や団が明かす「人生で一番嬉しかった松本人志さんとの会話」
2022 M-1、KOCへの道:「や団」【後編】
――ソニーのライブハウス「BeachV」の舞台は狭いですよね。広いステージにはどうやって慣れていったんですか?
本間:やっぱ今年7月に「座・高円寺」ですげぇ無理して単独ライブやったことですかね。BeachVって最高で70人 キャパなんですけど、それを250人キャパまで広げて。70人埋められないやつらが急にやって頑張ったというか。結局100枚チケットは残ったんですけれども、広いトコでやっていろいろと感じましたね。
横に広いから前でやると全体が見えないんじゃないかと思って、すごい後ろでやってみたりとか。いろいろ試してたら、それを見てくれていたバッファロー吾郎A先生から「圧がねぇな」「前いっちゃっていいんだよ、ぜんぜん」って言われて。「その代わり、もう1人の目線も気にして演技をしろ」みたいな。「なるほど」と思って。そういう見得の切り方とか、A先生からはいろいろと教わりましたね。
――ドリフターズも小規模のジャズ喫茶出身で、ある時期に演出家・塚田茂さんのアドバイスのもと日本劇場の大きな舞台に慣れていって『8時だョ! 全員集合』(TBS系)の成功につながったと言われています。
伊藤:それ嬉しいっすね。たしかにねー!
本間:でも、この前TBSのスタジオでリハやった時にも、僕らすっげぇ後ろでやってたみたいで。今度はその担当ディレクターから「前、意識してこう」って言われました(笑)。
中嶋:スタジオ慣れもしてなかったからね。
伊藤:コロナの影響(飛沫防止対策の一環)で下がるようになったのかもしれない。舞台に線が引かれてて、これ以上前に出るなってバミリ(舞台上の立ち位置や小道具などの配置を示す目印)があったりしたし。
本間:あと年齢的なものもあるかもね。やっぱ若い時は前のめりなんですよ。
KOC準決勝敗退で必ず口げんか「もうダメだな」
――2007年から活動していて、モチベーションが下がった時期やトリオの解散危機はなかったですか?
本間:解散はないっすね(笑)。
中嶋:やっぱ3人とも彼女がいないってのがデカいんだと思います。よく彼女の影響で辞める人が多いんですけども、まぁ僕らはモテないので(笑)。
伊藤:家庭の事情とか子どもできたとか、いろいろあるからな。
本間:僕らは辞める理由が何もないので。3人で寄り添って15年間やってきてます(笑)。「どうするこれ?」「売れんの?」「やるしかねぇか」とか言いながら。
――飛石連休・藤井ペイジさんのYouTubeチャンネルに本間さんが出演した際には、「キングオブコント準決勝敗退後に伊藤さんが不満を漏らす」とおっしゃっていました。
本間:それはね、準決勝の後は必ず怒ってて。もう嫌だったんすよ。僕ら2016年~2019年までずっと準決勝にいったんですけど、当時はコロナじゃないから準決勝組全員が会場に集められて決勝メンバーを1組ずつ発表していくんです。
僕らは舞台上でインタビュー受ける方たちを、ひたすら呆然と眺めるだけ(苦笑)。それ目の前でやられちゃうと、ひどく悔しいんです。だから、そのままの気持ちでロング(伊藤)は怒ったんだと思います。
伊藤:どんよりすんのよね、最後に「以上です」って言われると。発表が4、50分ぐらいで終わって、芸人がぞろぞろ帰っていくんです。まぁすぐ電車に乗る人もいれば、飲みにいく人もいて。僕らはとりあえず喫煙所探して、一服しながら「どうする?」みたいな。その時に「もうダメだな」「俺ツッコミやるか」「ネタ書くの遅いよ」とか、俺がつい本間に憎まれ口叩いちゃったりもして。
本間:俺も売り言葉に買い言葉で、めっちゃ言い争いして(苦笑)。
中嶋:めちゃくちゃガチだったよね、あの時は。
伊藤:でも、尾を引く感じではないですね。もう次の日からは「じゃあどうする?」って元に戻る。周り見てると、賞レースの結果で仲悪くなったり解散したりすることも多いんですけどね。
中嶋:3人いるとバランスはいいよね。俺はヘラヘラしてるし。
本間:中嶋さんがバランサーとしてやってくれるので。そこは助かってますね。