日本大百科全書(ニッポニカ)「ハヤトウリ」の解説
ハヤトウリ
はやとうり / 隼人瓜
[学] Sechium edule Swartz
ウリ科(APG分類:ウリ科)の多年草。おもに果実を食用とするために栽培される。茎はつる性で、長さ10メートルを超すほどになる。葉はやや五角形状で基部は心臓形、幅10~20センチメートル。雌雄異花。果実は西洋ナシ形で、色は黄白色または緑色、中に長さ5~6センチメートルの白色卵形の種子が1個ある。根はいも状に肥大してデンプン質。原産地はメキシコ南部から熱帯アメリカ地域で、ヨーロッパやアジアに伝播(でんぱ)したのは19世紀になってからである。現在は、熱帯を中心に広く栽培される。
日本には1917年(大正6)アメリカから鹿児島に導入され、薩摩隼人(さつまはやと)にちなんで名がつけられた。関東でも育つが、鹿児島や沖縄などが栽培の適地である。春に種子を果実ごと植え付ける。霜にあうと枯れるので、日本では一年草として栽培する。未熟な果実を漬物や酢の物、甘煮、汁の実とする。また、葉や若いつるを野菜として食べ、いもは食用や飼料として利用する。つるで帽子や籠(かご)を編む。
[星川清親 2020年2月17日]