「荒廃の地は熱を帯びて」
これはCR4の〈冒険者〉を対象とした『LHZ』のシナリオである。あなたがGMならば、このシナリオを使うことですぐに『LHZ』を遊ぶことができる。あなたがプレイヤーとしてこのシナリオを遊ぶつもりならば、これを読むのはセッションが終わるまで待ってほしい。このシナリオのガイダンスは以下の通りである。
このシナリオには戦闘2回、ミッション1回が含まれる。
オンラインでのセッションの場合は、通して遊ぶと時間がかかる場合もあるため、イベントごとにひと区切りし、2から3回に分割して遊ぶ事を検討しよう。
シナリオ背景(プレイヤーの事前閲覧は禁止します)
舞台のモチーフ
今回舞台となる〈シエル島〉のモチーフは、太平洋に浮かぶマーシャル諸島やキリバスなどの島々、あるいは天皇海山列と呼ばれる海底火山帯である。
モチーフとなった島のいくつかには、先史時代の遺跡が実際に見つかっており、渡り鳥たちの休息地としても知られる。おしなべて標高は低く、サンゴ礁や冷え固まった火山噴出物の荒原からなる小さな島で、他の陸地と離れすぎているために植物の侵入・繁栄もほとんどない。
また、有名なビキニ環礁など、複数の島がかつて核実験場として使用された過去を持つ。
シエル島について
上記のような事情により、〈エルダーテイル〉内で実装された〈シエル島〉は荒れ野のような地形がベースとなっており、ところどころに麦に似た雑草が群生している程度の殺風景な島となっている。島の至る所に断層に似た亀裂と海水の浸食がみられ、そこに呑まれるような形で〈神代〉の構造物と思われるビルの一部のような痕跡が見られる。島に〈大地人〉は見られない。
島に出現するモンスターは〈軍艦鳥〉フリゲートバードのような海鳥型が大半を占めるが、稀に〈刻印岩石〉ラインドロックという、他には見られない[人造]タイプのエネミーも確認されている。
〈シエル島〉の名はフランス語で天を表すCielを由来ととする。この島は〈底都ヒラニプラ〉に貯蔵された魂(こん)が地上に解放されるときに通る、通路のような役目を果たす。
シエル島で受注できるクエスト
〈大地人〉がいないため、イベントはシークレットの1つのみである。島に点在する遺構には、〈神代〉の記録が残されている。記録を集め、現れた〈太祖なる鳥〉タンガタ・マヌを倒すことで、〈底都ヒラニプラ〉への道が解放される。このイベントはクエスト〈東の果てに陽が昇る〉の解放条件となる。
試練で得られる記憶のかけらについて
〈神代〉と呼ばれる時代、この星では魔導機械による高度な文明が発達していた。しかし、ある出来事がきっかけとなり、全世界で戦争が勃発、この島に存在した文明都市ヒラプニラは、最終兵器による攻撃を受ける。
太陽王ラムウはその力を使い、起爆させることなく兵器を受け止めることに成功。しかし、力を使い果たした王ともども、ヒラニプラは地の底へと消えていくのであった。
〈刻印岩石〉は、都市の巫女であった人物が都市に封印をかけ、この顛末をのちの世に伝えるために作成したものである。
シナリオの裏で起きていること
シナリオ中、たびたび何者かの人影が目撃されるが、これは続くシナリオで登場するミナミの冒険者である。同じく次シナリオで登場する〈底都ヒラプニラ〉の住人であるようにミスリードされるが、〈シエル島〉エリア内には、一切大地人は存在しない。彼らは〈第一次東方調査部隊〉の船に潜入してこの島に至り、動向を偵察しながら、この島で発見されるであろう何らかのプライズを〈アキバの街〉の勢力よりも先に手に入れることを目的としている。
シナリオの運用
PC番号およびシーンプレイヤーの扱い
このシナリオではPC番号を使用せず、またシーンプレイヤーも基本的に指定しない。GMは必要であれば任意にシーンプレイヤーを指定してもよい。
プリプレイ
レギュレーション
このシナリオは以下の環境で遊ぶことを想定して作成されている。GMの決定した難易度によって【因果力】が増減するため忘れず反映すること。
使用ルール
-
『ログ・ホライズンTRPGルールブック』
-
『ログ・ホライズンTRPG拡張ルールブック』
推奨キャラクター
-
CR4、「ハイコンストラクション」に追加資金として250Gを得た条件で作成されたキャラクター
-
同様の基準で既存のキャラクターをリコンストラクションしてもよい
-
4名用シナリオ(4種類のアーキ職業がすべて揃うことを推奨)
