏まえて、現在猛烈な勢いでマスクさんもTwitter社の経営改革を行う一方、ビッグテックの成長鈍化も見ながら国民の権利を保全できる政府の機能強化に繋げていってほしいと思います。