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【インタビューVo.5】深堀りAGRIST_「未来の新しい農業」とはなにか。

こんにちは。AGRIST採用広報です!

AGRIST株式会社は、2019年創業のテクノロジーで農業課題を解決するスタートアップ・ベンチャー企業です。高齢化が進み農産物の収穫の担い手不足の課題を、自動収穫ロボットで解決します。

2021年からは、宮崎県から全国に販路を拡大しており、地方から世界の農業課題を解決するグローバルベンチャーへの成長を目指しています。

今回は代表取締役兼最高経営責任者の齋藤に、求人情報やプレスリリースでは語り切れない、よりコアな内容の話しを聞きました。AGRISTが掲げる大きなゴールと現状の間で、「これからどういう方向に進んでいくのか」という中間地点を探っていく過程が分かる内容です。

──「何屋さんですか?」と聞かれると上手く答えられないのですが、斎藤さんはどうお考えでしょうか。

齋藤:今後は「農業の未来を作る」という点が、AGRISTの大きなポイントになります。ですのでロボットとテクノロジーを活用して「新しい農業の在り方や働き方、生き方をデザインしていく会社」というのが合っていると思います。

──その点は非常に理解できているのですが、何かを突き詰めることで最終的にはソフトウェア屋として落ち着く会社が多い印象です。その点で言うとAGRISTは、どのようにカテゴライズされていくのかが知りたいです。

齋藤:良い質問ですね、確かにカテゴライズしたくなるのですが。例えばAppleをカテゴライズしてみても、ソフトやハード、新しい働き方を作るなど色々なことをされていますよね。

我々は「新カテゴリー」になってくると思うので、カテゴライズされにくいでしょうね。

ですので「AgriTechの会社」という人もいれば、「スマート農業の会社」や「農業の会社」という人も出てくると思います。逆にカテゴライズするとすれば、どう呼ばれたいですか?

──ソフトウェア屋とは呼ばれたくないですね。「こうはなりたくない」という思いはあるのですが、「こうなりたい」のは何かと聞かれると難しいです。農家やロボット屋、ソフトウェア屋などと呼ばれたくないなら何と呼ばれたいのだろう、と思っています。

齋藤:「こうは呼ばれたくない」という思いがあれば、「こう呼ばれたい」という思いもお持ちだと思うのですが、いかがですか?

──一番は斎藤さんが言われた通り、新しい農業を作っていきたいですね。しかしこの目標に対して、ピーマンの横展開だけで「我々が新しい農業を作っている」というのは弱い気がしています。例えばハウスに注力しているメーカーであれば、作物全体をカバーできますよね。しかし現状はピーマン、次にキュウリというような単品での展開しかできていません。新しい農業を作るためには、単品での展開よりも別の何かが必要だと感じているのですが。斎藤さんはどのようにお考えでしょうか?

齋藤:そう言われてみると「新しい農業をデザインしていく会社」って、めちゃくちゃ格好良いですよね。だからこそロボットを作るし、ソフトウェアや自分たちの農業もしていく。AGRISTとして、新しいカルチャーをデザインしていくのも恰好良いですよね。Appleもデザインする会社だと言われていましたので。そういう意味では「新しい農業をデザインする会社」というのは良いですね。

──良いですね、そう言われたいです。

齋藤:それが大事なんですよ。「そう言われたい」というのは、とても大事です。経営の神様として有名なドラッカーも同じことを言っていて。まず「どう呼ばれたいか」を定義づけすることは非常に重要です。

「新しい農業をデザインする」と言うことで、多くの人の共感も得られそうですね。


──現在、自分たちの農業やハウスを企業に販売しようとしている中で、農業の社会構造と戦っていく必要があると感じています。例えばJAをはじめとする、既存の農業を取り巻く社会構造です。AGRISTがしようとしていることは、既存の農業に押さえつけられてしまうような気がしていて。この辺りのアクションを、明確に考えられていません。