「ハイコンストラクション」については以下を参照すること。
おすすめサブ職業
このシナリオには、それぞれの観点から以下のようなサブ職業がおすすめである。キャラクターの作成に迷ったら参考にするとよい。
状況の解説
PCの立場
〈アキバ総選挙〉が実施され、新生円卓会議が発足したアキバの街に一枚の「海路図」がもたらされた。
そこに記されるは、大海に住まう強大なモンスターとの遭遇を避ける不可思議な航路。
半信半疑のうちに第一次調査隊が辿り着いたのは、太平洋の遥か彼方に浮かぶ小さな無人島であった。
今回、PC達は〈アキバの街〉から第二次調査隊の主要メンバーとしてこの島に至り、島のデータやクエストの存在を調査する任に当たることになる。
物語は、PC達が輸送船に乗って、調査地である〈シエル島〉へと到達する場面から始まる。
ユニオンの結成
このシナリオではPCたちは〈第二次東方調査部隊〉に所属し、パーティーを組んで冒険する。
希望するならば、ユニオンの名前を自由に変更してもよいだろう。
また、各PCは、他のPC1人へのコネクションを取得する。
希望するならば、チケットを使用してその他のコネクション、ユニオンを取得してもよい。
使用するEXパワー
プリプレイでのEXパワーの配布はない。このシナリオでは、イベントの内容によっては追加のEXパワーが解放される場合がある。
セッション難易度
以下の難易度から1つ選択する。そのとき『ログ・ホライズンTRPG』未経験者がプレイヤーに含まれているのであれば「難易度:イージー」を選ぶこと。
因果力の増強
GMが許可するなら、プレイヤーは次のどちらかを行ってもよい。
-
手持ちの「因果力チケット」を消費して追加の【因果力】を最大1点まで得る。
-
PCの所持金から50Gを消費して「温泉」を使用し、追加の【因果力】を最大1点まで得る。
オープニングフェイズ
GMはメインプレイとオープニングフェイズの開始を宣言し、次のシーンのシーン予告をすること。
インタールード
シーン予告の内容は、次のシーンのシーン定義を目的から順番に読み上げるとよい。プレイヤーからのシーン要望が無ければ、そのまま次のシーンを開始する。
シーン予告とシーン要望の確認は以降のインタールードでも毎回行なうこと。また、このシナリオでは、基本的にすべてのシーンにPC全員が登場する。GMはこれもプレイヤーに伝えよう。
OP1:【最果てのシエル島】
シーンが始まったら「オーバーチュア」を読み上げ、シーン開始時の様子を描写しよう。以降のシーンも、開始したらまず「オーバーチュア」を読み上げること。
「モンタージュ」には、シーンが変化した描写とそれを読み上げるべきタイミングが記載されている。これは厳密なものではないので、GMはPCたちの反応を見つつ、ロールプレイが一段落したなどの区切りの良い場面で「モンタージュ」による変化の描写を行うとよい。
それは、まさに海外旅行に匹敵する長い時間だった。時折旋回し、迷路を紐解くように海上を進む輸送船〈オルニトケイルス〉。その船室で、君たちは新たな冒険の舞台を心待ちにしていた。
〈新生円卓会議〉発足直後のことだ。〈アキバの街〉にもたらされた一枚の海図は実に奇妙なものだった。
〈ヒタチの街〉を起点として不可思議な絵を描き、最後はヤマトの東方、遥か彼方のある一点に線を結んでいる。幻想級といえど、何があるとも思えぬままに出港した調査隊が目にしたのは、自分たちの常識を覆す「確たる島」の存在だった。
パイプをつないで作られた伝声管から声がする。
「見えたぞ。皆、デッキに出てみろよ!」
君たちの眼前に現れたのは、突き出た岩々と色彩に乏しい大地。世界に取り残されたように佇むこの島で、君たちの冒険が始まる。
【PCたちが下船した】
下船した君たちを、2人の〈冒険者〉が出迎える。〈第一次調査部隊〉のメンバーだ。
下船前からにぎやかにこちらに手を振っていた小柄な法儀族の女性が話しかけてくる。
>>加速さん「ようこそ!!みんなまってたよぉ~!私はアイテム管理担当の>>加速さん。これからよろしくねっ!」
ネザーランド「こらこら、いきなりグイグイと行き過ぎなんだよお前は。っと、ようこそ〈シエル島〉へ。長旅疲れただろ、案内するぞ。」
キャンプへと移動する道中、君たちは二人からこの島について分かったことを聞くことができる。なんとかキャンプの設営に全力を注いである程度の環境が整ったこと。荒涼とした大地が広がり、海鳥以外はほとんど何も見ないこと。ゾーン情報から考えても、それでも何かしらはあるだろうと思われること…。
