砺波市の企業経営者が同市柳瀬地区で、市内初となる民間のヘリコプター離着陸場(ヘリパッド)を整備し、11月から東京-砺波間を結ぶヘリの運航事業に乗り出す。東京、首都圏の富裕層を中心に観光やビジネスの利用を見込み、富山県内の自治体や企業のイベントでの遊覧飛行も検討する。将来的には県内数カ所にヘリパッドを増設し、「空のタクシー」として富山の観光振興も見据える。
砺波市でヘリの運航事業を計画するのは、「HIYOSHI・DESIGN」(同市)の石村忠美社長(49)。ヘリの遊覧飛行や旅行事業を展開する「AirX(エアーエックス)」(東京)と連携して準備を進めている。同社は首都圏で年間数千回の飛行実績を持ち、石村社長も昨年から所有するヘリ3機を同社に委託する方法で飛行事業に参画している。
石村社長は以前から、富山市や県内の観光地にヘリパッドを整備し、東京と富山を結ぶヘリの運航事業を展開する構想を温めてきた。
その第1弾となるヘリパッドは、砺波市柳瀬地区住民の理解が得られたことから、9月に同市庄中の庄川沿いに位置する農地約700平方メートルで整備した。国交省から「富山砺波場外着陸場」として認可を受け、「Heli Pad Tonami(ヘリパッド砺波)」と名付け、11月上旬に開港する。
東京-砺波市間を約1時間20分で結び、片道数十万円の利用料金を予定している。富裕層や企業経営者らの会員制による運航を計画する。今後、県内にヘリパッドを増設して東京と結ぶコースを増やし、利便性を高めたい考えだ。
砺波市内には砺波総合病院屋上や陸上自衛隊富山駐屯地にヘリコプターの離着陸場があったが、民間企業の運営するヘリパッドは初めて。県航空政策課によると、県内では朝日航洋(東京)などがヘリパッドを開設し、ヘリを運航している。石村社長は「地元の協力で開港にこぎつけた。砺波市の観光振興、地域活性化にも貢献していきたい」と意欲を話した。