三宅一生――あらゆる境界を超える瞳で、新しいデザインに夢を見た

2022年8月、真の「文化人」である2人が、天へと旅立った。この国の美をファッションに託した才能に、永遠の感謝と敬愛を込めて。

三宅一生/「イッセイ ミヤケ」デザイナー

三宅一生/「イッセイ ミヤケ」デザイナー


1938年、広島県生まれ。丹下健三とイサム・ノグチの建築に触れ、デザインを志す。パリのクチュールメゾンで経験を積み、1970年に事務所を設立。1973年パリコレ進出を果たし、日本伝統の美意識と革新的素材を融合させ、モード界の寵児に。2007年開業の「21_21 デザインサイト」の設立など、生涯現役を貫きデザイン全般の発展に計り知れない功績を遺していった。


三宅一生/「イッセイ ミヤケ」デザイナー

あの清潔で端正な笑顔を思うとき、彼がいかに「ボーダーレス」だったかを思い出す。今モード界が夢中になっているさまざまな垣根を越えたデザインや考え方は、すべて三宅の足跡をなぞっている気さえするのだ。

designer issey miyake
1993年3月、パリで発表した1993-1994秋冬コレクションのフィナーレにて。
Images PressGetty Images
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オープンかつ神聖な、「イッセイらしさ」の素

自由かつ無二のクリエーションを紡ぐ様を、早足だが振り返ろう。まず、ローカリティとモードの融合。日本の高級な着物ではなく襤褸(ぼろ)や割烹着などの仕事服を愛した彼は、時代に沿った「生活服」を生み出すべく、パリの美意識と自身の感性を自在に取り合わせていく。さらに、クラフトとテクノロジーの垣根もない。専門機関と協業し糸から独自に開発した最先端素材も、手仕事のような風合いと心地よさを備えてしまう。多様性は言うまでもなく、1976年には黒人モデルだけを起用したショーを発表。また性別や年齢、体形も限定しないデザインは「服とは、着た人がその人らしい生活をするためのもの」という信念を表した。

そしてジャンルさえも無意味。名写真家アーヴィング・ペンを筆頭に、次の世界を創るアーティストや建築家、プロダクトデザイナーたちが集まり、共に画期的な作品を生み出していった。きっと、「ボーダーレス」な魅力の最たるものは、この影響力かもしれない。彼が見せたランウェイのように生命力に満ち、時を超えて私たちの心を躍らせる。これを大いなる遺産と呼ばずに、なんと呼ぼう。

jack lang reçoit les couturiers en 1984
写真左から 高田賢三、アンヌ・マリー・ベレッタ、ジャン・シャルル・ドゥ・カステルバジャック、シャンタル・トーマス、アリックス・グリーン、イヴ・サンローラン、ジャック・ラング(元フランス文化大臣)、ソニア・リキエル、三宅一生、ピエール・ベルジュ、エマニュエル・ウンガロ。
Micheline PELLETIERGetty Images

衣服のルーツである「一枚の布」へ原点回帰

issey miyake
1999春夏コレクションより。

初期から一貫して、自身のコンセプトを「一枚の布」の可能性と表現してきた三宅。体と布の間の距離を平面から立体に昇華したルックは、体を持つ喜びを教えてくれるよう。従来のファッションになかった視点は、世界を魅了した。

ready to wear
Daniel SIMONGetty Images

身体になじみ、自由に動くプリーツは、開発力のなせる業

issey miyake pleats please
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1994年春夏からブランドとしてスタートした「プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ」。衣服の形に布を裁断・縫製した後でプリーツをかける「製品プリーツ」という技法を生み出し、リズミカルな服の動きを発明。三宅がイノベーターとしても高く評価されるゆえんだ。

伝統がインスパイアする、現代の「生活着」を求めて

issey miyake

1968年のパリで反体制の学生運動から始まった5月革命を目の当たりにし、全ての人へ向けた服作りを決意。割烹着といった日本の仕事着からも着想を得るなど、本質的な暮らしのための服作りを目指していく。

時代を開くクリエイターに愛された男

issey miyake
スティーブ・ジョブズが、代名詞となる黒タートルネックトップを三宅から注文したのは有名な話。
fabien baron
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感性豊かな才能を見抜き、惜しみなくチャンスを与えた彼だけに、初の香水“ロードゥ イッセイ”では若きファビアン・バロンを起用した。

photo:AFLO, GETTY IMAGES, ©BEAUTÉ PRESTIGE INTERNATIONAL, BRIGITTE LACOMBE


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