弁理士は、合格率が10%にも満たない難関資格だといわれています。
はじめて資格取得に挑戦する方にとっては、弁理士試験の難易度をイメージしづらいのではないでしょうか。
そこで今回のコラムでは、弁理士試験の難易度を他資格と比較しながらランキング形式で紹介します。
目次
弁理士の難易度は高い?難しい?簡単?
弁理士は、アクチュアリー、医師などと合わせて理系最高峰の資格と言われることもあります。
そんな弁理士試験の難易度はやはり高いのでしょうか?
まず、例年の最終合格率は6~10%です。以下で8士業合格率ランキングを見ていきますが、他の士業と比べても低い値になっています。
また、取得までに必要な勉強時間はおおよそ3,000時間とされており、勉強時間の観点からも難しいことが伺えます。
当コラムでは、そんな弁理士試験の難易度について、合格率や勉強時間はもちろんのこと、8士業比較ランキングなども見つつ多角的に検証していきます。
弁理士試験の合格率とその推移【最終・短答・論文・口述】
弁理士試験は、短答式試験、論文式試験、口述試験という3種類の試験からなります。
短答→論文→口述と順に合格していくことで、口述合格後に「弁理士試験最終合格」となります。
今回は合格を
・最終合格
・短答式試験合格
・論文式試験合格
・口述試験合格
にわけて、それぞれの合格率・合格者数とその推移を見ていきます。
弁理士試験最終合格率:例年6~10%
特許庁によると、令和3年度弁理士試験最終合格率は6.1%でした。
また、過去6年の合格率を見ると、最大で9.7%、最低で6.1%と、例年の合格率はおおよそ6~10%であることが伺えます。
年度 | 合格率(合格者数/必須科目受験者数) |
令和3年 | 6.1% |
令和2年 | 9.7% |
令和元年 | 8.1% |
平成30年 | 7.2% |
平成29年 | 6.5% |
平成28年 | 7.0% |
なお、令和3年については、その前年の合格率がここ数年で最大の9.7%であった為、その揺り戻しで低く出た可能性があります。
短答式試験合格率:例年9~20%
特許庁によると、令和4年度弁理士試験短答式筆記試験合格短答式試験の合格率は10.3%でした。
また、過去7年の合格率を見ると、最大で20.1%、最低で8.9%と、例年の合格率はおおよそ9~20%であることが伺えます。
年度 | 合格率(合格者数/短答式試験受験者数) |
令和4年 | 10.3% |
令和3年 | 11.3% |
令和2年 | 18.2% |
令和元年 | 18.3% |
平成30年 | 20.1% |
平成29年 | 8.9% |
平成28年 | 15.5% |
論文式試験合格率:例年25%前後
特許庁によると、令和3年度弁理士試験論文式筆記試験合格短答式試験の合格率は25.1%でした。
また、過去6年の合格率を見ると、最大で25.5%、最低で24.2%と、例年の合格率は25%前後であることが伺えます。
年度 | 合格率(合格者数/必須科目受験者数) |
令和3年 | 25.1% |
令和2年 | 25.0% |
令和元年 | 25.5% |
平成30年 | 23.9% |
平成29年 | 24.2% |
平成28年 | 25.3% |
一見短答式試験より合格率が高く思えますが、これは受験資格による影響もあると考えられます。
論文式試験は短答式試験合格者「のみ」が受験可能です。
短答合格レベルの知識を保有する人が受験する為、受験者の母集団の知識量は相当なものであると考えられます。
そのため、数字以上に体感としての合格率は低いものと考えた方が良いでしょう。
口述式試験合格率:例年99%前後
特許庁によると、令和3年度弁理士試験口述式筆記試験合格短答式試験の合格率は99.5%でした。
また、過去6年の合格率を見ると、最大で100.0%、最低で98.7%となっています。
年度 | 合格率(合格者数/必須科目受験者数) |
令和3年 | 6.1% |
令和2年 | 9.7% |
令和元年 | 8.1% |
平成30年 | 7.2% |
平成29年 | 6.5% |
平成28年 | 7.0% |
弁理士試験に限らず、多くの資格試験において、最終試験が面接形式の試験である場合、その合格率は高く出る傾向があります。
合格率で見る弁理士の国家資格難易度ランキング
税理士や行政書士などを含めた8士業の合格率をもとに、弁理士の難易度を見ていきましょう。
順位 | 資格名 | 合格率(例年) | 受験資格 |
1 | 司法書士 | 3~4% | なし |
2 | 社会保険労務士 | 4~6% | あり |
3 | 弁理士 | 6~10% | なし |
4 | 土地家屋調査士 | 7~9% | なし |
5 | 行政書士 | 8~15% | なし |
6 | 税理士 | 12~15% | あり |
7 | 弁護士 | 22~39% | あり |
8 | 海事代理士 | 48%~54% | なし |
8士業と比べてみると、弁理士試験の難易度がいかに高いのかがわかります。
また、弁理士試験の平均合格率は6~10%です。受験者が100人いたとすると、合格できるのはわずか6~10人という計算ことになります。
弁理士の試験に合格するには、精度の高い解答が試験において必要です。そのためには、出題傾向を把握した効率的な試験対策が重要だといえるでしょう。
弁理士試験は難化している?
特許庁の過去の試験結果によると、2021年12月18日~12月20日に実施された令和3年度弁理士試験の最終合格率は6.1%でした。
受験者数3,248人のうち、合格者数は199人です。
以下で弁理士試験の難易度の変化について調べてみました。
最終合格率 | 最終合格者数 | |
平成28年度 | 7.0% | 296人 |
平成29年度 | 6.5% | 255人 |
平成30年度 | 7.2% | 260人 |
令和元年度 | 8.1% | 284人 |
令和2年度 | 9.7% | 287人 |
令和3年度 | 6.1% | 199人 |
上の表は平成28年から令和3年までの最終合格率をまとめたものです。
この表から弁理士試験の最終合格率は令和元年と令和2年に少し高くなっているものの、その他の年は6%~7%程度となっており、あまり変化はみられません。
過去十年の結果をみてもこの数字にはあまり変化がないことから、弁理士試験の難易度は今後も同水準で維持されるものと考えられます。
一方で弁理士試験の受験者数は年々減っていることから、弁理士の人数が過剰に増えてしまい資格の価値が低下してしまう可能性は今後も低いといえるでしょう。
勉強時間で見る弁理士の難易度ランキング
ここからは、勉強時間をもとに弁理士の難易度を見てみましょう。
司法書士や税理士を含む8士業それぞれの勉強時間は、以下のようになっています。
順位 | 資格名 | 勉強時間(約) |
1 | 弁護士 | 3,000~8,000時間 |
2 | 弁理士 | 3,000時間 |
2 | 司法書士 | 3,000時間 |
3 | 税理士 | 2,000~2,500時間 |
4 | 土地家屋調査士 | 1,000時間 |
5 | 行政書士 | 800~1,000時間 |
6 | 社会保険労務士 | 800時間 |
7 | 海事代理士 | 500時間 |
初めて資格取得の勉強にチャレンジする人が、弁理士試験に合格するために必要な勉強時間の目安は3,000時間といわれています。
1年間で資格取得を目指すとしたら1日に8時間、1年半であれば少なくとも5〜6時間前後の勉強が必要です。
弁理士試験は、長期間にわたり継続して勉強時間を確保しなければならず、資格取得を途中で断念してしまう人も少なくありません。
独学が難しいと感じたら予備校の活用も!
以上見てきた通り、弁理士試験は非常に難易度が高いです。
独学での合格が難しいと感じた場合、予備校を活用するというのも一つの手です。
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