●シオカラーズの曲には歌詞がある!

『スプラトゥーン』架空のバンド、アイドルを想定して作るBGM。シオカラーズ、インクの音のこだわりも訊く、開発スタッフインタビュー【サウンド編】_08

――シオカラーズの歌は、どういったイメージで作られたのでしょうか?
峰岸 まずお伝えしておくと、本作でのシオカラーズに関する曲は、私ではなく、もうひとりのコンポーザーである藤井志帆が担当しています。藤井は、『マリオカート8』を担当した後にこのプロジェクトに加入したんですが、『シオカラ節』やスタッフロールなど、シオカラーズ絡みの曲はすべて彼女の担当です。シオカラーズは、トークは緩いけど、歌唱力は抜群のアイドルという設定がありまして。ミステリーファイルでも語られますが、彼女たちは民謡をルーツにしているので、『シオカラ節』などの曲は、やや和風のテイストを入れています。きらびやかでにぎやかなテクノポップに、民謡を感じさせるメロディーや歌いかたでボーカルを乗せているというのが、彼女たちの曲のコンセプトですね。

――彼女たちの歌声はVOCALOIDに近いものなのでしょうか?
峰岸 VOCALOIDではありません。ボーカルも、ハイカラニュースなどでのボイスも、アオリとホタル、それぞれにプロのボーカリストの方を呼んで歌としゃべりを録音して、それを素材に加工して使っています。

――歌はイカ語で歌っているようなイメージでしょうか。母音だけで歌っているように聴こえますが……。
峰岸 確かにイカ語ですが、母音だけではなく子音もしっかり入っているんです。加工しているので、母音のほうがよく聴こえるのかもしれませんね。

――え! じゃあ、歌詞があるんですか?
峰岸 はい。歌詞も、藤井が書いています。
野上 ただ、意味の通じる言葉になっていません。ハモりの部分もあるので歌詞が必要だったんですが、歌うのはたいへんだったと思います。
峰岸 言葉に意味はなく、響き優先で決めていましたね。

――それはたいへんですね……。ちなみに、ハイカラシティで聞こえる電車の発車音は『シオカラ節』のアレンジ版ですか?
峰岸 そうなんですが、正確に言いますと……『シオカラ節』にはシオカラ地方の民謡として伝わっているおおもとの原曲がありまして、それを現代風にアレンジしてカバーしたのがシオカラーズが歌っているバージョンであり、また発車メロディーにもアレンジされているわけなんですよ。

――なるほど。スタッフロールの曲にも『シオカラ節』が入っていますよね。
野上 スタッフロールの曲は、シオカラーズが歌っているところに、アタリメが『シオカラ節』で乱入してきたという設定なんです。ですから、間奏のところで彼がラップを始めているんですよ。
峰岸 よく聞くと、アタリメのしゃべり声で歌っているのがわかります。

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『スプラトゥーン』架空のバンド、アイドルを想定して作るBGM。シオカラーズ、インクの音のこだわりも訊く、開発スタッフインタビュー【サウンド編】_10

――演奏面でお聞きしたいのですが、“スプラトゥーン!”といった掛け声なども含め、演奏はスタッフの方がやっていらっしゃるんですか?
峰岸 ナワバリバトルで流れるバンド系のBGMの大部分は、プロのミュージシャンによる生演奏を収録したものです。メロディーラインのあるボーカルも、シオカラーズとは別のボーカリストさんを呼んで歌ってもらったものですね。ちなみに、掛け声のほうはほぼスタッフです(笑)。

――ナワバリバトルの始まるときの、ドラムがスネアやバスドラを叩いて、シンバルを鳴らして……という曲は、いかにもライブが始まる雰囲気ですよね。
峰岸 まさにそのイメージで作っています。

――『スプラトゥーン』のライブをやってみたいという想いはありますか?
峰岸 よく妄想します(笑)。まず真っ暗なステージで、そのナワバリバトルの最初の“ジャーン”から始まったらワクワクするなとか、アンコールで『シオカラ節』をやったら盛り上がるだろうなとか。
野上 問題は、演奏するメンバーを集めるところですね……。
峰岸 レコーディング時のメンバーを再結集すればいけると思いますが、社内のメンバーではちょっときついかなと。

『スプラトゥーン』架空のバンド、アイドルを想定して作るBGM。シオカラーズ、インクの音のこだわりも訊く、開発スタッフインタビュー【サウンド編】_17

――ライブ見たいです! それでは最後に、ファンへのメッセージをお願いします。
 『スプラトゥーン』では、ゲーム中の効果音やボイス、BGMの聴こえかたには非常に気を遣っています。押せ押せのBGMの中でも特徴的な音はしっかり聴こえるように作っていますので、寝る前や日常生活の中でもリフレインしてしまうような中毒性の高い音が頭に残っているかもしれません。そんな音も、1個1個楽しんでいただけたらうれしいですね。
野上 僕がいちばん好きなのが、チャージャーを敵に当てたときの音で、“ギャンッ”という効果音を聞くと、テンションも“ギャンッ”と上がりますね(笑)。
 チャージャーは当てるのが難しいブキなので、相手を一発で倒せるフルチャージのときに限り、特別感のある最高に気持ちのいい音を鳴らしています。まだ聞いていない方は、ぜひ聞いてほしいですね。あと、イカラジオなんですが、ご家庭のプレイ環境によっては、絵と音が若干ずれてしまう場合があるかもしれません。そんなときは、Wii U GamePadのほうにイヤホンを挿していただくと、テレビから流れていたBGMがイヤホンにも遅延なく流れてきますので、イカラジオもストレスなく楽しんでいただけると思います。

―― とても実用的な情報をありがとうございます(笑)。では、峰岸さんもメッセージを。
峰岸 プロジェクトが始まったころには、うまくいくのかなという不安もありましたが、いま思うと、個人的にとても楽しんでサウンドの制作ができました。みんなおおっぴらにはしゃいだりはしませんが、恐らくほかのスタッフも、すごく楽しみながら作っていたんだろうと私は確信していて、それがゲームを通じてお客さんに伝わって、お客さんにもまた楽しんでいただけたらいいなと思います。

『スプラトゥーン』架空のバンド、アイドルを想定して作るBGM。シオカラーズ、インクの音のこだわりも訊く、開発スタッフインタビュー【サウンド編】_18

――それでは締めとして、野上さんもメッセージをお願いします。
野上 システムもデザインもサウンドもですが、それぞれの開発スタッフが、自分たちが生きてきた中で強く影響を受けたものを盛り込んで、このゲームを作ってきたと感じています。そういう自分がすごく好きだったものを乗せているので、“好き”という感情がゲームの表面にも表れていて、同じように好きなものを持っている方々に共感していただけているのではないかなと。自分が中高生のころに聴いていたロックバンドと重ね合わせて曲を聴いてみたりとか、好きだったファッションを重ね合わせてギアを選んでみたりだとか。広場のアップライト筐体もそのひとつですし、もちろんゲームシステムそのものにも好きという想いが詰まっているので、いろいろな角度からこのゲームの世界を楽しんで、愛着を持って今後も遊んでいただけるとうれしいです。

――ありがとうございました!


 このサウンド編のインタビューで、3本立てでお送りしてきた『スプラトゥーン』インタビューは終了となる。もし、システム編、デザイン編を読んでいない場合は、合わせてお読みいただきたい。なお、冒頭にも書いたとおり、本作のサントラが2015年10月21日に発売される。サントラの発売後、また本インタビューを読んでいただけれは、より楽しめるはずだ。

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