「意欲の低下」は気持ちの問題でも年のせいでもないという理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

意欲の低下は、簡単に「年のせい」と言って片づけてほしくない状態です。意欲低下の原因のひとつに、年をとったことによる脳内の神経伝達物質である「セロトニン」の減少があります。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)で解説します。

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男性ホルモンは元気の素

■セロトニンを増やして意欲を持つためには、肉を食べる

 

セロトニンを増やすためには、肉を食べることがいちばんです。

 

セロトニンの材料というのが「トリプトファン」というアミノ酸です。それを多く含むのは肉です。肉を毎日食べることでセロトニンが生成され、意欲低下の防止につながります。

 

高齢になると脂っぽいものは食べられないという人もいて、野菜中心の食事になる方もいますし、健康や動物愛護の観点からベジタリアンになる方もいます。必要な栄養素はサプリメントでとるから大丈夫という方もいます。

 

しかし、サプリメントはセロトニンならセロトニンしか増やせず、肉のほかの栄養素はとれないし、後述するコレステロールもとれません。価格が高いものも多いです。できれば日々の食事に肉を加えることで、セロトニンが増やせてたんぱく質もとれるならそのほうが健全であると考えます。

 

人類の生活様式は狩猟に始まります。もともと肉と木の実と魚と貝、山菜等のヘルシーフードでした。肉は人間の身体をつくるために必須な栄養があるからこそ、私たちは好きなのかもしれません。

 

肉にはコレステロールも多く含まれるために、避けているという方もいます。

 

たしかに、コレステロールは、動脈硬化を促進し、心筋􄼷塞のリスクになるといわれています。基準値から高いと、すぐにコレステロールを下げる薬が出されます。

 

しかし、心疾患が死因トップのアメリカならいざしらず、日本では心筋􄼷塞よりも4倍以上がんの死亡率が高く、心疾患で亡くなる人は先進国の中でももっとも低い状態にあります。基準値を厳密に守る必要はないと考えます。

 

実際に、コレステロール値が高い人のほうが長生きをするという研究もあります。

 

なぜなのでしょうか。

 

コレステロールは、男性ホルモンの原料になります。男性ホルモンの中でも、特に「テストステロン」という物質が「意欲」と関係しています。

 

男性ホルモンというと「性欲」というイメージがありますが、性機能だけでなく他者への関心や集中力をもたらしてくれます。男性ホルモンは元気の素なのです。

 

女性は老いると女性ホルモンが減っていきますが、逆に男性ホルモンが増えていたという研究もあります。

 

あるNPOのリーダーである年配の女性が、「昔はおとなしいほうだったのに、年をとると人前に立って話すことも平気になった。『おばさん力』がついたのかしら」と話していましたが、「おばさん力」のせいだけではなく、男性ホルモンのおかげかもしれません。

 

とりあえず、もう少し肉を食べて元気をとり戻してみませんか。

 

和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

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こころと体のクリニック 院長

1960年生まれ。
東京大学医学部卒業。
東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカカール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、「和田秀樹こころと体のクリニック」を開院。
30年以上にわたって高齢者専門の精神科医として高齢者医療の現場に携わる。
『自分が高齢になるということ』(新講社)、『年代別医学に正しい生き方 人生の未来予想図』(講談社)、『六十代と七十代 心と体の整え方』(バジリコ)、『「人生100年」老年格差』(詩想社)『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)、『80歳の壁』(幻冬舎)など著書多数。

著者紹介

連載人生100年時代を豊かな心で健康に生き抜くための処方箋


連載は和田秀樹氏の著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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