やせ過ぎに「No」! イタリアで大御所写真家が広告キャンペーン
AFP BBNews 2007年 09月 25日 14:23:58
【9月25日 AFP】伊アパレル大手ベネトン(Benetton)の広告キャンペーンで知られる写真家オリビエーロ・トスカーニ(Oliviero Toscani)が24日、センセーショナルなビジュアル広告の「やせ過ぎ防止」キャンペーンを展開した。
■「やせ過ぎに“No”」
やせ細った女性の裸体の上に「やせ過ぎに“No”」というスローガンが描かれたこの広告は、伊アパレル「NOLITA」がスポンサーとなり、24日付けの全国紙レプブリカ(La Repubblica)に掲載された。イタリア保健省の支援も受けており、全国の広告看板にも掲示される予定だという。
トスカーニは「長い間、拒食症に関心を持っていた。誰の責任なのか?メディアか?テレビか?ファッション業界か?だからこそファッションブランドがこの問題の重大さを理解・認識し、この広告のスポンサーになることは、非常に重要なことだ」とANSA通信に語った。
■地中海的な美を求めて
06年末、イタリア政府と国内のファッション業界は、反やせ過ぎキャンペーンを展開し、「健康的で快活で寛大な地中海のような美しさ」への回帰をうたった。
トスカーニは、ベネトンが制作する、人種主義などの難しい問題を取り上げた強烈な広告宣伝の考案者として知られている。(c)AFP
「やせ過ぎ警鐘」広告、政府・ファッション界から様々な反応
AFP BBNews 2007年 09月 26日 13:12:48
【9月26日 AFP】伊アパレル大手ベネトン(Benetton)の広告キャンペーンで知られる写真家オリビエーロ・トスカーニ(Oliviero Toscani)が24日に開始した、センセーショナルなビジュアル広告による「やせすぎへの警鐘」キャンペーンに対し、同国政府およびファッション業界から賛否両論の声が巻き起こっている。
やせ細った若い女性の裸体の上に「やせすぎに“No”」というスローガンが描かれたこの広告は、伊アパレル「NOLITA」がスポンサーとなり、08年春夏ミラノ・コレクションの最中である24日、全国紙レプブリカ(La Repubblica)に見開きページで掲載された。このほか、イタリア全国の広告看板にも掲示されている。
■国内から賛否の声
「トスカーニの手腕は見事。実に効果的なキャンペーンだ」と語るのは、イタリアのエンマ・ボニーノ(Emma Bonino)欧州政策相兼貿易相。リビア・トゥルコ(Livia Turco)保健相も同広告に称賛を贈り、支持する意向を示している。
一方、ローマにある摂食障害センターのエミリア・コスタ(Emilia Costa)所長は、このキャンペーンが悪意ある人々に悪用される可能性があることを指摘。内分泌学者のFabrizio Jacoangeli 氏は、「この広告キャンペーンの効果がどれほどか判断しがたい」としながらも、拒食症患者の間でこの写真のような女性になろうとする「競争」が生じる危険性を懸念している。
■ファッション界の反応は?
ミラノのファッション業界は、この広告キャンペーンを肯定的に捉えている。だが、デザイナーのドメニコ・ドルチェ(Domenico Dolce)とステファノ・ガッバーナ(Stefano Gabbana)は、「ついに真実が語られただけのこと。拒食症のまん延はファッション業界の責任ではなく、精神的な問題だ」と手厳しいコメントを寄せた。一方、ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)は、ファッション・ショーの最後に「強烈なビジュアル広告を使ったこのキャンペーンは、絶妙のタイミングで開始された」と述べている。
■写真モデルが語る「やせ過ぎ」の実態
この広告写真のモデルになったのはパリ在住の仏女優イザベル・カーロ(Isabelle Caro)さん(27)。13歳の頃から拒食症に苦しんでいるカーロさんは「やせすぎは全然美しくないし、死ぬ危険さえある」と話す。写真のモデルになった理由は、若い女性たちにやせ過ぎることの危険性を分かってもらいたかったからだという。「若い女性たちが、ファッション誌に出てくるきれいな服やヘアスタイルの背後に、何が隠されているのかを考えるきっかけになってほしい」
カーロさんは15年以上にわたり、拒食症による体重減少が危険域に達するたびに入院を繰り返している。現在、身長165センチに対し、体重はわずか32キロ。だが、この5年間で5キロ増え、写真の撮影当時からも2キロ増えているそうだ。(c)AFP
トスカーニ氏、「やせ過ぎ警鐘」広告への批判に反論
AFP BBNews 2007年09月27日 18:17 発信地:ローマ/イタリア
【9月27日 AFP】伊アパレル「NOLITA」が全国で展開した「やせ過ぎへの警鐘」キャンペーンに対し、「拒食症の少女たちが広告のモデルとなったフランス人女優イザベル・カーロ(Isabelle Caro)さんをお手本にする危険性がある」という批判が出ている。これに対して26日、写真家オリビエーロ・トスカーニ(Oliviero Toscani)氏が反論した。
■「現実を反映したもの」
「過激な手段に訴えると、反対する者が必ず出てくる」とトスカーニ氏。さらに、これは人に無意味な衝撃を与えるものではなく、現実を反映したもの」とつけ加えた。
やせ細った女性の裸体の上に「やせ過ぎに“No”」というスローガンが描かれたこの広告は、「NOLITA」がスポンサーとなり08年春夏ミラノ・コレクション期間中の24日に、全国紙レプブリカ(La Repubblica)に掲載された。
「私の写真を使った広告を拒食症の少女が見たら、『無理なダイエットをやめなければ』と考えるのが普通だ。写真が彼女らに危害を加えることなどあり得ない」
■カメラマン=時代の証言者
