49歳の慶応大元教授が脳梗塞で陥った「超孤独」 暗転した人生「死ぬのも生きるのも怖い」
東洋経済オンライン / 2022年11月8日 7時30分
渡部は慶応大学経済学部を卒業後、1995年に旧郵政省に入省。研究セクションに勤務し、論文の共著者になったことを契機にプリンストン大学大学院経済学研究科に留学した。帰国後は東北大学などで教鞭を執った。日頃からスポーツクラブで運動し、体調に気をつけた食事を心がけていた。
これまで経済的な不安を感じたことがなかった渡部を今最も悩ませているのが、医療費だ。脳の障害に加え、2009年に大腸などの臓器にポリープが多発する「ポリポーシス」という遺伝性の病気を発症していた。定期的にポリープを切除する手術が必要だが、その費用を払い続けることができるのかどうかが不安だという。
現在は慶応大学の健康保険に加入しているため、1カ月医療費が25000円を超えた部分は保険がカバーしてくれる。しかし月々の保険料は高く、非正規雇用のため働き続けられるかもわからない。
困難な状況を理解してもらえない
渡部は脳梗塞で倒れる6年前、手に力が入らないという症状から「もやもや病」と診断された。もやもや病は、脳の血管が細くなり言語障害や手足のしびれが起こる難病だ。脳梗塞はもやもや病の再発が原因とみられる。現在はリハビリテーション病院でリハビリや言語療法を受け続けているが、その費用も不安の種だ。
「もやもや病は手術で治るものではなく、リハビリでも回復するものではないようです。私が十分に会話できないため、私の困難な状況がリハビリの担当者にうまく伝わらず、やるせなさを感じています。リハビリの費用も重く、精神的にも金銭的にもつらい」
病院に同行してくれるヘルパーに支払う費用もかさむ。病院にすら一人で行けないという情けなさに苛まれる。
頼れる人はいないのか。渡部には同居する78歳の母親がいる。その母親も2年前に一時入院したことをきっかけに介護が必要な状態になった。母親のヘルパーとデイケアサービスの支払いは1カ月で20万円ほどかかる。費用は、年金と貯金を取り崩して賄っている。
これまで結婚したことはない。母親以外には、千葉に住む遠縁の親戚が1人いるだけだ。父親は渡部が1~2歳のときに母親と離婚。父親の暴力が原因だった。離婚後、母は実家に戻り、母と祖父母の元で渡部は育った。
たった数年で孤立した親子
2017年には祖母が他界した。自宅で祖母の介護をつきっきりでしていた母親は外出しなくなり、足腰が衰えていた。以降、渡部は都内のマンションで母親との2人暮らしとなった。
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