初冬の穂高連峰 写真と動画でたどる〈山と人と信州と〉

西穂山荘前で記念撮影をする7人パーティー=11月2日午前9時13分

 風は弱く、静まり返った稜線(りょうせん)。北アルプス南部は2日朝、前日の降雪から一転、快晴の天候に恵まれた。標高2300メートル付近から上部には雪が積もり、西穂山荘(2367メートル)一帯も冬の訪れを感じさせる景色となった。

 山荘から西穂高岳の独標(2701メートル)へと歩みを進める。午前6時15分過ぎ、八ケ岳から朝日が上ると、西に望む笠ケ岳(2898メートル)の背後がピンク色に染まる。独標の奥にそびえるピラミッドピーク(2750メートル)は新雪の斜面が朝日を受けて朱色に輝いた。

 稜線を登るにつれて、雪の量も増していく。独標手前の鞍部で10センチほど。雪と岩の交じった斜面を登りきると独標のピークに出る。ここからは穂高連峰の眺望が素晴らしい。前穂高岳(3090メートル)から奥穂高岳(3190メートル)、西穂高岳(2909メートル)へと続く岩肌も雪に覆われ、荒々しさを増していた。

 南方を望めば、上高地からゆっくりと雲が湧き上がる。その奥にそびえる乗鞍岳(3026メートル)も雪に覆われていた。

 西穂山荘に戻ると、関東から訪れた7人パーティーが下山前の記念撮影。その1人、千葉県船橋市の公務員、石井隆之さん(51)は「新型コロナで登山を自粛している間、以前の山行写真を見ては早く行きたいと思っていました」。今年や北アの水晶岳や雲ノ平、富士山などにも出かけたという。

 今回の山行は、入山日が雨や雪の天候となったものの、翌2日は予報より早く青空が広がり、絶好の登山日和に。降雪のため独標の手前で引き返してきたものの、「自然の良さをあらためて感じることができました」。

 西穂山荘のスタッフによると、10月に入ってから雪が降っても解けて消えている。今回の雪も下山中に見渡す山々から徐々に消えていくのが分かり、暖かい初冬となっていることを実感させられた。