約1万6千年前から約5千年間におよぶ縄文時代草創期の土器などの出土品を集めた特別展「縄文時代の始まりを探る」が、新潟県十日町市西本町1の十日町市博物館で開かれている。同市と津南町にまたがる本ノ木・田沢遺跡群の国史跡指定3周年を記念した企画。博物館は「火焰型土器が出土した中期だけではない縄文時代に理解を深めて」と来場を呼びかけている。
十日町市、津南町の信濃川流域は、多くの縄文時代草創期遺跡が見つかっている全国有数の地域。3月末現在、両市町で46カ所確認されているうち、20カ所が両市町の境に当たる清津川との合流点付近に集中する。
2019年に国史跡に指定された本ノ木・田沢遺跡群では、先端を鋭くとがらせた石器である尖頭器や、帯状の粘土を胴部に巡らせた隆起線文土器などの遺物が多数出土。旧石器時代から縄文時代への移行過程を知る上で貴重な研究資料となっている。
特別展では、十日町市博物館が所蔵する遺跡群出土品に加え、普段は東北大や国学院大が所蔵する品々も紹介する。また遺跡群以外の地元遺跡出土物のほか、阿賀町の室谷洞窟の多縄文系土器、長野県南箕輪村の神子柴(みこしば)遺跡の局部磨製石斧(せきふ)など県内外の国重要文化財も含めた計560点を展示している。
菅沼亘副館長は「火焰型土器の時代より1万年も前にも、この地域には遺跡がたくさんあり、研究の面でも重要な資料があることを知ってほしい」と話す。
埼玉県から訪れた主婦(57)は「今の生活道具と同じように、いろいろな用途に分けて石器などが開発され使われていたことに感心する」と、展示品に見入っていた。
企画展は11月13日まで。