実力派コント師・や団が出場15回目で悲願のKOC決勝を掴むまで
2022 M-1、KOCへの道:「や団」【前編】
2016年~2019年まで4年連続で「キングオブコント」の準決勝に進出。2020年には『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)内のお笑いコンテスト「山-1グランプリ」で優勝するなど、実力派として知られるお笑いトリオ「や団」の本間キッド、中嶋享、ロングサイズ伊藤。
そんな彼らが10月8日、初めてキングオブコント決勝の舞台に登場する。「追い風は本当にない」と苦笑する彼らは、どんな道のりで千載一遇のチャンスを掴んだのか。手応えを感じたネタ、昨年の大会で感じたこと、現時点で意識しているライバルなど、本番直前のリアルな心境を聞いた。
決勝進出は「本当に?」って。ちょっと嘘みたいな感じ
――キングオブコント決勝進出おめでとうございます! 2008年の初回からエントリーされているので本当に長い道のりだったと思います。
本間:ありがとうございます、やっといけました。いけないもんだと思ってたから、「本当にいけんだ」って感じです。昨日ちょうど話してたんですよ、たぶんもう二度と決勝いけないから今回頑張りましょうって(笑)。
伊藤:そうなんですよ。なんかそんな雰囲気あるよね。
中嶋:だからこそ、一発でツモって優勝するぐらいの気持ちでやりますよ。
――この3年でソニー所属の芸人No.1を決めるお笑いコンテスト「SMAホープ大賞」、「山-1グランプリ」など複数の大会で結果を残されています。追い風は感じていますか?
本間:追い風は本当にないです(笑)。みんなそう言うんですよ、キングオブコント決勝いく人たちって。もう周りの見方が変わってくのがあからさまにわかると。でも、僕らはいつも通りの感じでした。
伊藤:バイきんぐさんが優勝した時は、同じ事務所なのでそばで見てたんです。本当に優勝する数ヵ月前から1回もスベってないんだよね。すごい異常なウケ方して、そのまま優勝した。僕らいまだにスベったりするし(笑)、「あ、そうなんだ」って感じで。
本間:ぜんぜんスベってましたね。バイきんぐさんは、本当にすごかったんですよ。決勝にいく2、3ヵ月前に、みんなが「重いなぁ」って言うようなライブがあって。ちょっとでもクスッてなると「あそこの反応良かった」って話をしてたのに、バイきんぐさんは明転して、西村(瑞樹)さんが息切れしてる時点でドーンってウケてた。無双状態でしたね。
中嶋:しかも、女性ウケするワーキャーのタイプでもないから、本当に面白くないと笑いが起きないじゃないですか。そこであんだけ大爆笑とるってすごいなと思いましたね。もうお笑い芸人は誰もが「バイきんぐさん優勝しそうだな」って感じてました。
本間:僕らの場合、そんな風はない。本当、滑り込んだ感じというか。準決勝が終わった時点で「あるかもしんない」ってぐらいの。
伊藤:これまで6回準決勝で落ちてるから現実味がないんだよね。だから、「決勝いきました」って聞かされても「え、本当に?」って。ちょっと嘘みたいな感じがしました。
小峠のアドバイスで覚醒「自分たちの黄金比を見つけろ」
――今年のキングオブコント準決勝でも披露した「バーベキュー」は、2019年の「SMAホープ大賞」、2020年の「山-1グランプリ」で披露してどちらも優勝しています。このネタで自信を持った感じはありますか?
本間:手応えありましたね。そのネタで「こういうバランスが一番合うのかな」って。ちょっとウケ方がいつもと違う感じがしたんですよ。その後、そういうバランスのネタを書こうと思ったところはあります。
伊藤:年末の「ホープ大賞」って、ソニーの芸人が1年で一番いいネタを持ってきて勝負するみたいな大会なんですよ。ただ、僕らはあんまりいいネタがなかったから、どうウケるかもわからないまま「バーベキュー」をぶつけたんです。そしたら、なんか優勝できちゃって。
中嶋:実は初めて見せたのって「ホープ大賞」の前なんだよね。「山-1グランプリ」のオーディションで受かったのが最初。オーディションに新ネタを持っていったら、食いついてもらえて。しかも、優勝までさせていただいたっていう。
その1、2年前に、僕らのネタを見た小峠さんが「や団のバランスの黄金比は、今のネタの感じじゃないと思う。自分たちの黄金比を見つけろ」とおっしゃったんですよ。それで僕らの黄金比を追求した結果、セリフの割合が「伊藤さん:5、本間:4、僕:1」だった。「バーベキュー」で黄金比が見つかったんです。