うその法人登記で社長「交代」 容疑者、子会社資産1千億円狙ったか

遠藤美波
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 虚偽の届け出で不動産会社の社長が交代する登記をさせたとして、警視庁は、別の会社の役員(72)=東京都三鷹市=ら男女6人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で逮捕したと10日、発表した。役員の男は「(登記上で)社長が代わったことは知っているが、手続きは知らない」などと供述しているという。

 新宿署によると、6人は共謀して今年6月、東京都新宿区にある不動産会社「ユナイテッド」の社長がメンバーの男(64)に代わったとする虚偽の株主総会の議事録を法務局に提出し、登記内容を書き換えさせた疑いがある。株主総会は開かれていなかったという。

 6人は、別のメンバーの男(73)が同社の社長になったとする届け出を5月にも行って登記内容を書き換えさせたとして、同じ容疑で逮捕されていた。この書き換えが行われた後、それまで社長だった女性に法務局から解任について知らせる連絡があり、女性が署に相談していた。

 ユナイテッドの資本金は3千万円とされるが、韓国にある子会社の金融業「三和貸付」は金融資産と貸付金で計1千億円相当の資産を保有しているという。6月にユナイテッドの登記が書き換えられた後、同社は大株主の立場で三和貸付役員交代を目的とした株主総会の招集を要求していた。

 新宿署は、虚偽の内容でユナイテッドの社長を交代する登記をさせたのは、三和貸付の資産を狙うためだったとみている。(遠藤美波)