渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

映画『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』(2008)

2022年11月03日 | open



言わずと知れた黒澤明の名作『隠し
砦の三悪人』(1958)のリメイク。
登場人物のきこりと山師はのちに
『スターウォーズ』のC3POとR2D2
のモデルとなった。

このリメイク作品、とてもキャメラ
が良い。特撮も、アクションシーン
も。
俳優の演技もとても良い。
ただし、製作陣の演出は最低だ。

これ。


なぜ戦国時代に丁髷なのか。
ふざけるにも程がある。
丁髷は江戸初期の元和偃武の時に
登場した。
それまでの茶筌髷が武張ったもの
として禁止されたので、日本国内
で武士たちは猛反発した。
その時、同時に赤鞘禁止、角鍔
禁止、髭、もみあげ伸ばし禁止と
なった。刀剣の長さも決められた。
そして、ミョウチクリンな天頂部
髷を載せる丁髷が新時代の規則
として制定された。

戦後時代の物語に丁髷とは、天地
がひっくり返ってもあり得ない。
将軍家光がスマホで「もしもし」
するようなものだからだ。
製作陣の演出家、監督は時代劇
作品を舐めてる。舐め切ってる。
映画館で観る価値は無い。ゼロだ。
キャメラがとても良いだけに残念
な作。
戦国武将全員が丁髷だ(笑
ふざけるにも程がある。
無知だ知らなかったでは済ませら
れない。仕事が極めていい加減だ。
本当に歴史物を舐め切ってる。
評価10点満点中マイナス530点。


しかし、よくクロサワをリメイクし
ようという大それた事思うよなぁ
と感じる。
そして、リメイクして黒澤作品を
観ていた者を唸らせるのならとも
かく、リメイク作はどれもが軒並み
最低だ。
一番最低は『椿三十郎』だった。
最低時代劇ランキングトップを争う
程に。
この作品もそれとどっこい大作だ。
「この髷はダメでしょう」と誰も
進言しなかったのか。
それがこの作品のダメなとこだ。
ど出鱈目のまま公開されてしまっ
た。
映像作品は残る。歴史に残る。
無責任な製作態度だ。
黒澤作品に対する冒涜である。

名作『隠し砦の三悪人』(1958)
オリジナル。


あり得ないのである。



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