Qアノン信奉者は3000万人以上
米公共宗教研究所が21年にまとめた調査結果によると、ネット上で17年後半に始まったQアノンを強く信奉する人たちは、共和党や右派メディアの支持者に際だって多く、全米に3000万人以上いることが分かっている。
「政界やメディア、金融界のエリートが、児童の性的な人身売買を行う悪魔崇拝者に操られている」など、Qアノンの基本的な陰謀論に同意する信奉者がアメリカ全体の14%に達した。彼らは同時に、トランプを悪魔崇拝者と闘う英雄として位置付ける。
子どもの生き血をすするなんて、日本人にはウソのように聞こえる陰謀論だが、アメリカにはそれを受け入れる土壌がある。
悪魔的な人びとが秘密裏に会合を開き、子どもを虐待しているという間違った話の起源は中世ヨーロッパにまでさかのぼる。“血の中傷”と呼ばれる誤った民間伝承によると、ユダヤ教徒が秘密の会合を開き、キリスト教徒の子どもの血液を儀式に使っている、というもの。この主題をモチーフにして描かれた絵画も少なくない(PBS“United States of Conspiracy”20年7月28日放送)。
そうした民間伝承が、形を変えて今日によみがえったのがQアノンだ。
しかし、飛行機で隣り合わせたQアノン信者は、拍子抜けするほどアメリカのどこにでもいるような中流家庭の主婦だった。彼女がワシントンDCに行って心を痛めるのは、そのホームレスの多さだ、と言う。
「彼らに会ったら、少額でも直接お金を渡すようにしているの。支援施設に献金するより、直接渡す方が、彼らも急場をしのげるでしょう」とスパルディング。
だが、彼女もまた、アメリカでは児童売買が行われており、トランプがその悪魔的な存在と闘っているのだ、と言う。さらに大統領選挙は盗まれた、とも信じている。