また、ゾーンの情報を確認すると、以下のようなことがわかる。
二人との会話が一区切りしたら、▼【キャンプに辿り着いた】に進む。
【キャンプに辿り着いた】
君たちがキャンプに辿り着くと、さらにもう一人の冒険者が出迎えてくれた。彼が〈第一次調査部隊〉のリーダーを務めるセイジのようだ。
セイジ「いらっしゃい。ようこそ〈キャンプ・イーストエンド〉へ。疲れは溜まってないかい?こっちに来て。お茶でも飲みながら話そう。」
セイジは皆に飲み物の希望を聞いて、>>加速さんに準備をお願いする。
「それでは改めてになるけど、君たち〈第二次調査部隊〉の任務を確認しよう。」
「君たちの任務は、この島に存在するだろうクエストやイベントの調査と、可能ならその踏破だ。今のところ、僕たちの隊はキャンプの安定化にしか手を付けられていなくてね。済まないのだけど島全体の大まかな地図程度しか用意ができなかった。ここから各エリアを調査して、怪しげな場所を突き止めてほしい。」
●【一次調査部隊の活動について】「見ての通り、この島には本当に資源らしき物が少なくてね。鉱物はともかくとして、食料に関わるものはほとんど全部持ち出しにならざるを得なかった。この有様じゃあ長期の活動は望めないから、まずは農家スキルで食糧生産を始めようということになった。幸い、ネザーランドがうまくしてくれたお陰で飢えは凌げるようになったよ。」
●【既知の怪しい場所について】「島の東のほうに珊瑚礁ができている場所があったね。焼け焦げた大きなクレーター、それから……そうそう、僕は直に見たわけじゃないんだけど、人影らしきものの目撃情報がある。〈神代〉のビルの遺跡のあたりだ。」
●【本当に何かあるのかについて】「もちろん絶対とはいいきれないんだけど、ゾーンのフレーバーテキストを見る限りでも、すでにこの島には何かが設定されてると思う。そうじゃなきゃ、わざわざこんな所にいくための海図なんて、用意されないっていうのが僕の見立てかな。」
シーン終了
一通りの会話が終了したら、最後に以下のことを伝えてシーンを終了する。
「キャンプ内の施設は自由に利用してもらって構わないよ。消耗品は>>加速さん、装備品類はネザーランドを頼るといい。資料をまとめるなら僕が力になるよ。」
「それから、もしもどこかで全滅した場合について。復活と〈帰還呪文〉の座標は〈オルニトケイルス〉に積んである移動神殿になるはずだよ。流石にアキバまで戻されちゃ敵わないってことでね。でもその影響で、キャンプ周辺の一部エリアでは〈念話〉が使えない時がある。もし連絡がとれない場合は、移動を考えてみてほしい。」
シーン終了オープニングシーン終了に際し、PC全員に【因果力】1点を配布すること。
ミドルフェイズ
インタールード
ここからはミドルフェイズとなる。GMはミドルフェイズの開始をプレイヤーに宣言しよう。
MD1:【調査の始まり】
まずはじっくりと準備してから仕事にかかるといい。セイジはそう声をかけて会議室を離れた。
キャンプには消耗品の取引所や武具の手入れ場、情報をまとめている簡易な資料室などが揃っている。
ここで最初にできることはないだろうか。先ほど淹れてもらったドリンクの残りを飲みながら、君たちは相談を始めた。
このシーンでは、アイテム・サービスの購入や情報収集、その他の基本動作を行うことができる。情報の購入など一部の行動は、オープニング前に〈アキバの街〉などで為されたものという扱いにするとよい。
なお、[準備]タグをもたない行動は、PC1体につき一度までしかできないことに注意しよう。
調査カウンターで得られる情報
GMは、以下の条件が満たされるたびに指定された情報を公開する。時間がたっぷりとない場合は全員が行動を終えてから、一括で情報公開を行うと良いだろう。
君たちは資料室へ赴き、〈第一次調査部隊〉の作成したマップを確認した。
いくつか小エリア名が付けられており、やはり何かのイベントが発生しそうな程度に「作り込まれた」島であることがわかる。以下の島内マップを公開する。
画像:Inkarnate Worlds様より https://inkarnate.com/maps/
地球の知識を当てはめるなら、この島の座標に陸地は存在しないはずである。あるとするなら、海底火山が噴火して新しい島ができるような場合だろうか?
