電磁界(種類と用途)

波長と周波数の関係

周波数のグラフ

    電磁波は、電界と磁界の周期的な変動が、光の速さと同じ1秒間に約30万キロメートルの速さで伝わる波です。右図のように、電磁波は時々刻々とプラスからマイナスへ、マイナスからプラスへと変動します。
    この波の「山と谷」の1サイクルが1秒間に繰り返す回数を周波数(ヘルツ)といい、その1サイクルで進む距離を波長といいます。
    電力設備から発生する電磁界は、周波数が50ヘルツ(西日本は60ヘルツ)であり、波長が6千キロメートル(西日本は5千キロメートル)にもおよびます。





電離放射線と非電離放射線

    電磁界は、電離放射線と非電離放射線に分けられます。
    波長が1千万分の1メートル(100ナノメートル)よりも短い、周波数で示すと3千兆ヘルツ(3ペタヘルツ)以上と極めて高い周波数であるエックス線やガンマ線などは、細胞を構成する分子の原子結合を破壊することによって電離作用(プラスやマイナスに荷電された原子や分子を生成すること)を起こさせるのに十分な光子エネルギーを持っているので、電離放射線と呼んでいます。
    電離放射線は、その波長が非常に短いためその動きは波というよりも「粒子」としての性質であり、そのエネルギーは周波数に比例します。
    電離放射線は物質にあたった時に、その物質を電離作用させる能力があるため、身体を構成しているDNAの鎖を分断したり、組織を傷つける能力もあることから、がんを引き起こす可能性があります。
    一方、送電線や家電製品などから発生する超低周波電磁界、IH調理器などから発生する中間周波電磁界、テレビ放送や携帯電話などの通信に利用される高周波電磁界(電波)などは全て電離作用を起こすエネルギーを持たないので、これらを非電離放射線と呼んでいます。

 代表的な電磁界の種類と用途

分類 名称 周波数 波長 主な用途










静電磁界 静電磁界 0Hz - 磁気共鳴装置(MRi)
鉄道(直流)
超低周波 超低周波 1Hz ~ 300Hz 1000km以上 家電製品
電力装置
中間周波 極超長波 300Hz ~ 3kHz 100km ~ 1,000km 地中探査
超長波 3kHz ~ 30kHz 10km ~ 100km IH調理器
潜水艦用通信
長波 30kHz ~ 300kHz 1km ~ 10km 電磁調理器
道路交通情報ビーコン
中波 300kHz ~ 3MHz 0.1km ~ 1km AMラジオ放送
短波 3MHz ~ 30MHz 10m ~ 100m ICカード、国際放送
ラジコン
高周波
(電波)
超短波 30MHz ~ 300MHz 1m ~ 10m FMラジオ放送
航空管制





極超短波 300MHz ~ 3GHz 0.1m ~ 1m テレビ放送、電子レンジ
携帯電話、無線LAN
センチ波 3GHz ~ 30GHz 1cm ~ 10cm 衛星放送 (BS・CS)
ミリ波 30GHz ~ 300GHz 1mm ~ 10mm レーダ
サブミリ波 300GHz ~ 3THz 0.1mm ~ 1mm ボディスキャナ
赤外線 3THz ~ 30THz 0.8μm ~ 1mm 赤外線リモコン、ヒータ
可視光線 30THz ~ 3PHz 400nm ~ 800nm 光学機器
紫外線 3PHz ~ 30PHz 10nm ~ 400nm 殺菌灯、日焼けサロン




放射線 エックス線 30PHz 以上 10nm以下 レントゲン検査
非破壊検査
ガンマ線 ガンマ線(放射線)治療

単位の接頭語(n、μ、m、c、k、M、G、T、P)については第Ⅰ章(2-1)節を参照してください。[▶Ⅰ(2-1)


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