止まらない物価高と円安。

その影響は意外なところにも出ています。

今、様々な現場で起きている異変とは。

10日20日には32年ぶりに1ドル150円を突破するなど依然、止まらない円安。

<福岡空港>
福岡空港を訪れてみるとー。

◆韓国から来た男性
(お金みせる)「1万(ドル)くらいです。観光や買い物で日本に来るには良いチャンスです」

◆韓国から来た女性
「日本人には申し訳ないのですが、円(レート)がとても低いので、日本でお金を使うのにはとても良いチャンスです」

<キャナルシティ>
実際に買い物をした人たちはー。

◆ディレクター
「日本の買い物は安く感じる?」

◆香港から来た女性
「はいとても安い。香港は高いですが、日本はいい物が安い。買い物も食事も安くていい」

◆韓国から来た男性
「同じ商品でも日本の方が安くて、ここで買う方が得だなと思っています」

外国人旅行客にとって、まさに「格安」日本という現状。

そして、さらなる危機も訪れようとしています。

◆石橋征一郎代表
「日本を選ぶメリットがないということで別の国に行くと」

日本に迫る危機とはー。

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<吉塚商店街/福岡市>

◆記者リポート
「こちら吉塚商店街はリトルアジアと銘打っていて、東南アジアの食品などを扱う店が並んでいます」

商店街にあるミャンマー料理店。

人気メニュー「モヒンガー」はナマズで出汁を取ったスープに米粉の麺がマッチした一品です。

食材のナマズは現地から輸入しています。

本場の味にこだわるこの店にとって輸入食材は欠かすことができず、円安によって打撃を受けています。

◆ミャンマー料理「若桜湯」石橋征一郎代表
「ざっくりいうと30%はアップしているので、価格据え置きでまだ頑張ってはいるけど、かなりきつい状態にはなっている」

しかし、円安は食材以上に外国人従業員に影響を与えています。

タイ出身のピ・ヤーさん。

10年前まで日本で暮らし、一度、タイに帰国したあと、10月に日本人の夫とともに再び日本に来ました。

◆記者
「タイにお金を送ってますか?」
◆タイ出身ピ・ヤーさん
「うん、ちょっとだけね」
◆記者
「(円安は)どうですか?」
◆タイ出身ピ・ヤーさん
「きつい。大変、息子もいるから」

10年前の円相場は1バーツあたり2円台(2.56円)、しかし(10/31)現在は3円台(3.9円)と約1.5倍です。

◆ミャンマー料理「若桜湯」石橋征一郎代表
「うちとしては(現在の時給900~1千円から)時給をあげてあげたい、だけどまだまだ我々が価格転嫁できていない状態で、経営者としては板挟みの状態」

日本で働く外国人は現在、1700万人あまり。

この状況が続けば、貴重な外国人の日本離れにつながる恐れもあります。

◆ミャンマー料理「若桜湯」石橋征一郎代表
「今はまだ日本を選んでくれている国の子たちが、日本を選ぶメリットがないということで、別の国に行き始めるということになりかねません」

日本離れ。

それは外国人に限った話ではありません。

<日本ワーキングホリデー協会 福岡オフィス/福岡市>
◆カナダの語学学校のスタッフ
「カナダの最低賃金がいくらか。日本円に直すと1600円くらい。高級レストランだと時給が伸びたり、チップももらえるかもしれない。稼ぎが非常に高い、というのがカナダのお仕事事情」

海外で語学を学びながら働いて収入も得たいという人のための留学セミナー。

いわゆるワーキングホリデーを希望する18歳から20代の男女6人がカナダの語学学校のスタッフから現地のアルバイト事情などについて詳しく話を聞いていました。

◆参加者
「トロントとバンクーバーで迷っているんですけど…」

◆カナダの語学学校のスタッフ
「トロントは都会です。大きい街です。バンクーバーは時間の流れは若干ゆっくりです。時給ならトロントかな…」

セミナーを主催する団体によりますと、円安が急速に進んだ影響でこの数カ月、一気に問い合わせが増えているといいます。

◆日本ワーキングホリデー協会福岡エリアマネージャー藤田逸郎さん
「前は“英語を学びたい”“文化を知りたい”という人が多かったんですけど、最近本当に『稼げるんですよね?』という理由で来られる方が圧倒的に増えている」

こちらの女性は今年、福岡の会社に就職し営業系の仕事に就いたばかりです。

◆セミナー参加した女性(24)
「コロナの関係で(大学卒業後に)留学できなくてそのまま就職したが、円安の影響で日本にいるより海外に行って稼げるのならこのタイミングかなと思ってセミナに参加しました。チップの話とか最低賃金の話とか日本と全然水準が違うので、夢があるなとすごく思いました」

実際に海外でのアルバイトはどれくらい稼ぐことができるのか。

海外にいる留学生はー

◆オーストラリアに留学中 大野いつきさん(23)
「オーストラリアの時給の最低賃金が21ドル(約2100円)。今カフェで働いていますが、25ドル(約2500円)頂いています。多くて日本円にすると月40万円くらいもらえます。そもそも物価が高いんですが、年間で200万円くらいは貯まります」

大野さんは将来、外国の企業に就職したいと考えています。

◆オーストラリアに留学中 大野いつきさん(23)
「賃金の面でもそうですし、ワークライフバランスが日本に比べると(とりやすい)。働くときは働いて家族や友達との時間を自由にとれるので、そういった面でも海外で働きたい。オーストラリアは日本と比べるとすごくチャンスがある、夢がある国だと思う」

若者の日本離れ。

円安も重なり、今後さらにその流れは加速するとみられています。

◆日本ワーキングホリデー協会 福岡エリアマネージャー 藤田逸郎さん
「チャンスを海外に求めていく方は来年以降もっと増えていくのではないか」
◆ディレクター
「日本の若者が海外に出稼ぎに行く時代になっている?」
◆藤田さん
「そうですね。なっているし、もっとなってくると思います」

日本の若者が海外に出稼ぎへー。

想像もしなかった時代が現実のものになりつつあるようです。