齋藤:まず一つ目のポイントとしては、AGRISTは「JAアクセラレーター」にも選んでいただいて、JAと良好な関係を築けていると思います。

次に二つ目のポイントとしては、街づくりにしても農業にしても変革やイノベーションを起こすときには「不易流行」という言葉が大事になります。つまり、新しいものを生み出すときには古いものを大事にしなければならないということですね。逆に言うと古いものの中には、新しいものが出てくることで価値があがるものもあります。

最近お話した農家さんの中にも、強い危機感を持たれている方はいらっしゃるので。我々は、このような農家さんと仕事をしていくという流れになるでしょうね。変化する必要のない農家さんは、そのまま残るという形で良いと思います。

──こだわりを持って「有機農業を続けていくんだ!」と決められた農家さんの中には、そのままでいても価値が上がっていく所もあるということですね。

齋藤:そうです。農業には大規模農業もあれば、以前お話した久松農園のように小さな農業をされている所もあります。ここはお互いに、リスペクトしあうことが大事だと思っています。

加えてAGRISTが展開するとしても、せいぜい100ヘクタールくらいです。この数字は全体のわずか数%で、全体をシェアしていくという訳ではないです。守る所は守り、変わる所は変えていくという方向性が良いと思っています。

──我々の方向性として、一般の農家を変えていく・変わってもらう活動をしていくのか、新規に農業に参入する企業や人を対象にしていくのかが不明確です。すでにAGRISTとしての結論は出ていて、新しく参入する企業や人に売っていくという方向性だと思うのですが。この方向性についての議論は、何度も繰り返されている印象です。ですので、ここを明文化・言語化していく必要があると感じていますが、斎藤さんはどのようにお考えでしょうか?

齋藤:まずは自分たちで農業をやる。これが農業革命や我々のビジョン・ミッションを達成する最短距離だと思っていて。その上でENEOSをはじめとする企業と組んで、大きな変化を起こそうとしています。すると毎回「個人農家には売らないのか?」という声があがるのですが。この1年間で、すべての農家さんに適合するロボットを作ることはほぼ不可能だと分かりましたよね。

逆に言えば規定の中で行われる農業であれば良いということなので。ここに共感してくれる農家さんとは一緒にできると思いますね。

──変わっていく農家さん、ということでしょうか?

齋藤:そうですね。加えて我々の決定したレギュレーションの中で、取り組んでくれる農家さんには売っても良いと思います。これはM&Aや業務委託という形になるので。例えば農家さんから「うちの為にロボットを動かしてよ」という要望が出た場合には応えられません。

なぜかと言うと、すべての環境に適応するロボットは無いからです。同じような質問をされたら「すべての環境に適応するロボットを作ることは、ほぼ不可能だよね」という話に立ち返る必要があると思います。

ですのでステップ1は「自分たちで農業をする」、ステップ2は「それを企業に売る」というように段階的に進んでいくでしょうね。企業に売るというのは、自分たちで農業をしてからになると思いますし。以前にもお話したと思うのですが、やはりここがモヤっとする理由があるのでしょうか?

──私もよく分かっていないですね。モヤっとするんだけれども、よく分かっていないです。

齋藤:自分たちの農業をまだ展開していないので、そう感じることは当然だと思います。これから自分たちで出荷をしたり、本格的に農業を始めたりすれば変わっていきます。

私は10年以上農業のプロモーションに携わっているので、イメージが沸きやすいと思います。このイメージをふまえた上で「ENEOSに売ってみよう」なども考えていますので。イメージの解像度を上げるために、ENEOSと一度話してみるのも良いと思います。

──まさしく今、斎藤さんが言われた通りで自分たちで出荷までして、上手く収益化できれば周囲の目は気にならなくなると思います。「真似したければ教えるので、真似してください」という姿勢もとれていく気がします。

齋藤:「一棟、三千円で売ります」というように、購入してもらえれば良いですよね。実は、私の中ではビジョンでもある「100年先も続く持続可能な農業を実現する」については、すでに明確な道筋が見えています。あとはやるだけだと思っていて。

