実力派コント師・や団が出場15回目で悲願のKOC決勝を掴むまで
2022 M-1、KOCへの道:「や団」【前編】
――今年も審査員は変わらず。決勝メンバーは30代中心の幅広いコント師が揃いました。ここには負けたくないというライバルはいますか?
中嶋:僕は最高の人間の岡野(陽一)ですね、やっぱり。吉住ちゃんはいいけど、岡野には優勝させたくない。昔から地下ライブとかでずっと一緒にやってきたし、『爆笑オンエアバトル』(NHK総合)でも一緒に戦ってきた。だからこそ、「逆にこいつにだけは負けたくない」っていう。あと、普通に1000万獲らせたくない(笑)。俺が獲って貸してやるって感じにしたいですね。
本間:僕はクロコップ。荒木(好之)くんはよくライブとかで一緒になるので仲がいいんですよ。僕もそうですけど、荒木も格闘技がすごい好きで。格闘技の番組とかで1人新しい人を入れる時に、やっぱ優勝したほうが呼ばれるじゃないですか。だから、ちょっと競合他社というか(笑)。その枠をとられると嫌だなっていうのはあります。
伊藤:僕は「いぬ」ですね。7年ぐらい前に『4コマコント 起笑転結』(日本テレビ系)って番組で一緒になったんだよね。番組MCの(博多)大吉さんが収録終わりに飲み会を開いてくれたんですけど、そこで一緒だったんですよ。
それ以降、会わなくなったんですけど、「いぬ」はいろんなことやってるじゃないですか。TRFのものまねユニットでDJ KOO(太田隆司)を担当してたり、林修先生の顔真似(有馬徹)やったり。僕らも紆余曲折あって、結局またキングオブコントで会うっていう。縁があるからこそ勝ちたいです。
来年以降は決勝にいけない、一撃で優勝狙う
――いよいよ10月8日はキングオブコント決勝です。改めて意気込みをお願いします。
伊藤:最初に言いましたけど、たぶんもう来年以降は決勝にいけないから一撃でいかないとっていうのはありますね。事務所の人たちからも「この結果で未来が変わるから頑張れよ」と言われてるので、しっかり爪痕を残したいです。
本間:優勝した過ぎて、今は恐怖心のほうが強くなってきてます(笑)。「スベったらどうしよう」「何もなかったらどうしよう」ってことばっかり考えてますね。まったくの無風で、決勝の翌日からまたいつもの生活に戻るみたいなのは嫌だし。
伊藤:無風は別にどうだっていいじゃん。なんだろう、本番中にセリフがごっそり飛ぶとか。
本間:うわ、怖っ! それ嫌だなぁ。
伊藤:俺はそっち系が怖い。「飛んだらどうしよう」とか「え、こんなことある?」とか、普段考えないようなことまで考えるじゃないですか。これが邪魔なんですよ、今。
本間:けど、賞レースで優勝した人でも意外に飛んだりしてるんですよね。サンドウィッチマンさんとかジャルジャルさんとか。この前、決勝経験者の鬼ヶ島のアイアム野田さんに相談したら、「前日リハでセットも本番さながらでやるから、その日は緊張するけど当日は祭りだから。そこまで緊張しないでいつも通りやれるよ」言ってくれて安心したんですけど、キングオブコントのDVD見返してみたらゴリゴリ嚙んでるんですよ。
中嶋:しかも大事なオチのセリフだからね。
本間:だから、どういうことなんだろうなって(笑)。でも、「むちゃくちゃ楽しいよ」と言ってたので、そこは信じて楽しもうと思いました。
中嶋:僕は2人に決勝に連れてってもらったから、当日も引き続き頑張ってもらえたらなと。(本間、伊藤に向かって)優勝させてください、お願いします!
取材・文:鈴木旭
フリーランスの編集/ライター。元バンドマン、放送作家くずれ。エンタメ全般が好き。特にお笑い芸人をリスペクトしている。2021年4月に『志村けん論』(朝日新聞出版)を出版。個人サイト「不滅のライティング・ブルース」更新中。http://s-akira.jp/
撮影:スギゾー