島には〈軍艦鳥〉をはじめとした海鳥型モンスターが大量に生息しているようだ。>>加速さんによれば、食糧としても優秀な素材になるという。〈軍艦鳥〉の識別データを得る。
この島は日本サーバーに所属する。〈大災害〉は少なくともヤマト全域で一斉に発生したと考えられているが、この遥か東端の島であればどうだろうか。
日付変更線との位置関係から考えれば、「ずれ」があったと考えられはしないか?
調査カウンターで得られる情報
GMは、以下の条件が満たされるたびに指定された情報を公開する。時間がたっぷりとない場合は全員が行動を終えてから、一括で情報公開を行うと良いだろう。
「そういえば」とセイジが再び現れる。「私たちとフレンド登録をしておかないといけなかったね。」
彼は手慣れた手つきで空中に浮かぶメニューを操作し、君たちをフレンドリストに追加した。
「これでよし。主要なメンバーにはいつでも連絡がつくよう、出発前に会っておいてほしいな、よろしく頼むよ。」
>>加速さん「ワオ!フレンド登録のために会いに来てくれたの!?嬉しいねぇ〜〜加速さん踊っちゃうよー!」
ネザーランド「おぉっと、よく気がついてくれた。お互い、協力が必要な時に連絡がとれないとな。改めて頼りにしてるぜ。」
以降、任意のタイミングでセイジ、>>加速さん、ネザーランドに連絡をとることができる。
ただし、GMはこの提案を却下してもよい。
このイベントが発生する前に彼らをフレンドリストに入れるロールプレイが有ったなら、上記イベントの代わりに以下の描写を挟んで「特製タンブラー(クラブサンドバスケット相当)」を1つ手に入れる。
会議室から出ると、君たちは机の上に人数分のタンブラーが置いてあるのに気がついた。
一緒に書き置きが添えられている。「さっきのドリンク詰めておいたよ。みんなガンバレ★ミ」
「この辺りは荒れ地ばっかりだからなぁ、案外イースタルではあんまり出番がない種も役に立ちそうだよな。」
キャンプに作られたビニールハウス式の菜園を、ネザーランドが定期チェックがてら案内してくれた。
ほとんど栄養がないため農業には向かない土地でも、アウラウネやウンディーネを駆使した冒険者式の方法ではいくつか作物を作ることに成功しているそうだ。セルデシアだからできることだよな、と彼はやりがいに燃えていた。
「荒れ地と言えば、こういうのは役に立ちそうか?」
思いついたようにそういって、彼は鞄から1つの召喚笛を取り出して渡す。
「〈巨大アリ〉ジャイアントアントのだ。虫だってんでそんなに人気のある生物でもないんだろうが案外かわいいし、こいつらの生態はがけや溝が多いこの辺りに向いてる。鞄が空いてたら試してみてくれ。」
「私たち、ほんとにず~っとキャンプ設営ばっかりでねー。色々話したけどこれ以上は調べてってしか言えないヨ、ゴメンね!」でもその分ここの施設はすごいでしょ、と自慢げな>>加速さん。
「あっ、でもでも何かピンチ!ってなったらちゃんと呼んでね!しばらく戦闘もやってないし、楽しみにしてるから!!」
EXパワー【支援を要請する】を開放する。
このEXパワーは、絆カウンターが1に達した後ならロールプレイの形でメンバーに支援を要請することでも開放してよいが、その場合は次のシーンに使用可能にできるEXパワーは1種類となる。
a
ミッションボーナスを得る。
シーン終了
PCたちが一通りの準備を終えたら、最後に以下のことを伝えてシーンを終了する。
君たちは調査の支度を終え、荒野へと繰り出した。
昼下がり、快晴の空は突き抜けるように高く、その彼方にはうっすらとした月が浮かんで君たちを見下ろしている。
しばらく移動すると、鳥たちに混ざって見慣れない岩のようなモンスターがうろついてるのが確認できた。キャンプでの資料にはまだ見られなかった種類だ。不意に、彼らを包み込むようにあたりが霧めいてくる。ターゲットを見逃さないよう、君達は手早く戦闘態勢に移行した。
MD2:【荒原の遭遇戦】
戦闘準備
EXパワー【支援を要請する】が解放されている場合は、このタイミングで使用することができる。
