著作権侵害のタイミー社員、NewsPicksから表彰取り消し、記事削除、全ツイート削除に至る。いまだ「タイミー」としてのコンプライアンス観は見えず、広報はゼロ関与か。

連日記事としてご紹介してきたタイミー社所属の企業分析インフルエンサー「奥村美里」氏の件ですが、11月8日午後から関係各社の対応が迅速に進み、11月9日にご本人としての謝罪ツイートが行われました。

22年11月10日 16時現在、未だにSUANのアカウントはブロックされており、謝罪ツイートの全文は確認出来ない状態となっている。

時系列を含め、本記事にてご紹介させて頂きます。時系列をまとめていくうちに、編集部はタイミー社に対する1つの違和感と遭遇します。経営者とは、コンプライアンスとは、危機管理とは、を改めて考える機会になれば幸いです。

時系列が既に追えている方はタイミー社としての動きについてからお読みください。
※本件に関して「SUAN引っ張りすぎ」というご意見を複数頂いておりますが、本記事の内容にて回答とさせて頂きます。

奥村美里氏の「著作権侵害」、メディアの指摘から各社対応までを時系列に整理。NewsPicksの対応の速さが目立つ

一度、本件に関して時系列で整理させて頂きます。

11月4日 (金)午後9時:読者からのリークと、事前ブロックの怪しさ

Suanの投稿は11月4日 午後9時、読者から著作権侵害でフォロワーを増やしているとリークを頂きました。

元々認知していましたが、この時点で未だにブロックされていたため、怪しさを感じ、調査を進める事となります。そしてNewsPicksというビジネスメディアを巻き込んだ著作権侵害のおそれの高い記事が発掘されることとなりました。

ツイート当日、翌日は各社からの動きがなかったため、2日間のがっちりマンデーの時間に合わせて調査および記事執筆を開始。タイミーとしてのアナウンスは初動からありませんでした。

11月6日 (日)午前7時半、SUANから1本目の記事を配信、NewsPicksとしての危うさを指摘

そして11月6日(日)7時半、がっちりマンデーの時刻に合わせてSUANから記事配信を行いました。
※記事はSuan公式 LINEに先行配信しております。

本記事がはてなブックマークで一時的に総合ランキング上位(恐らくランキング1位)となり、その事がきっかけでNewsPicksも社内でも問題視されたのか、非常に早い対応スピードで当日18時には該当記事の削除およびお詫び文章の掲示が行われました。

この時点では「若者のロールモデル」の授賞は取り消されておらず、NPとしての姿勢を各方面から問われる状況となっておりました。タイミーとしてのアナウンスはこの日もありませんでした。

さらに、奥村氏より、著作権侵害を指摘した事に対して「スパム報告」、「被害者を増やすメディア」と糾弾されていることが判明します。

11月7日 :SUANから2本目の記事を配信。奥村美里氏による著作権侵害によるマネタイズと、寄稿記事の盗用疑惑を指摘。

そして、11月7日(月)18時頃まで各社音沙汰がなかったため、より悪質性の高いと思われた内容の追加記事の執筆を行いました。こちらは定時終了まで謝罪などの動きがないかを確認し、動きがなかったため、19時頃に配信しております。

こちらの記事もはてなブックマークで上位となり、一時的にランキングでは4番目のブクマ数となります。

WEB業界からの関心の強さの影響か、翌日11月8日には各社の対応が動き出し、ご本人のTwitter以外のほぼ全ての外部記事が消される事態となりました。この日もタイミーとしてのアナウンスは一切ありませんでした。

11月8日 (火):NewsPicksの授賞取り消し、マネーフォワード記事削除、各社の対応が進む。

11月8日、事態は急速に進みます。15時ごろ、ニュースピックスは授賞を取り消し。

さらに、22時ごろにはマネーフォワードのauthorページが削除され、ご自身のNoteから1記事を残し全て削除されました。

引用:MONEY PLUS

MONEY PLUSに関してはauthorページ自体が削除されていることから、マネーフォワード社も関わった上での削除の可能性が高く、noteはご自身で削除されたものかと思われます。そして、待てど暮せど、この日もタイミーとしての広報はありませんでした。

11月9日(水) :奥村美里氏のTwitterから2874件のツイートが削除され、その後謝罪ツイートを配信

そして、11月9日 午後12時ごろTwitterは全て削除、その後15時ごろに奥村氏からの謝罪リリースという流れでした。

本件の謝罪においては、指摘メディアをスパム扱いにするというコンプライアンス意識が問われた行為に対して言及されていない点、どれが著作権侵害に当たるか精査や詳細な経緯説明がなく、全て消してしまったことから、言葉が上滑りしたような印象の謝罪となってしまっています。

そして、お気づきの方は多いと思うのですが、タイミー社所属のインフルエンサーにも関わらず、会社としての広報的動きが一切無かったのです。Twitter界隈でも誰かがフォローした方がという意見が散見されました。

タイミー社としての動きは一切見られず、あくまで社内では「本人の問題」として処理か。一方で、解決されていない奥村氏の「コンプライアンス観」

何故、広報は動かなかったのか。タイミーの小川CEOと、奥村氏のやり取りを見ると、CEOに対して奥村さんは新卒入社にも関わらずタメ口で接されており、代表との距離が非常に近い社員であると想像されます。

