使用率には大きな差が。一番人気はクラウド!

 続いては、ファイター使用率についてのデータ。勝率が非常に拮抗していたのと対照的に、使用率には差が生まれているようだ。

 なお、使用率には大きな差がつきました。最高と最低でおよそ20倍。全体での最高はクラウド。VIPマッチのみの最高はガノンドロフですが、ガノンドロフのVIPマッチの勝率は47.9%と、戦績の順位としては低いほうです。

 クラウドはさすがの人気! とはいえ、実際にオンライン対戦を楽しんでいる限りでは、さほどクラウドとのマッチング頻度が突出して多いと感じる人は少ないのでは? 74体もいると、多少の偏りがあっても、全体としてはかなりばらけて、多彩な顔合わせでの対戦が楽しめているのではないだろうか。

 また、VIPマッチで人気のガノンドロフも、勝率を見る限りでは、強いから(勝てるから)使われている、というわけでもなさそうだ。

『スマブラSP』桜井政博ディレクターがファミ通連載コラムで明かした秘密の戦績データを公開!_02

バランス調整はあまりガラガラと変えず、慎重に

 ここまで見てきたように、『スマブラSP』のファイターたちのオンラインでの勝率は、現状ほぼ拮抗している。では今後、ファイターを調整するとしたら、勝率を参照して、より均等になるようにしていくのだろうか? 桜井氏の見解を読むと、必ずしもそうではないようだ。

 ところで。ピーチとデイジーは、ダッシュファイターの中でも性能の差がほぼないファイターです。当然、戦績はだいたい同じになりえるように思えるのですが……。VIPマッチでは、このふたりの勝率は54.4%:50.9%でした。なぜか差がついてますね!! なお、使用率は大差ありませんでした。

 ということは、これぐらいの幅は誤差のうち。だからこそ、調整が悩ましいところです。

 戦績から見れば、どのファイターを使っても有利すぎ、不利すぎということはないと言えると思います。まさに腕次第。ただ戦法にもトレンドがあるし、誤差も相性もあります。バランスをあまりガラガラと変えたくないので、慎重に様子を見ていきたいと思います。

 戦績のデータは、バイアスのかかっていない、純粋に客観的な数値として重要なもの。しかし、たくさんの人たちがより楽しく対戦できるようにするためには、数字を見ているだけではダメだというわけだ。

『スマブラSP』桜井政博ディレクターがファミ通連載コラムで明かした秘密の戦績データを公開!_03

 前述のキングクルールについても、数字としては勝率がほぼ5割で、いいバランスと言える。しかし桜井氏は、

戦績だけ見たら、調整する必要はなさそうです。だけどいじらずにいたら、ストレスに感じ続ける人もいるのではないかとも思いますね。まずは調整班の見解を待っているところです。

 と綴っている。オンライン戦績を注視しつつも、それがすべてではない。調整の目的は、あくまでもプレイヤーが楽しく遊べるようにすることなのだ。

2019年1月30日にVer2.0.0アップデートが配信

 そして2019年1月30日には、Ver2.0.0アップデートが実施され、50体以上のファイターに対して調整が行われた。ここまで読んだ方なら、この調整が非常に慎重に、深い思慮のもとに実施されたものであることはわかるだろう。

 各ファイターの研究がますます進んでいく中で、はたして今後、状況にさらなる変化は生まれるのか? 引き続き要注目だ。

 なお、冒頭でも紹介した通り、今回紹介した内容は、週刊ファミ通2019年2月14日号(2019年1月31日発売)掲載の、コラム“桜井政博のゲームについて思うこと”より引用したものだ。桜井氏が自ら執筆した文章の全文をご覧になりたい方は、ぜひ週刊ファミ通をチェックしてほしい。

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