[偵察]タグを持つ行動に成功したPCがいたなら、以下のカットインを読み上げること。
また、先ほどのシーンで〈軍艦鳥〉の識別データを得ていた場合、ここで〈軍艦鳥〉が合計4体登場することも判明する。
シーン終了
戦闘の準備が整ったら、シーン終了となる。ブリーフィングシーンもシーンの一種なので、【ヘイト】はリセットされることに注意しよう。
インタールード
次はいよいよ戦闘シーンとなる。使用するエンカウントシートやマーカーなどを用意しよう。
MD3:【刻まれし古きもの】
君たちは地殻変動と浸食作用のの爪痕の色濃い荒れ地で見慣れないモンスターに戦闘を仕掛けた。
この戦闘が君たちの調査の第一歩となる。冒険者に幸運のあらんことを。
戦闘の終了条件
エンカウントシートと配置
また、以下のエネミーは登場時にそれぞれ指定の状態を得る。
C-2の〈円列の刻印岩石〉…[軽減(至近からの攻撃):8]
G-7の〈円列の刻印岩石〉…[軽減(至近以外からの攻撃):8]
エネミーデータ(呈示用データはシナリオ末尾に記載)
プロップデータ(呈示用データはシナリオ末尾に記載)
エネミーの動き
すべてのエネミーは可能な限り[ヘイトトップ]のキャラクターを狙い、それが不可能な場合のみ[ヘイトアンダー]のキャラクターに対して攻撃を行う。ただし、[攻撃判定]を伴わない行動に関してはこの限りではない。
〈円列の刻印岩石〉は《バリアチェンジ》によって、PCの位置取りの変化を促していこう。《マナリーク》などを受けて[軽減]が消滅した場合、このエネミーは再び軽減を付けることができない。そうした状況が発生したら、そこはプレイヤーを賞賛するべき場面である。魔法の回路が循環不全を起こしたとして、弱体化演出をするとよい。
〈軍艦鳥〉は、使用できる場合は必ず《仲間を呼ぶ》を使用する。PCが攻撃をためらうようなら[ヘイトトップ]を強制移動させ、【大地の裂け目】へ落下させよう。自身で【大地の裂け目】を利用して戦闘不能になることも可能だが、演出上の指針として余程のことがない限り行わないようにすること。
異常探知
PCが《異常探知》を使用したら、戦場から少し離れた場所に人らしき気配を感じるが、その気配はすぐに消えてなくなってしまうことを伝える。この気配は今回の戦闘に関与しない。
戦闘に敗北した場合
PCたちは〈オルニトケイルス〉に積まれた〈北風の移動神殿〉で復活し、再び同じ場所で〈刻印岩石〉を討伐する。
戦闘に敗北した場合、このシーンでドロップ品を手に入れることはできない。次のシーンに進むこと。
シーン終了
戦闘に勝利したら、シーン終了となる。倒したエネミーのドロップ品を入手するのを忘れないようにしよう。
通常、この戦闘で入手できるドロップ品は以下のようになる。
-
おいしいササミ[換金](20G)…4個
-
透き通った瓦礫[換金](30G)または 半導結晶体[換金](100G)…合計2個
MD4:【太古の記憶】
倒された〈刻印岩石〉は光の粒子となって、そのあとに一枚の石板を残す。
石板は淡い光を放ったかと思うと、君たちの視界はぐるりと暗転した。
ぼやけた意識の中で、語りかけてくる何者かの声と眼前に現れるどこか遠い地の風景。
どうやら、石板は君たちの意識に直接メッセージを送り込んできたようだ。
このシーンでは、〈刻印岩石〉に封じられているメッセージにより、「試練」の概要が明らかとなる。
石板により、PCたちは〈神代〉の末期に望まれた「善き人々」であるのかを試されることとなる。
君たちの意識の中で、石板は君たちに語りかける。
「最後の地へ至りし冒険者たちよ……。よくぞこの島へ。 此処は封じられし地シエル。天と地を、過去と未来を繋ぐための島なり。
「世界の終末から幾星霜。善き人々は地に満ちしや?」
「この地に封じられしは、我らが世界の中核、〈底都〉への道なり。」
「我々は人々が道を違えぬことを望む。努々、過ちは繰り返させぬ。故に、〈底都〉へ至るための〈試練〉を設ける。」
「汝らが善き人々足りえるならば、〈試練〉は完遂されよう。石板を集め、果ての祭壇にて己が足跡を示すがよい……。」
シーン終了