引用:Twitter

引用:Twitter

ここからは推測の話になりますが、タイミーおよび奥村氏が初動含め対応の動きが遅くなったのは、この距離の近さが起因しているような気がしてなりません。

恐らくですが、あくまで奥村美里氏の個人アカウントでの問題だという話になり、その為、謝罪文の投稿や対応なども奥村氏に一任されたのではないでしょうか。
結果的に非常に中途半端な謝罪内容となっており、「何が問題」だったのかが本人が理解されたのかや、その他のコンプライアンスに反した行動という問題点への理解が明確にならないような謝罪となってしまっています。

さらに、本来伝えるべき指摘元に対してはブロックを継続しており、メディア側に対して「深く反省」しているか信じられないような状況に陥ってしまっています。未だ著作権侵害をスパム扱いしたコンプライアンス観については言及されていないのです。

広報が関与しているなら、メディア側へのアプローチも行うはずで、恐らく個人単位で動かれていると思われます。

今回の件は、タイミー社員として公になっている状態で運用されているアカウントの問題であって、小川氏もその運用方法を容認、フォロワーに関しては賞賛されていたわけですから、個人アカウントといってもタイミー社所属の企業分析インフルエンサーが起こした事件になります。

また、奥村さんは一社員に過ぎないからリリースは不要というような意見も稀に見られますが、企業分析インフルエンサーとして寄稿、登壇、そしてメディア露出をしていたのであれば所属企業としてアナウンスがあって然るべきです。UUUMなどのクリエイターを抱える企業は、矢面が少しでも和らぐようにと、毎回リリースをされています。

謝罪文面や対応方針においても、一般的な企業で行われる広報チェックを通さず、個人に一任してしまったことから、かえって不誠実な印象となってしまっているのが現状に陥っています。

このような騒動が起きた際に「会社として守るようなスタンス」が見せられるかは企業広報として非常に重要で、良いときには担ぎ上げ、悪いときには見放すといった企業姿勢と捉えられてしまうと企業ブランドとしては非常に損だなと感じます。

何故、タイミーは守安氏を見せしめるような退任リリースを打ったのか、という違和感。

そして、今回の件ですが、タイミー社は今年3月にも守安さんのコンプライアンス問題でニュースになっているわけですが、この際はわざわざニュースリリースまで配信し、コンプライアンス規程違反の事実が認められましたというような見せしめ的な内容のリリースをされています。

このリリースの結果、様々な憶測が飛び、守安氏は社外取締役だったエディオン、じげんなども辞任され、業界としても守安氏を起用しづらい状況となり、久しく日の目を浴びれない状況となりました。

いくら著名な経営者であっても、未上場の会社で「社内のコンプライアンス規定」で辞任したというリリースはいままでに見たことがありません。本記事を執筆する上で日経テレコンなども活用して調べましたが、該当するような事例は見つけられませんでした。もしご存知でしたら教えてください。

このような異例の見せしめ的リリースを、何故タイミーが行う必要があったのか、今回の対応含め違和感が生じました。守安さんの件は本人が悪いというのは前提にありますが、あえてリリースした意味は、一体何だったのでしょうか。

そして今回、なぜ刑事事件ともなりうる著作権侵害という、「より大きなコンプライアンス問題」に対しては黙認を貫いているのか、不思議でなりません。

組織が大きな問題に直面した時、経営者が「どのように行動したか」がその後のカルチャーになる。

会社組織において何らかの問題が起きた時に「経営者がどのような行動を取るか」を社員はしっかり見ています。そして、どのように行動するかがその組織のカルチャーに大きな影響を及ぼします。

引用:東京証券取引所 記者会見(2020年10月1日 終日取引停止について) / 東証の記者会見では宮原社長、横山CIOが「経営陣も技術を理解している」印象を与え、システム傷害を起こしたものの、理路整然な会見の結果、信頼性を高めた。

「あの時、社長はこうしたよね」は永遠に組織に響き続け、それは経営者が秘匿を好めば、働くメンバーも秘匿を好むようになっていくものなのです。タイミーの小川氏は過去に代表を退任されようとした際に、CA藤田社長に「逃げるな」と言われ踏みとどまったという話をインタビューでされておりました。

一方で今回の騒動に関しては終始静観されており、第三者から見ると、奥村さんを「企業分析インフルエンサーとして良いときには褒め、悪いときにはタイミーとしてリリースを出さず見離した」と見られても仕方ないような状態のように見受けられます。

組織はトップの行動を知らずのうちに真似ていくものです。トップが「逃げる」という選択を取れば、組織も問題に直面したときに「逃げる」選択を好むようになります。

カルチャーはトップの強い意志が最も組織において作用する。

コンプライアンスを意識するのであれば、奥村氏の個人アカウントだからと一任してしまうのではなく、タイミー社として、広報、法務とタスクフォースを組み、速やかに対応するべきだったはずです。もし、奥村さんが「個人の問題」と主張されていたとしても、351名を抱える会社のブランドを守るために、動くべきだったのではないでしょうか。

会社を守るためなら守安さんの業界地位を破壊してまで退任させた、コンプライアンス意識の高いスタートアップという印象だったタイミー社。今回の件では対応の遅れにより、結果的にYahooニュースにまで本件が掲載されることとなり、対応スピード、問題発生時の体制など、企業コンプライアンス、広報という面において不安が残る印象となりました。

 

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タイミー社員の奥村美里さん、マネーフォワード運営メディアにダイヤモンド社の記事とほぼ同一構成の記事を寄稿。さらに有料noteでも無断転載か。

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