もともと、社会全体のためになる公益性の高い仕事がしたい、という想いを強く持っていました。そのため法曹界に興味を持ち、ロースクールに進んだのです。法律事務所でのインターンシップなどを通じ、「社会の制度や仕組みが充実していること」がいかに大切かを実感。相談者の方に、「法律で定められているご自身の権利」や「利用できる制度」をお伝えすると、まるで光を見たように安心した表情になることがあるのです。一方で、「なぜこういう制度がないのだろう」「この制度はもっとこうだったらいいのに」という思いを持つことも少なくありませんでした。そのため、今存在している制度や仕組みや法律を前提として誰かを救うだけでなく、「救済すべき誰か」の数が減るような、社会の制度や仕組みを整える仕事がしたい、という気持ちが強くなったのです。
そこで魅力を感じたのが、消費者庁の仕事です。「これからの時代に生きる人の生活を根底から支える」という使命感を持って仕事ができると考えました。社会で生活をしている人は、大人も子供も、住んでいる地域も関係なく、全員が「消費者」です。消費者庁の仕事は全ての人の生活に直結するものだという点も、魅力的でした。
責任の重さを実感したときには、大きなやりがいも感じます。現在の部署に異動になった昨年の1月は、3月に予定していた改正法案の国会提出に向けた法制局審査の山場でした。私は総務課の法令審査担当として、関係各所との連絡や調整、打合せなどを重ねていきました。分刻みのめまぐるしい毎日の中で、すべてが初めての経験。入庁1年目の係員としては、数か月間とは思えない非常に濃い時間でした。私は外部との窓口を担当しており、法制局などの他省庁から連絡を受ける機会が多い役回りです。そんな中、法案の内容に立ち入った用件でも、「担当者に電話を繋いでください」ではなく、私自身に対して問合せをいただけるようにもなったのです。単なる連絡係ではなく、頼りにされるやりがいと喜びを感じました。この時の法改正は特定商取引法と消費者契約法に関わるもので、近年の社会状況の変化や消費者被害の実態を踏まえ、より消費者の利益を擁護するためのもの。悪質事業者への対応が強化されると同時に、消費者が取り消せる契約の類型が増えました。今まで不可能だった類型の契約の取消しが可能になるということは、ロースクール生だった私にとっては衝撃的。これまでは、法律は最初からあるもののように思っていたのに、制度の根本を見直し、国の新たな仕組みを作るための法律案が今まさに作られている。さらには、この法律によって救われる人がたくさんいる。それを目の当たりにして、深く感銘を覚えたのです。
仕事をする上で心がけているのは、当事者としての意識を持つこと。第三者的な立場での意見や批評ではなく、自分自身で調べ、代案を考える。いつも主体的に、さまざまな案件に関わるようにしています。
久保 美奈海
KUBO Minami
消費者庁
総務課審査第一係
平成27年入庁
【総合職院卒者試験(行政区分)】
平成28年12月1日時点