石板のメッセージに返答すると、君たちの意識は元の〈シエル島〉へと帰ってくる。
どうやら、島のどこかにいる〈刻印岩石〉を倒しながらメッセージを集めよ、ということらしい。
君たちはさっそく行動を開始した。
インタールード
次のシーンはミッションシーンとなる。ミッション用のマップとパーティコマ、進行度カウンターを準備しよう。
MD5:【ミッション】
ミッションの準備
GMは、ミッション用マップとパーティーコマを用意する。
その後、「進行度カウンター」を以下のように各地点に配置すること。
-
〈巨大な地溝〉The Giant rift 2個
-
〈軍艦鳥の群生地〉Hill of Frigatebirds 2個
-
〈第一街道〉The Mainstreet 3個
-
〈災禍の荒原〉The Ground Zero 3個
-
〈虚ろの海〉The Void reef 4個
-
〈キャンプ・イーストエンド〉Camp Easyend 0個
ミッションの終了条件
勝利条件 「4ラウンド終了時に、進行度カウンターがすべて取り除かれている。」
敗北条件 「4ラウンド終了時に、進行度カウンターが1つ以上残っている。」
ミッションの進め方
ミッションは、マップの5か所に配置された「進行度カウンター」をすべて取り除くことが目的となる。
パーティーは最初に指定地点のどこにも所属していないので、〈移動する〉を使用すること。
その後、〈調査を進める〉を実行して進行度カウンターを減らしていこう。
また、PCは現在地が〈キャンプ・イーストエンド〉である場合、一般アイテムの購入・売却を行ってもよい。
画像:Inkarnate Worlds様より https://inkarnate.com/maps/
シナリオ動作
探索表(シエル島):1D6
1D | アイテム |
---|---|
1 |
鳥型モンスターの猛攻撃を受ける。疲労カウンターに+1する。 |
2 |
邪魔なエネミーが少ない。チャンスだ!このスポットで行う判定の達成値に+1する。この効果は〈移動する〉を行うまで持続する。 |
3 |
でこぼこした地形に苦戦する。PCたちはそれぞれ「消耗表:物品」を出目に-3して1回適用する。 |
4 |
調査地のコンディションが悪い。次のイニシアチブプロセスでは〈移動する〉を行うことができない。 |
5 |
何者かの気配を感じる————気のせいか?(効果なし) |
6 |
突き抜けるような快晴に、自然と気分が休まっていく。疲労カウンターに-2する。 |
カットイン
それぞれの条件が満たされたときに挿入すること。
波が岩壁に押し寄せ、複雑な形をした亀裂の奥の方まで入り込む。狭い隙間に浸入した海水はさらに勢いを増して、岩肌を何度も何度も削り取っていく。世界に取り残されたようなこの島で、潮騒だけが、叫ぶようにその音を響かせている……。
溝の内側に隠されていた〈刻印岩石〉を見つけて撃破すると、脳裏に記憶の欠片が送られてくる…。
巨大な都市に爆撃が降り注ぐ。空は漆黒の雲に覆われ、時折覗かせる隙間からはこの世のものと思えない朱の空が街の破局的光景を彩る。
雷がビルの先端に直撃し、出火する。————直後、轟音を立ててビルは倒壊した。
多数の〈自動機械〉に助けられながら、人々は終末を叫び、逃げ惑う。
この日、この世界に〈終末〉が訪れたのだ。
〈追憶の石板 2/6〉を手に入れた。
見慣れない客人に、ギャアギャアと鳥達が騒ぎ出す。吹き付ける風と荒波に泡立つ絶壁、その頂に、群れに囲まれるように何かが立っているのが見える。
鳥たちの群れの最中に〈刻印岩石〉はいた。2体の岩石は、少女を象った石像を護衛するように周回を続けている。石板を取り出すと、脳裏に記憶の欠片が送られてくる…。
炎があちこちにくすぶる灰色の大地に、少女は一人立ち尽くしていた。
やがて雨が降り出し、次第に激しさを増していく。
少女はその中で祈りを込めるようにゆっくりと杖を掲げて、静かに詠唱を始めた。
祈るように、歌うように紡がれる言葉は、彼女の体を光につつみ————。
〈追憶の石板 5/6〉を手に入れた。