先日も同じ質問を頂いたときに「素人が今の30アールを、50ヘクタールや200ヘクタールにどうやって増やしていくのか」と聞かれたのですが。発想として、「30アールを100個手掛ければ30ヘクタールにできる」という考え方が重要です。複数の30アールを作っていくことは、いきなり50ヘクタールや200ヘクタールを作るよりも難しくないですよね。

例えば宮崎で30アールを10個手掛けることができれば3ヘクタール、茨城でも10個手掛ければ3ヘクタール、さらに鹿児島で10ヘクタール手掛けることができれば合計26ヘクタールになります。これができれば利益をあげていくことは夢じゃないと思います。

流れとしてはテクノロジーやITで制御しながら、それに適合するロボットをチューニングし続けて収穫量をあげる。それをまた調整していくという流れになります。


──我々の強みとなる部分を、明確に言いたいと思っているのですが、斎藤さんはどうお考えでしょうか?例えば、農業に大きな革命を起こしたトラクター。ただ耕すだけの機械ですが、大幅に生産性を向上させています。おそらくトラクターが登場した時には、現在のように一人当たりの作付け面積を拡大できるとは誰も考えていなかったはずです。同じように農業にロボットが参入することで、今後どのように農業や働き方が変化していくのか。未来の農業や働き方を明確にイメージできれば、中間地点が埋まっていくと思うのですが。

齋藤:これには2つのポイントがあると思います。我々の1番の強みは、ビニールハウスの隣でしている所だと思います。農家さんと一緒に作っているからこそ、世界で最も早く農業の課題点を改善できる。ここは圧倒的な強みであり、AGRISTの情緒的かつ機能的な価値です。

加えてビニールハウスの隣でしているからこそスマート農業やロボット、栽培様式など、自分たちのパッケージを作れます。さらに自分たちの利益をあげるだけでなく、新しい農業をデザインしようとしている。そのための世界展開や上場であり、国内に同じような企業はありません。

これに近い事業を浅井農園さんとデンソーさんが展開していますが、自社ですべて完結している訳ではないですよね。大規模な農園を展開する農業生産法人もありますが、農業課題を解決しようという目的のみを掲げている法人はありませんので。

ですから我々の強みは、ビニールハウスの隣でしている点。だからこそ新しい農業をデザインするためのパッケージを作れる所だと思います。そして今、目の前にある最も重要なことは1ヘクタールで1億円の売上を上げていくことだと考えています。

──1ヘクタールで1億円の売上を上げるモデル作りについては、まだ収益性をはじめ中身が薄いと感じています。先日ビニールハウスが台風の被害を受けましたが、本来は台風被害やその他のリスクなどを加味した上で積み上げを行う必要があると思っていて。例えば、既存の農業の何%をロボットが支えているのか、栽培技術や効率化をロボットが何%進められているのかという点です。この辺りを、私たちがもう少し計算していく必要があると思っています。東串良にビニールハウスを建てる際にも、私たちの積み上げが甘かったのですぐに決断できなくて。まだ確認作業の部分が多いからこそ、すぐに決断できないのだと思います。

齋藤:仰る通りで、農業のプロがいない所は我々の弱点ですね。アドバイザーとして農業の経験が豊富な福山さんはいますが、福山さんの意見がすべてという訳ではないですし。ですが台風被害については保険が手厚いので、被害をすべて補ってくれるという部分があります。

私は農業で一番大事なことは、コツコツと謙虚に積み上げていくことだと思っているので。むしろキャッチアップしやすい所なのかな、と感じています。もちろんイメージはしにくいと思いますが、解像度を上げる為に徳留さんも宮島さんや=田沼くん00:22:03=、福山さんなど、他チームのメンバーと一緒に「農業ってどんなものなのか?」話し合えれば良いですね。

齋藤:そうですね。それを福山さんだけでなく、坂本さんや=猪俣さん00:23:32=などを含めて、色々な角度で聞いてみると良いと思います。

新しい農業をデザインするイメージの解像度は上がってくると思います。もちろんデザインはやりながら考える要素も多いので、そこはやりながら考えていけば良いと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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