検査数「水増し」してもバレない
驚くべきことに、業者側が補助金を申請する時の「検査件数」も自己申告ベースになっており、その杜撰さがかねてから指摘されてきた。都内の別の業者は、ここにも不正が介在する余地があると話す。
「名前や住所、電話番号などの個人情報と問診票を書いたという事実さえあれば基本的には通用するから、バイトの学生を動員して何度も受けさせたり、名簿屋から買った情報をそのまま打ち込んで水増しする、というような業者は普通にいますよ。自治体側から調べが入った時に言い訳できればいいし、確かな情報提供や物的証拠があるとかでないと、よほど悪質でない限りは自治体側もマンパワーが足りないから調べきれない」
まさに「濡れ手で粟」の状態だったわけだが、そんな無料検査事業も9月以降は旨みがなくなってきた。東京都でいえば、都外の人が無料検査の対象から外されたため検査数が稼ぎにくくなり、補助金の額も減額されたためだ。先の業者はこう話す。
「国の予算は3200億円だから、PCR検査一回を1万円として3200万回くらい賄える計算にはなる。ただ今年の夏の第7波は、無料検査所が本格的に普及してから初めての波で検査数が激増した。東京都だけでも検査拠点は1200ヵ所を超えているから、それが一日あたり数十、数百件と検査するようになり、国や自治体も予想外の出費に驚いたんでしょう。