荒原のさなか、唐突に現れる舗装道路の残骸は紛れもない〈神代〉の痕跡だ。痕跡が残ることもなく利用するものを失った道は、自身もそうあろうとしたかのように、〈虚ろの海〉の手前で唐突に消失している。
〈刻印岩石〉は立ち並ぶビルの廃墟を巡回していた。現れた石板を手に取ると、脳裏に記憶の欠片が送られてくる…。
崩壊しつつある豪奢な建物の中で、神官と思われる一人の少女と巨躯の男性が向かい合う。
「嫌です!そんなことと、できるはずない…!!」
「ニーラよ。もはや、そなたにしか頼めぬのだ……。」
地に伏して泣き叫ぶ少女に、男性は優しく寄り添い語り掛ける。
「我らの後を…我らの希望を……次の世に繋ぐのだ。」
「力を、あらゆる脅威を飲み込んだ我らごと…この国を。その日まで隠すのだ。」
そう声をかけると、男は踵を返し炎の中に消えていく。
残された少女の慟哭が、部屋に響いていた————————。
〈追憶の石板 3/6〉を手に入れた。
黒く変色した大地、石畳の痕跡の上で炎がくすぶる。〈火炎真柱〉フレイム・ピラーがゆらめいて、この地に芽吹こうとする生命の悉くを否定する。ここはいったい、何時から燃え続けているというのだろうか……。
燃え尽きぬ業火の中を、〈刻印岩石〉は静かに巡回していた。撃破して現れた石板を手に取ると、脳裏に記憶の欠片が送られてくる…。
飛び交う自動機械、逃げ惑う人々。戦いは熾烈を極めていた。
国と国、大陸と大陸を超えて戦火は広がり、最早だれも止めようがない。終末戦争だった。
いずこかから発射された巨大な球状の物体が、暗雲を突き抜けてゆっくりと街に接近する。
その中心地、城にそびえる塔の先端には、巨躯の男がひとり。彼は術式を唱え始める。
塔に球体が触れるその直前。青白く光る巨大な領域が展開され————————
〈追憶の石板 4/6〉を手に入れた。
環状の珊瑚礁が一望できるが、どこか色彩を欠いたその景観は見るものに言い知れない哀愁の念を呼び起こす。大地をくり抜いたようにそこにある海は、覗き込めば吸い込まれそうな雰囲気を漂わせている。
波うち際に佇む〈刻印岩石〉を見つけて撃破すると、脳裏に記憶の欠片が送られてくる…。
「魂の総量は決まっている、という話を聞いたことはあるかい?」
それは神殿の片隅でのワンシーン。知的さを表す白い衣に身を包んだ神官たちが、世界の探求に日夜を費やす。
ここでは、こういった会話はよく聞かれたものだ。
「この星に生きる命は、構成物質の面からも、エネルギーの面からも、確実に限界がある。」
総人口100億に手の届こうというこの時代、その限界は確実に近づきつつある、と彼は言った。
「もし、その限界が訪れたとき。…科学的ではないんだけど、我々の魂はどこへ行くのだろうね。」
〈追憶の石板 1/6〉を手に入れた。
ミッションの清算
ミッション終了時に勝利条件を満たしている場合、PC全員は[疲労:10]を受ける。
ミッション終了時に敗北条件を満たしている場合、PC全員は[疲労:15]を受ける。
さらに、疲労カウンターの数に応じて以下の処理を行うこと。
疲労カウンター | 処理内容 |
---|---|
3~5 |
「消耗表:体力」を1回適用する。 |
6~8 |
「消耗表:体力」を出目に-2して2回適用する。 |
9~11 |
「消耗表:体力」「消耗表:気力」を出目に-1して1回ずつ適用する。 |
12以上 |
「消耗表:体力」「消耗表:気力」を1回ずつ適用する。 |
シーン終了
ミッションの清算が終了したら、シーン終了となる。
インタールード
次はいよいよ戦闘シーンとなる。使用するエンカウントシートやマーカーなどを用意しよう。
MD6:【】
【シーン開始時に読み上げる内容をここに記述】
【CL2-1】
【戦闘時のエネミーの動き、プロップの動作などをここに記述】
クライマックスフェイズ
インタールード
ここからクライマックスフェイズとなる。GMは、クライマックスフェイズの開始をプレイヤーに宣言しよう。
CL1:【荒廃の地に陽がともる】
戦闘準備
EXパワー【支援を要請する】が解放されている場合は、このタイミングで使用することができる。
