『ザ・コア』(2003/米)
2時間15分。
パニック映画としては作りも丁寧で
なかなか面白いドB級映画なのだが、
この国連兵士たちのカットだけは
どんなに忖度しても超絶いただけない。
これは米国人エキストラによる撮影
だろうが、一般アメリカ人が如何に
ベレー帽をかぶれないかが如実に表
れている。
このカットの中でごくまともにミリ
タリーベレーをきちんと軍律に沿って
かぶれているのはアジア系と思われる
エキストラただ一人だ。
これだけ人間がいてただの一人である。
どんだけアメリカ人がスットコなのか。
米軍は全軍にかつてブラックベレーを
制帽として制式化して支給した。
これは特殊部隊出身の将軍のロビー
活動や軍隊内部での努力の成果だった。
やっと悲願のベレーを英軍のように
米軍もかぶる日が来た。
だが、数年で米軍はベレー制式化を
廃止した。
理由は、アメリカ人は頭が良くなくて
何度きちんと教えても、コツが要る
ベレーをちゃんとかぶれなかったから
だ。
米軍は幼児でも自分で被れる野球帽
のような物に戻した。
特殊部隊は別だ。知能指数も高く
なくては特殊部隊の隊員にはなれ
ない。これは英軍も米軍もそうだ。
だが、一般兵士は、名前が書ければ
いいほう、というようなものだ。
結果、米軍は、かつてのように
エリート部隊のみがベレーをかぶる
ことになった。
ちなみに日本の自衛隊はグリーンベレー
を91略帽として採用した。2020年に
廃止した。米軍に右に倣えだからだ。
ポチにベレーは要らないのかも。
陸上自衛隊も最初はベレーのかぶり
方を知らず、国連派遣部隊はこの上掲
のようなベレー被りだった。
だが、その後自衛隊は研究をした。
さらに2011年からは「将校のたしなみ」
という着装の解説書が陸自内で発行
された。
その陸上自衛隊の将校向け指導書
の中にあるベレーのかぶりかたの
解説は、私が2010年にネットで世界
初ベレーの各国のかぶりかたと歴史
を解説したウエブサイトの記事を
まるまる流用していた。
また、陸自隊員たちのネットコミュ
ニティ(現在閲覧不能)を見ると、
私のウエブサイトのベレー解説の
話でもちきりだった。
「ここ見た?」「見た見た。ために
なるよな」とか「今度〇〇に派遣なの
だけどこのページ見て研究した」
「まだ時々新人とかキノコいるよね」
とか。「お湯で絞ったら班長に
おこられちゃう」とか。
実際に海外派遣された部隊の写真を
報道で見たら、全員ビシッと隙の
ないベレーかぶりをしていた。見事
だった。
まるで英軍特殊部隊のようだった。
だが、今は廃止になった。
どうするかというと、陸自も今は
野球帽。「軍服」着用の質は確実に
低下した。
だが、ベレーがまだ採用されていた
頃、親友の陸自将校は、本物の陸自
ベレー(将校以上の徽章タイプ)を
PXで頼んで取り寄せて私に進呈して
くれた。
嬉しい事だった。
バスク生まれのベレー帽を軍帽と
して初めて採用したのは英軍だ。
英国軍人は着装に世界一厳しく、
左利きさえも許さない。日本の
昔の武士の作法のようだ。
その英軍のエリート部隊は全軍
ベレーをかぶる。部隊ごとの色分け
で。
その英軍兵士のベレーの着装方法を
つぶさに観察すれば、どんな民族で
あってもきちんとしたベレーの着用
は可能であるのに、世界中、手抜き
のテケトン連中ばかりで、一向に
本家本物をお手本にしない。
日本の武士のいでたちで刀を両刀
たばさむ姿や歩く姿、身を沈めたり
立ったりする姿は現在では日本人
でさえもできる人間はごくわずかだ。
そもそも武士の所作は武士がやって
いたのだから、百姓町人にはできない。
まして士族という族称欄が戸籍から
消滅した昭和23年には武士の血脈
を示すものは法的に無くなった。
武士そのものは明治時代に消滅
させられた。
現代人は法的には全員日本人は
まっ平らだ。法制度上の階級は
存在しないし、武士も一人もいない。
だが、武士のたしなみを実行して
いる人たちはいるにはいる。
武術をやっていれば武士の所作と
思想と生き方を実行しているのでは
ない。武士の作法は現代でも食事
作法や礼法に生きている。
そうした武士の生き方は日本人の
お手本になっているし、その伝統を
墨守して生きている人たちもいる。
きちんと勉強すれば、誰でもできる
筈なのだ。挨拶一つにしても、手紙
の作法にしても、言葉使いにしても。
ベレーのかぶりかたも全く同じだ。
本家本物をよく観察して、一挙手
一投足を写すようすればいい。
「俺はこれが好みだから指図する
な」「好きでやってるのだから
余計な事言うな」という方式は軍事
着装には一切存在しない。心得違い
をしてはいけない。
武士に着物や道着の着付けがある
ように、軍人には軍人の正しい着装
規定がある。
軍人でなくとも、軍服を着て軍事
的な模倣系をやるならば、本物に
肉迫しなくては意味が無い。
コスプレが単なる出鱈目だとしたら
コスプレとしても再現としても質が
低すぎる。
『シン・仮面ライダー』のような
ものだ。
初代OPでは左手でレーシングテク
ニックにあるステア操作をしていた
のを取り違えて誤認して、シンでは
左手でクラッチ側のグリップで
スロットル操作をしている。
たわけが過ぎる。似て非なる物とは
あれなり。あれは何だ。ダブルエン
ジンなのか?
如何に現代人の若い世代が、観察力
と思考力に乏しいかをシンは示して
いる。
これまたベレー被りの頬被りと一緒。
きちんとやれば年齢も育った背景も
関係なく、人間は絶対にやれる筈
なのに。人間は限りない可能性を
秘めているのに。
だが、世の中それをせずに、テキトー
な出鱈目でいいやとする安直な姿勢
が実に多い。
その結果は、この上掲の画像にみら
れるようなことを生み出す。
こんな国連軍兵士は存在しない。
ふざけるな、という話だ。
映画としても、折角頑張ってスタッフ
が製作しているのに、演じる役の
エキストラが台無しにしている。
侍の真似して、股間のど真ん中に
刀を差していたらおかしいでしょう?
それと一緒です。こういうミリべレ
の被り方は。
(私はベレーに関しては正式着用
をしている場合は「被る」は使わず、
「かぶる」と表記します。それは
日本の侍烏帽子とまったく同じかぶり
方をするから。侍烏帽子は冠であり
冠ぶるとなるからです)
国内で随一のミリタリーベレーの
研究者から私のベレー解説ページ
は「金字塔」と称賛を受けた。
国内では物凄い影響を社会的に与えた。
『ラジオライフ』などはまるまる盗用
したし、陸上自衛隊までもが参考に
して流用した。
ファッション界にも影響を与え、
あらゆるファッションシーンで
ウエブサイトなどでは私のページ
がリンク付きもリンク無しでも
参考にされて同一記述が成された。
今から10年程前の事である。
今、kelu-cafe.comのドメインは私が
所有しているが、そのウエブサイト
は思うところあり現在アップを停止
している。
なお、私のベレーのかぶりかたは、
1970年代に元英軍兵士から某所に
おいて直に教え仕込まれたもので
ある。