トスカーニ氏が、拒食症問題に関心を持ったのはファッション界で働くようになってからだという。
「ファッション界の独特の環境が、少女たちに『やせよう、ダイエットしよう』という気持ちを起こさせる。2006年にロカルノ映画祭(Locarno film festival)で上映された、拒食症にかかった16歳の少女の短編映画を撮っている間に、この問題を研究した」
トスカーニ氏は冷静な姿勢で拒食症問題に臨んでいるという。「拒食症に衝撃を受けたり、強い影響を受けたことはない。カメラマンは時代の証言者であるべき。宣教師のように説教をして回るのではなく、ジャーナリストして自分の仕事を通じてこの問題を訴えていく」と語った。(c)AFP
仏ファッション界、「やせ過ぎ警鐘」広告への意見分かれる
AFP BBNews 2007年 09月 28日 18:08:59
【9月28日 AFP】イタリアで展開されている「やせ過ぎ」に警鐘を鳴らす広告に対して、フランスのファッション業界が二分する事態となっている。高級志向のオートクチュール業界はこの広告を「スキャンダラスだと見ている一方、プレタポルテ業界では、やせ過ぎのモデルをファッション業界からなくすための動きとして歓迎している。
29日から08年春夏パリ・コレクションがスタートするフランスでは、これまで「やせ過ぎ」モデルのショー出場、雑誌、広告ポスターへの登場を規制する動きは起きていない。
■広告モデル「病気を通じメッセージを送りたい」
写真家オリビエーロ・トスカーニ(Oliviero Toscani)氏は、身長165センチ、体重わずか32キロの仏人女性イザベル・カーロ(Isabelle Caro)さんをモデルに起用。伊アパレル「NOLITA」がスポンサーについたこの広告には、「やせ過ぎに“No”」というスローガンが描かれ、24日から全国の広告看板や雑誌に登場している。
モデルとなったカーロさんは、「この機会に、私の病気を通してメッセージを送ることができればと思った。『やせていること』が表すイメージと、それが引き起こす死の危険性を伝えたい」と語った。
■オートクチュール協会「品位を落とす」
パリオートクチュール協会(The French Couture Federation)のディディエ・グランバック(Didier Grumbach)会長は、「この広告が、フランスでなくて良かった。これは、本当にスキャンダルなもの。人々の病気を使って、名声を得るのは悲しいこと。我々が目にしているのは、非常に深刻な社会問題に打撃を与える、ブランド側の扇動です」
「この女性はモデルではありません。これは低俗な行いであり、品位を落とすものです」
■プレタポルテ協会「見せる必要がある」
しかし、仏婦人プレタポルテ協会(The French Federation of Women’s Ready-to-Wear)のJean-Pierre Mocho会長は、「人々に(拒食症を)見せなければ夕食の際の会話程度で終わってしまっていただろう。みんなに悲劇を見せる必要がある」と反対の姿勢を見せる。
Mocho会長は、やせたモデルを起用することと拒食症との関係性に関して世界の関心が高まっているのに合わせ、フランスでも同様の関心を起こすような断固とした手段を求めているとし、「企業の規模に関わらず、手段は講じられるべき」と語った。
さらに会長は、「指針は示すが法的条件を含まない」文書作成に向けフランスが動いていることに懸念を示している。
■国際モデル事務所組合「拒食症とモデルをまとめるべきでない」
06年に起きた南米出身のモデル2人の死亡をきっかけに「やせ過ぎ」問題への関心が高まる中、仏オートクチュール業界とプレタポルテ業界の指導者らは、保健・連帯省が1月に発足させたワーキンググループに加入した。しかし、同省関係者によれば、5月に作成された「身体イメージに関する文書」の微調整を行うための協議は延期され、10月まで開催される予定はないという。
フランスのモデルエージェンシーは、政府の認定を受けねばならず、16歳以下のモデルを起用する場合は、定期的な検診を受けさせ、政府から特別許可を取得しなければならない。
国際モデル事務所組合(National Union of Model Agencies、UNAM)のIsabelle Saint-Felix会長は、この広告を知らないが「拒食症とやせたモデルをひとまとめにすべきではない」と語った。
「フランスではモデル事務所に関する特別な法令がある。ほかの何よりも、こういった法令を推進するために、我々は行動すべきです」(c)AFP
「やせ過ぎ警鐘」ポスター、ミラノ市営看板から撤去
AFP BBNews 2007年 10月 03日 13:17:54
【ミラノ 3日 AFP】ミラノ(Milan)市長が、イタリア各地に掲載された、「やせ過ぎの警鐘」キャンペーンのポスターを、市が管理する看板から撤去するよう命じたことが2日、明らかになった。
ミラノは、イタリア国内で2番目に、拒食症モデルの裸体の上に「やせ過ぎに“No”」というスローガンを描いた広告を掲載していた。
広報担当者は、「市長は、市が管理する看板からこのキャンペーン広告を下ろすよう命じた」とコメント。私有の看板では、これまで通りポスターの掲載が可能。
拒食症問題を提起する「やせ過ぎ警鐘」キャンペーンを撮影した、写真家オリビエーロ・トスカーニ(Oliviero Toscani)氏は、今回の決定に対し、「ミラノは恥ずべき市長」を持ったと激しく反発している。トスカーニ氏は、これまでもアパレル大手のベネトン(Benetton)の広告等で、人々に衝撃を与える写真作品を発表してきた。
前月24日に発表された同キャンペーンは、今もなおイタリア全土で賛否両論の激しい論争を巻き起こしている。フランスでは、広告の自主規制団体BVPが看板の所有主に対しポスターを掲載しないよう呼びかけている。(c)AFP