[偵察]タグを持つ行動に成功したPCがいたなら、以下のカットインを読み上げること。
シーン終了
戦闘の準備が整ったら、シーン終了となる。ブリーフィングシーンもシーンの一種なので、【ヘイト】はリセットされることに注意しよう。
インタールード
次はいよいよ戦闘シーンとなる。使用するエンカウントシートやマーカーなどを用意しよう。
CL2:【荒廃の地に陽がともる】
君たちは地殻変動と浸食作用のの爪痕の色濃い荒れ地で見慣れないモンスターに戦闘を仕掛けた。
この戦闘が君たちの調査の第一歩となる。冒険者に幸運のあらんことを。
戦闘の終了条件
エンカウントシートと配置
エネミーデータ(呈示用データはシナリオ末尾に記載)
プロップデータ(呈示用データはシナリオ末尾に記載)
エネミーの動き
すべてのエネミーは可能な限り[ヘイトトップ]のキャラクターを狙い、それが不可能な場合のみ[ヘイトアンダー]のキャラクターに対して攻撃を行う。ただし、[攻撃判定]を伴わない行動および[ギミック]の行動に関してはこの限りではない。
〈太祖なる鳥〉はこのランクとしては非常に高い【行動力】をもつ。実はこの高行動力は、《再行動》時に使用する攻撃《天貫きし柱》への対応を促すための措置なので、〈太祖なる鳥〉の【行動力】は低くなるほど戦場は厳しいものになっていく。初手はダッシュでE-4へと移動し、PCの動向を伺おう。
また、〈金色の羽〉はギミックであるため、ムーブアクションを持たないことに注意しよう。
シーン終了
戦闘に勝利したら、シーン終了となる。倒したエネミーのドロップ品を入手するのを忘れないようにしよう。
通常、この戦闘で入手できるドロップ品は以下のようになる。
また、冒険者たちは、「財宝表」のいずれかの欄(PC人数×1)回ぶんの財宝を見つける。財宝表ロールを行うこと。魔法素材、換金アイテムのどちらで振るかはプレイヤーが自由に選択してよい。
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おいしいササミ[換金](20G)…4個
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透き通った瓦礫[換金](30G)または 半導結晶体[換金](100G)…合計2個
エンディングフェイズ
インタールード
ここからはエンディングフェイズとなる。GMは、エンディングフェイズの開始をプレイヤーに宣言しよう。
エンディングは、すべてのフェイズの中でも比較的変更が容易な部分である。エンディングの目的は物語を終わらせ、プレイヤーに満足をしてもらうことだからだ。
E1:【シーンタイトルE1】
【E1オーバーチュアテキスト】
【E1-1】
【E1-1シーンテキスト】
シーン終了
PCたちのロールプレイが一段落したら、このシナリオは終了となる。
【報酬配分に関して追記事項がある場合はここに記述】
エンディングフェイズが終わったら、メインプレイを終了し、アフタープレイに移ること。
アフタープレイ
「アフタープレイ」にしたがってアフタープレイを行なう。
このシナリオで配布するログチケットは以下のとおり。
上記にくわえて、セッションに最後まで参加したプレイヤーとGMには「因果力ゲット」が1枚ずつ配布される。さらに、活躍したPCのプレイヤーには「因果力ゲット」を追加で1枚配布しよう。
この「因果力ゲット」配布は優れたプレイヤーを見つけ出すための措置ではない。その日のプレイを振り返って互いの健闘をたたえるためのものである。ぜひ全員の好プレイを思い出して、チケットを配布しよう。
セッションの終了
すべての処理が終わればセッションは終了となる。これにて今回の冒険は幕を閉じた。次なる冒険のためにいまは一時の休息としよう。お疲れ様でした!
データセクション
エネミーデータ
シナリオに登場するオリジナルのエネミーデータを記載する。ディベロッパーはこのエネミーデータを他のシナリオに使用してもよい。
プロップデータ
シナリオに登場するオリジナルのプロップデータを記載する。ディベロッパーはこのデータを他のシナリオに使用してもよい。