スナクは危機を乗り切れるか
浅田 そこでトラスは無謀にもサッチャー=レーガン流の市場万能主義で大幅減税による小さな政府を目指したところが市場から手痛いしっぺ返しを食らったわけだけど、さてスナクはこの危機を乗り切れるか?
田中 余談だけど、全文無料閲覧可能なロイターやBBCの邦文記事と違って有料記事が満載の朝日新聞は、劣化版サッチャリズムだったトラスを厚顔無恥にも「社会民主主義的」とドヤ顔で“怪説”する慶應義塾大学の「国際政治学者」細谷雄一を「考論」トップに登場させて失笑を買った。
「憂国呆談」で5月に可愛がって差し上げた、ヘンリー・キッシンジャーやジョージ・ケナンよりも自分が優秀だと思い込んでいたらしき東京大学の池内恵(さとし)や今から5年も前に「名誉白人な三浦瑠麗ちゃま」まとめサイトを小生HPに作って差し上げた山猫総合研究所の三浦瑠麗に象徴される「国際政治学者」という肩書は、今や
口にするのも憚(はばか)れる気恥ずかしい存在になってしまったねぇ。
浅田 ニューヨーク・タイムズのポール・クルーグマンのコラムでは、トラスの立場は経済的保守主義と社会的リベラリズムの合体で、この立場を支持する有権者は少ないから、政治的敗北は必至だったって整理してる。まあそれが常識的な見方でしょう。
田中 だよねぇ。朝日新聞は、ブレグジットで豊かになると勘違いして生まれて初めて保守党に投票しちゃった労働党支持者の嘆きを、「安全地帯」から論評した記事もアップしていた。
タイトルも「9歳の薬物売人が出るほどに 旧炭鉱街の生活苦、英首相を追い詰めた」と扇情的。年収15万ポンド≒2525万円以上の国民の最高税率を45%から40%に下げる「富裕層減税」を実施しようとした保守党に英国民が愛想を尽かしたと報じているんだけど、「社会民主主義的」とトラスを「賞賛」した細谷の記事との整合性はどうするんだ?(爆笑)。
意識高い系ハードコアな「現代ビジネス」愛読者は先刻ご承知だと思うけど、バブル期のような「色気」を振りまくプロマイド(古っw)写真付きで令和のマリー・アントワネットこと「国際政治学者」瑠麗ルリが「ニンゲンをやるのに疲れたとはいえ、われわれは生きていかねばならないのであって、シャンパン一杯で回復するのであった。」とツイートしたのも“グリコのおまけ”で紹介しておくね(爆笑)。
とまれ、トラス政権の迷走で、世論調査では労働党の支持率が30ポイントも上回っている。だけどね、その労働党の党首は、司法長官、法務長官に次ぐNo.3の検察局長から政治家に転じた弁護士出身のサー・キア・ロドニー・スターマー。穏健左派を自任する一方、保守党とも「建設的な議論」を進めると公言するオックスフォード大学出身者なんだよ。
「もはや社会なんてものは存在しない(There is no such thing as society.
)。自分で自分の面倒を見るのが国民の義務だ」と身も蓋もない「ホップ・ステップ・肉離れ」な「自助・共助・公助」論を押し通した経済的新自由主義のサッチャリズムを軌道修正すると意気込んでいた弁護士出身のトニー・ブレアも、同じく弁護士出身のビル・クリントンと同じで、結局はミイラ取りがミイラになってしまったからなぁ。
運行業務と保線業務の上下分離方式で民営化したイギリスの鉄道は、採算の合わない保線業務が手薄となって事故が多発している。
完全民営化されたロイヤル・メールと呼ばれる郵便事業の見直し、同じく民営化された水道事業の再公営化を始めとするジェレミー・コービンが掲げた政策を踏襲するとスターマーは語っているらしいけど、「提案型野党」を掲げて期待を裏切り続ける泉健太率いる日本の政党の二の舞とならぬことを願うや切だね。